メキシコは古代マヤ・アステカ文明の遺跡やカリブ海のリゾート、彩り豊かな食文化など、一度は訪れたい観光資源にあふれた国です。一方で「治安が悪そう」「カルテルが怖い」というイメージから、渡航をためらう方も少なくありません。 実際にメキシコは地域によって治安状況が大きく異なります。観光客に人気のカンクンやメキシコシティ中心部は比較的安全に旅を楽しめる一方、麻薬カルテルの抗争が続く一部の州では渡航中止勧告が出されているのが実情です。 この記事では、外務省の最新の渡航情報をもとに、メキシコの治安の現状と危険な地域、観光客が遭いやすい犯罪の手口、そして実践的な防犯対策までをまとめました。 旅行前にしっかり情報を整理し、トラブルを未然に防ぐための準備にお役立てください。
目次

メキシコ旅行を計画するうえでまず確認したいのが、外務省が発表している海外安全情報の渡航レベルです。メキシコは国全体が一律に危険なわけではなく、州や地域によって危険度が大きく分かれています。
外務省は2026年4月8日に最新の危険情報を発出しており、一部地域の危険レベル引き上げが行われました。観光客が訪れる主要都市の多くはレベル1にとどまる一方、麻薬カルテルの抗争が激しい地域はレベル2やレベル3に指定されています。
外務省の渡航レベルは、もっとも軽い「レベル1(十分注意してください)」から、「レベル2(不要不急の渡航は止めてください)」、「レベル3(渡航は止めてください。渡航中止勧告)」、「レベル4(退避してください。渡航は止めてください。退避勧告)」までの4段階に分かれています。
メキシコには現時点でレベル4の地域はありませんが、レベル3に指定されている地域もあるため、旅行前には必ず外務省の海外安全ホームページで最新情報を確認しましょう。
旅程に組み込んでいる都市や、移動の途中で通過する州が指定地域に該当しないかを、出発の直前にもう一度チェックしておくと安心です。
メキシコの犯罪発生件数は2015年以降、増加傾向が続いており、2025年の総犯罪件数は約202万件と高水準で推移しています。殺人事件の多くは麻薬カルテルなどの犯罪組織同士の抗争に関連しており、一般の旅行者が直接巻き込まれるケースは多くありません。
国連の統計によると、メキシコの殺人発生率は人口10万人あたり29人前後で推移しており、世界平均を大きく上回ります。観光客が遭遇しやすい犯罪は、スリや置き引き、ぼったくりなどの軽犯罪が中心ですが、夜間の強盗や偽タクシーによる被害も報告されています。
「観光地は安全」と過信せず、貴重品の管理や夜間の単独行動を控えるなどの基本的な対策を徹底することが重要です。
メキシコの治安問題を語るうえで避けて通れないのが、麻薬カルテルの存在です。北部の国境地帯や太平洋岸の一部の州では、カルテル同士の抗争や治安部隊との衝突が頻発しており、一般の観光ルートからは外れていても十分な注意が必要です。
ここでは外務省が危険レベルを引き上げている地域と、近年動きが活発なカルテルの状況を整理します。観光で訪れる予定がない地域でも、隣接する州を陸路で移動する場合は危険度が変わる可能性があるため、最新情報の確認が欠かせません。
2026年4月時点で、メキシコでレベル3(渡航は止めてください)に指定されているのはゲレロ州チルパンシンゴ市およびその周辺地域です。同地域は犯罪組織間の抗争が深刻で、銃撃戦や道路封鎖が日常的に発生しています。
ゲレロ州にはアカプルコなどの観光地もありますが、州全体として治安は不安定で、観光目的であってもレベル3地域への立ち入りは避けるべきです。
ツアーや個人旅行で同州を経由する場合は、旅行会社や現地の信頼できる情報源と相談し、安全なルートに変更することを強くおすすめします。
レベル2に指定されている地域は複数あり、代表的なものとしてはシナロア州、ハリスコ州トマトラン市とチャパラ湖等を含む南部地域、グアナファト州の一部、タマウリパス州、チワワ州フアレス市、ミチョアカン州などが挙げられます(チワワ州のフアレス市以外はレベル1)。
これらの地域はカルテルの拠点や抗争地域に近く、銃撃戦や誘拐、強盗などの重大犯罪が発生しやすい場所です。とくにアメリカとの国境に位置するタマウリパス州やチワワ州のシウダー・フアレス周辺は、長年にわたって治安が不安定な状態が続いています。
