
海外旅行中に体調を崩してしまったとき、頼りになるのが日本から持参した薬です。慣れない環境での食事や気候の変化、長時間のフライトによる疲労など、旅先では体調を崩しやすい場面が少なくありません。 日本の薬は基本的に海外へ持ち出すことができますが、薬の種類や量、渡航先の国によっては事前の申請や証明書が必要になるケースがあります。ルールを知らずに大量の薬を持ち込もうとすると、税関で没収されたり、トラブルに発展したりする可能性もあります。 この記事では、海外旅行に薬を持って行く方法を市販薬・処方薬の種類別に解説します。機内持ち込みのルールや渡航先ごとの規制確認方法、おすすめの常備薬リストまで、出発前に確認しておきたい情報をまとめました。
目次

海外旅行に日本の薬を持参すること自体は、基本的に認められています。ただし、薬の種類や数量、渡航先によってルールが異なるため、出発前に確認しておくことが大切です。
まず押さえておきたいポイントは以下の3つです。
ドラッグストアで購入できる風邪薬や胃腸薬などの市販薬は、個人使用の範囲であれば特別な許可なく海外に持ち出せます。ただし、渡航中に必要な量を超えて持参することは避けましょう。
持参する際は、パッケージごと持って行くことが重要です。パッケージには成分名や用法が記載されているため、税関や保安検査で薬の内容を確認されたときにスムーズに対応できます。ピルケースに移し替えてしまうと成分が不明になり、持ち込みを拒否される可能性があります。
医師から処方されている薬を海外に持って行く場合は、いくつかの書類を準備しておくと安心です。特に重要なのが「薬剤証明書」で、かかりつけ医に依頼すれば発行してもらえます。
薬剤証明書には、薬の名称(一般名)、用量、服用理由、処方した医師の氏名などが記載されます。英文で作成してもらうと、渡航先の税関でも内容が伝わりやすくなります。発行には数日かかることがあるため、出発の2週間前までに依頼しておきましょう。
処方薬もパッケージや調剤袋のまま持参するのが原則です。一包化された薬は中身が見えにくいため、必ず処方箋の写しや薬剤情報提供書を一緒に携帯してください。
医療用麻薬(モルヒネ、フェンタニルなど)を海外に持ち出す場合は、厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部への事前申請が必須です。申請には医師の診断書や処方箋の写しが必要で、許可証がなければ持ち出し・持ち込みの両方ができません。
向精神薬については、1か月分以内であれば携帯による持ち出しが可能です。ただし、1か月分を超える量や注射剤の向精神薬を携帯する場合は、処方箋の写しなど自己の治療に必要であることを証明する書類の携行が求められます。
渡航先の国によっては、日本では合法な成分が規制されているケースもあります。事前に各国の在日大使館や領事館に確認しておきましょう。

薬を海外に持って行く際、飛行機への持ち込み方法も確認しておく必要があります。錠剤やカプセルは比較的スムーズに持ち込めますが、液体やシロップ剤、注射剤には別途ルールが適用されます。
機内持ち込みと預け入れ荷物の使い分けも重要です。服用タイミングが決まっている薬や、緊急時に必要な薬は必ず機内持ち込み手荷物に入れておきましょう。
錠剤やカプセル剤は、PTP包装のままであれば特に制限なく機内に持ち込めます。パッケージに入った状態で手荷物に入れておけば問題ありません。
粉薬は注意が必要です。白い粉末状の薬は、保安検査で違法薬物と疑われる可能性があります。粉薬を持参する場合は、処方箋の写しや薬剤情報提供書を一緒に持ち、求められたらすぐに提示できるようにしておきましょう。
国際線の機内に液体を持ち込む場合、通常は100ml以下の容器に入れてジッパー付き透明袋にまとめる必要があります。ただし、医薬品として必要な液体薬やシロップ剤は、保安検査時に申告すれば100mlを超えていても持ち込みが認められるケースがあります。
目薬やコンタクトレンズの保存液も、医薬品として申告すれば液体物の制限とは別に持ち込めます。念のため処方箋の写しや製品パッケージを携帯しておくとスムーズです。
インスリンなどの注射剤は、医師の診断書や処方箋を携帯したうえで、保安検査時に申告してください。注射針は医療用であることを証明できれば持ち込みが認められます。
関連記事:海外旅行の持ち物リスト完全ガイド|必需品から便利グッズまで徹底網羅
薬は基本的に機内持ち込み手荷物に入れることをおすすめします。預け入れ荷物に入れると、ロストバゲージ(荷物の紛失や遅延)が発生したときに薬が手元になくなるリスクがあるためです。
どうしても預け入れ荷物に入れる場合は、旅行日数分の薬を機内持ち込み手荷物にも分散して入れておきましょう。温度管理が必要な薬は貨物室の低温で品質が変わる可能性があるため、必ず手荷物として持ち込んでください。

