サンバや美しいビーチ、世界三大カーニバルなど魅力にあふれるブラジル。一方で「治安が心配で旅行に踏み出せない」と感じる方は多いはずです。 実際、ブラジルは外務省の海外安全情報で複数の都市圏が「レベル1:十分注意してください」に指定されており、スリや強盗、近年急増する電撃誘拐やPIXを悪用した詐欺など、注意すべきリスクは少なくありません。 ただし、危険エリアと比較的安全なエリアを正しく理解し、基本的な防犯対策を徹底すれば、リスクを大きく下げて旅行を楽しめます。 この記事では、外務省の最新情報や在ブラジル日本国大使館の発表をもとに、ブラジルの治安の現状、都市別・エリア別の危険度、観光客が遭いやすい犯罪、具体的な防犯対策、緊急連絡先までをまとめて解説します。
目次
ブラジルは中南米最大の経済規模を誇る一方、所得格差や麻薬関連の犯罪が根強く、世界的に見ても犯罪発生率は高い水準にあります。日本人観光客や在留邦人の被害も継続的に報告されており、渡航前に最新の安全情報を確認することが欠かせません。
外務省は2026年5月時点で、ブラジルの主要都市圏を中心に複数地域を「レベル1:十分注意してください」に指定しています。レベル1は「渡航中止」を求めるものではなく、犯罪発生率の高さを踏まえて十分な防犯対策を取るよう促す位置づけです。

外務省の海外安全ホームページで「レベル1:十分注意」とされている主な地域は次のとおりです(目安)。
旅行で訪れる主要観光地の多くがレベル1の対象地域に含まれるため、「自分の行き先はレベル1だ」と前提に置いて準備するのが現実的です。
外務省海外安全ホームページで渡航前の最新情報を必ず確認しましょう。
ブラジルの治安課題の根底には、深刻な所得格差と都市部のスラム街(ファベーラ)に拠点を置く犯罪組織の存在があります。
ファベーラはリオデジャネイロだけで1,000カ所以上あるとされ、麻薬の売買を巡る組織間の対立や、警察との衝突が起きることもあります。観光地のすぐ隣にファベーラが広がる地区もあるため、「観光エリアだから安全」と油断しないことが重要です。
ブラジルでは観光地・都市部を問わず、強盗・スリ・置き引きが日常的に発生しています。「ヨーロッパで気をつけるレベル」よりもう一段階、警戒を強める意識が必要です。
また、強盗に遭った際は不用意に抵抗しないのが鉄則とされています。犯人が銃やナイフで武装しているケースが多く、抵抗すると重大な被害につながる恐れがあります。
ブラジルは広大で、都市ごと、さらに同じ都市内でも数百メートル違うだけで治安が大きく変わります。観光で訪れる主要都市の特徴と、避けるべきエリアを押さえておきましょう。
ブラジル最大の都市サンパウロは、ビジネスと文化の中心地で観光客も多く訪れます。中心部や公共交通機関ではスマートフォン窃盗をはじめとする財産犯罪が多発しています。
特に避けたいのがクラコランジア(クラックランド)地区です。中心街にありながら麻薬中毒者が集まり、路上での薬物使用や売買が公然と行われ、強盗や暴行事件も頻発します。観光ガイドブックに名所として載るセントロ地区周辺でも、夜間や人通りの少ない裏通りではスリ・ひったくりのリスクが高まります。
比較的安全とされる滞在エリアは、ジャルジン、ヴィラ・マダレーナ、パライーゾ、モルンビ、イタイン・ビビなどです。
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コパカバーナ、イパネマ、コルコバードのキリスト像など、リオは世界有数の観光都市です。一方で殺人発生率はサンパウロより高く、観光地での盗難・強盗リスクは無視できません。
コパカバーナやイパネマでも、夜間の人気のないストリートや海岸沿いを一人で歩くのは危険です。リオ北部のマレ・コンプレックスやアレマンといった大規模ファベーラは、麻薬組織の影響が強く銃撃戦が起きることもあるため、観光客は近づかないのが原則です。
安全度が比較的高いとされる滞在地区は、イパネマ、レブロン、ボタフォゴなどです。
首都ブラジリアは、官公庁や大使館が集中する計画都市で、街並みは整っているものの、夜間や人通りの少ないバスターミナル周辺などは注意が必要です。
サルバドール、レシフェ、フォルタレーザといった北東部の都市は観光資源が豊富な一方、殺人率の高い地域として知られています。観光エリアに限定して行動し、夜間の単独行動は控えましょう。
アマゾン観光の起点となるマナウスはレベル1指定地域で、市内中心部や港周辺でスリ・強盗が発生します。アマゾンクルーズやジャングルロッジに参加する場合も、移動中の港や空港周辺で貴重品を狙われるケースがあるため、信頼できるツアー会社の利用が安心です。
ブラジルで観光客が巻き込まれやすい犯罪は、伝統的なスリ・置き引きに加え、デジタル決済の普及に伴う新しい手口も増えています。代表的なパターンを押さえておきましょう。
スマホを使いながら歩いている観光客は、ブラジルでは「歩く財布」のように見られます。バイクの二人乗りで近づき、銃やナイフをちらつかせてスマホを奪う事件が日常的に発生しています。
強盗時には抵抗せず、すぐにスマホを差し出すのが鉄則です。命を守ることを最優先に、現金やスマホは「奪われてもよいもの」として扱いましょう。
近年急増しているのが「電撃誘拐(Express Kidnapping)」です。数時間〜半日程度の短時間、被害者を拘束してATMで現金を限度額まで引き出させる犯罪で、近年はブラジルの即時送金サービスPIXを悪用し、スマホから高額送金させる手口が広がっています。
配車アプリを装った車に乗ってしまい誘拐に発展するケースもあるため、車両ナンバーやドライバーの顔写真をアプリで必ず確認することが重要です。
マッチングアプリを利用した誘い出しから、拉致監禁・金銭強要に発展する事件も主要都市で報告されています。現地で出会った相手と人気のない場所で会う、ホテル以外の住居に行くといった行動はリスクが高く、避けるべきです。
ビーチ、市場、地下鉄、観光名所周辺は古典的なスリ・置き引きの定番スポットです。複数犯のうち1人が話しかけて気をそらし、別の仲間が荷物を抜き取る連携プレーが多用されます。
バッグは体の前で持ち、ファスナーは常に手で押さえる意識を持ちましょう。
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流しのタクシーではメーター操作や遠回りによる料金水増し、事前に伝えた料金を到着後に変更されるトラブルが報告されています。空港や観光地ではUberや99といった配車アプリを使い、料金とルートをアプリで確認するのが安心です。
一流ホテルやレストランでもスキミング被害が報告されています。タッチ決済を優先する、暗証番号入力時は手で隠す、こまめに利用明細を確認するなどの対策が有効です。
観光客が日常的にできる防犯対策を、優先度の高いものから整理します。すべて完璧に守るのは難しくても、半分以上を意識するだけでもリスクを大きく減らせます。

地図確認、SNS、写真撮影もできるだけ屋内・カフェ・ホテルロビーなど安全な場所で行いましょう。歩きスマホは強盗を呼び込む最大の要因です。
地図はオフラインで使えるよう事前にダウンロードし、歩行中は必要最小限の確認にとどめます。
短距離でもUberや99(ブラジルの主要配車アプリ)を使うと、流しのタクシーよりも安全性が高まります。ナンバープレート・ドライバーの顔・車種を乗車前に必ず照合しましょう。
メインの財布のほかに「捨て財布」を用意し、強盗に遭った際にすぐ渡せるようにしておくのが定番のテクニックです。クレジットカードも国際ブランド違いで2枚持ちがおすすめです。
高価な腕時計、ブランドバッグ、大ぶりのアクセサリーは犯罪者の目を引きます。Tシャツ・ジーンズ・スニーカーといった現地の人と馴染む服装を心がけましょう。
日没後は観光地や繁華街でも一人歩きは控え、移動は必ず配車アプリを使います。複数人で行動するだけでも狙われにくくなります。
サンパウロならジャルジンやイタイン・ビビ、リオならイパネマやレブロンなど、治安が比較的安定したエリアにホテルを取りましょう。深夜便で到着する場合はとくに重要です。
強盗被害や事故に備え、必ず海外旅行保険に加入してください。クレジットカード付帯の保険を活用する場合は、補償内容と適用条件を出発前に確認しておくと安心です。