薬の持ち込みルールは国によって大きく異なります。日本では問題なく使える薬でも、渡航先では持ち込みが禁止されている成分が含まれていることがあります。出発前に必ず確認しておきましょう。
以下は、渡航先の薬持ち込み規制を確認する方法です。
渡航先によって規制される成分は異なりますが、特に注意が必要な事例をいくつか紹介します。
アメリカでは、FDA(食品医薬品局)が認可していない成分を含む薬の持ち込みが制限される場合があります。処方薬は90日分以内を目安に、英文の処方箋や医師の診断書とあわせて携帯しましょう。
中東諸国(UAE、サウジアラビアなど)では、一部の鎮痛剤や精神安定剤に含まれるコデインやトラマドールが規制対象です。違反すると重い罰則が科される可能性があるため、事前に在日大使館で確認してください。
東南アジア各国でも独自の規制があります。タイでは一部の向精神薬の持ち込みに厳しい規制があるため、処方薬を持参する場合は英文の証明書を必ず準備しましょう。
関連記事:海外旅行の準備はいつから始める?やることリストを時系列で完全解説
薬剤証明書は、かかりつけ医や薬局に依頼して発行してもらいます。日本語だけでなく英文でも作成しておくと、多くの国で通用します。
証明書に記載すべき項目は以下のとおりです。
記載項目 | 内容 |
|---|---|
患者氏名 | パスポートと同じ英字表記 |
薬剤名 | 一般名(generic name)を併記 |
用量・用法 | 1日の服用回数と量 |
処方理由 | 疾患名を英語で記載 |
処方医の氏名・連絡先 | 医療機関名も含む |
処方期間 | 渡航期間をカバーする日数 |
発行費用は医療機関によりますが、一般的に3,000円から5,000円程度が目安です。渡航先の言語(中国語やアラビア語など)での翻訳が必要な場合は、翻訳サービスの利用も検討しましょう。

海外旅行中にかかりやすい症状に備えて、常備薬を準備しておくと安心です。現地の薬局でも薬は購入できますが、成分表示が現地語のみだったり、日本では販売されていない強い成分が含まれていたりすることがあります。
使い慣れた日本の薬を持って行くことで、体調不良のときも落ち着いて対処できます。ここでは、旅行先で役立つ常備薬を症状別に紹介します。
海外旅行中に多い体調不良は、下痢・腹痛、風邪症状、頭痛、乗り物酔いなどです。以下の薬を準備しておくと、多くの症状に対応できます。
症状 | おすすめの薬の種類 | 備考 |
|---|---|---|
下痢・腹痛 | 整腸剤、下痢止め | 水や食事の変化で起こりやすい |
風邪・発熱 | 総合風邪薬、解熱鎮痛剤 | 機内の乾燥や寒暖差に注意 |
頭痛 | 解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン等) | 時差や疲労で起こりやすい |
乗り物酔い | 酔い止め薬 | フライトや現地の移動時に |
切り傷・すり傷 | 消毒液、絆創膏 | アクティビティ時に備えて |
アレルギー | 抗ヒスタミン薬 | 花粉やハウスダストへの対策 |
薬を効率的にパッキングするには、以下のポイントを押さえましょう。
市販薬はパッケージごとジッパー付きの袋にまとめます。箱から出してPTP包装の状態にすれば、かさばらずに持ち運べます。ただし、外箱を捨てる場合は添付文書(説明書)を必ず一緒に入れておいてください。
処方薬は調剤袋や薬袋に入れたまま、薬剤証明書とセットで保管します。機内持ち込み手荷物のポーチやケースにまとめておくと、保安検査時にスムーズに取り出せます。
紛失や盗難に備えて、旅行日数分の薬を機内持ち込み手荷物と預け入れ荷物に分散させておくのも有効です。特に持病のある方は、予備の薬を別のバッグに入れておきましょう。
関連記事:ヨーロッパ旅行の持ち物リスト完全版|必需品・防犯グッズ・便利アイテムを厳選

万全に準備していても、持参した薬では対応できない体調不良に見舞われることがあります。現地で薬を購入する方法や医療機関を受診する際のポイントを知っておくと、いざというとき慌てずに対処できます。
海外で薬を入手する際は、利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」でスマホの通信環境を確保しておくと、現地の薬局や病院をすぐに検索できて便利です。
海外の薬局では、日本では処方箋が必要な薬が市販されていることがあります。一方で、日本では市販されている薬が処方箋なしでは購入できない国もあるため、事前に調べておきましょう。
現地で薬を購入する際は、症状を英語で伝えられるようにしておきましょう。以下のフレーズが役立ちます。
症状 | 英語表現 |
|---|---|
頭痛 | I have a headache. |
腹痛・下痢 | I have a stomachache / diarrhea. |
発熱 | I have a fever. |
咳・喉の痛み | I have a cough / sore throat. |
アレルギー | I have an allergy to... |
海外の薬は日本のものより成分が強い場合があるため、用量は記載されている最小量から始めることをおすすめします。
症状が重い場合は、無理に市販薬で対処せず医療機関を受診しましょう。海外旅行保険に加入していれば、キャッシュレスで受診できる提携病院を利用できます。
保険会社のサポートデスクに連絡すれば、日本語対応の病院を紹介してもらえるケースも多くあります。保険証券や緊急連絡先はスマホに保存しておき、すぐにアクセスできる状態にしておきましょう。
クレジットカード付帯の海外旅行保険でカバーできる場合もありますが、補償内容や利用条件は事前に確認しておくことをおすすめします。

海外旅行中に体調を崩したとき、症状を調べたり保険会社に連絡したりするためには、現地でのスマホの通信環境が欠かせません。トリファ(trifa)は、アプリで簡単に購入・設定できる海外eSIMサービスです。
渡航先に到着してすぐにデータ通信が使えるため、地図アプリで最寄りの医療機関を探したり、翻訳アプリで症状を伝えたりと、緊急時にも活躍します。SIMカードの差し替えが不要で、スマホ1台でそのまま使える手軽さも大きなメリットです。
旅先での「もしも」に備えて、薬の準備とあわせて通信手段も出発前に整えておきましょう。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。