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治安対策と合わせて、入国条件や通信・電源環境などの基本情報も確認しておきましょう。準備不足は思わぬトラブルの引き金になります。
2026年5月時点で、日本国籍の旅行者は観光・商用・通過などを目的とする90日以内の滞在であればビザは不要です。連邦警察での延長手続きにより最大90日の延長が可能ですが、過去12カ月の合計滞在日数は180日を超えないよう定められています。
制度は変更される可能性があるため、出発前に在ブラジル日本国大使館や外務省のサイトで必ず最新情報を確認してください。
2026年5月時点では、日本からブラジルへの直行便は運航されていません。北米経由(ダラスやニューヨーク)または中東・欧州経由が一般的で、サンパウロまでは乗り継ぎを含めて25〜30時間前後が目安です。
長時間の移動になるため、エコノミークラス症候群対策の着圧ソックスや軽い体操、機内で過ごす際の防寒具なども準備しておくと快適です。
ブラジルの電圧は地域差があり、サンパウロやリオデジャネイロは110V、ブラジリアなどは220Vが中心です。プラグはCタイプとNタイプ(3つ穴)が併用されているため、変換プラグを用意しておきましょう。日本の最近の家電は100〜240V対応のものが多いですが、念のため出発前に対応電圧を確認してください。
通貨はブラジル・レアル(BRL)です。日本での事前両替はレートが不利になりがちなので、現地ATMやクレジットカードのキャッシングを活用し、必要な分だけ引き出すのが効率的です。
スキミング対策として、ATMは銀行内設置のものを利用し、深夜の利用は避けましょう。
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万一トラブルに巻き込まれた場合に備え、連絡先と初動対応を頭に入れておきましょう。スマホがすぐ使えない状況に備え、紙のメモを別にしておくとより安心です。
用途 | 番号 |
|---|---|
警察 | 190 |
救急 | 192 |
消防 | 193 |
警察への緊急通報はポルトガル語が基本のため、英語が通じない場合に備えて、ホテルのフロントから連絡してもらう選択肢も持っておきましょう。
レシフェの空港など一部の主要観光地には、観光客向けの観光警察「DEATUR(ツーリストポリス)」が設置されています。被害届の提出はDEATUR、または最寄りの文民警察署「Delegacia da Polícia Civil」で行います。
1. まず命の安全を最優先し、抵抗せず指示に従う
2. 安全な場所に避難してから警察・大使館に連絡
3. パスポートやクレジットカードの紛失・盗難は速やかに利用停止と再発行手続きを進める
4. 海外旅行保険会社のサポートデスクに連絡し、必要書類(警察の被害届控えなど)を確認
警察の被害届控えは、保険金請求や帰国後の手続きで必要になるケースが多いため、必ず受け取りましょう。
ブラジルでは、屋外でのスマホ利用がリスクになる一方、配車アプリや地図、緊急連絡など、安全のためにこそ通信が欠かせません。空港のフリーWi-Fiや街中の公共Wi-Fiは盗聴や偽アクセスポイントのリスクがあるため、現地でも途切れずに使える自前の通信手段を確保しておくのが安全策です。

トリファは、利用者No.1の海外eSIMアプリで、全世界200カ国対応。アプリから目的地と利用日数を選ぶだけで、その場でeSIMをインストールでき、現地に着いたらすぐにモバイル通信が使えます。
ブラジルでも事前にプランを購入してインストールしておけば、サンパウロやリオデジャネイロの空港に到着した瞬間から、Uberの配車や地図アプリ、家族へのLINE連絡などをスムーズに行えます。SIMカードを入れ替える必要がなく、空港でSIMショップを探したり、現地で物理SIMを差し替える隙を狙われたりするリスクも避けられます。
ブラジルのように、通信できない時間が直接リスクにつながる国だからこそ、途切れにくいモバイル通信の価値が高まります。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。