ビジネスや家族訪問などのやむを得ない用事を除き、観光目的での渡航は控えるのが無難です。
近年は「ハリスコ新世代カルテル(CJNG)」と「シナロア・カルテル」を中心とする勢力争いが激しさを増しています。2026年2月には犯罪組織の最高幹部が殺害されたことをきっかけに、ハリスコ州周辺で報復による衝突や道路封鎖、市街地での放火事件が多発しました。
また、2月22日にはメキシコ国防省がハリスコ州でCJNGに対する大規模な掃討作戦を実施し、グアナファト州やアグアスカリエンテス州でも国軍と犯罪組織間の衝突が発生しています。
旅行中にこうした地域を陸路で移動する予定がある場合は、出発前に最新の現地ニュースや在メキシコ日本国大使館の情報を必ず確認しましょう。
メキシコのなかでも、観光客が多く訪れる主要都市は比較的治安が保たれているエリアと、地元の人も近づかない危険エリアが混在しています。
ここでは日本人旅行者に人気の高いメキシコシティ、カンクン、グアダラハラ、オアハカを取り上げ、それぞれの治安レベルと注意したいポイントを解説します。
メキシコシティは外務省の危険レベル1に該当しますが、エリアごとに治安の差が非常に大きい都市です。一般的に治安が良いとされるのは、ポランコ、ローマ、コンデサ、レフォルマ通り沿い、コヨアカン、サン・アンヘルなどの地区で、外国人や駐在員も多く滞在しています。
一方、ソカロ(憲法広場)の北側に広がるテピート地区や、市東部のイスタパラパ地区などは麻薬取引や強盗が多発し、地元の人も近づかないエリアです。観光ルートから外れたローカルな路地への立ち入りは避け、ホテルや宿泊施設はポランコやレフォルマ周辺で選ぶと安心感が高まります。
比較的治安が良いエリアでも、夜間の人通りが少ない場所や、地下鉄の混雑時にはスリ・置き引きの被害が報告されています。荷物は前掛け・チャック付きにして、ATMの利用は明るい時間帯と銀行内に限定するなど、基本的な対策を心がけましょう。
カリブ海に面したカンクンは、メキシコのなかでも観光業に特化した都市で、観光エリアの治安は安定しています。とくに高級リゾートホテルが立ち並ぶホテルゾーンには警察や軍によるパトロールが常時行われており、ビーチでも巡回が見られます。
セノーテやチチェン・イッツァ遺跡、トゥルムなどの観光ツアーも、信頼できる旅行会社を通じて参加すれば安全に楽しめます。一方、ダウンタウンや観光客が少ないローカルエリアでは、夜間の単独行動を避けるなどの注意が必要です。
カンクンで多いトラブルはタクシーの不正請求や、ビーチでの置き引きなどの軽犯罪が中心です。料金トラブルを避けるためには、ホテルが手配する正規タクシーや事前予約の送迎サービスを活用しましょう。
メキシコ第2の都市グアダラハラは、テキーラ発祥地として知られる文化都市で、市中心部の観光エリアは落ち着いた雰囲気で旅を楽しめます。ただし、グアダラハラを擁するハリスコ州はCJNGの本拠地に近く、郊外や周辺地域ではカルテル関連の事件が発生することがあります。
オアハカ州の州都オアハカ市は、世界遺産の歴史地区や死者の日(ディア・デ・ロス・ムエルトス)の祭りで人気の観光地で、観光エリアの治安は落ち着いています。ただしオアハカ州内でもチアパス州との境界付近やグエレロ州寄りの地域では治安が悪化しているため、ツアー以外での移動は避けるのが無難です。
どの都市でも共通して言えるのは、観光地のメインストリートを離れた瞬間に治安状況が一変する可能性があることです。地元の人やホテルスタッフに「行ってはいけないエリア」を事前に確認しておくと安心です。

旅行中に巻き込まれやすいのは、カルテル絡みの重大犯罪よりも、観光客を狙ったスリや詐欺などの軽犯罪です。手口を事前に知っておくだけで被害を大きく減らせるため、ここでは代表的なパターンを整理します。
どの手口にも共通するのは「気を引く」「警戒を解かせる」プロセスがあることです。「現地の人がやけに親切に話しかけてくる」「警察官を名乗る人物が突然近づいてくる」といった場面では、まず冷静さを保ちましょう。
メキシコシティの地下鉄やバス、観光地の人混みでは、スリや置き引きが日常的に発生しています。複数人で取り囲んで気を逸らせ、その隙にバッグやポケットから財布を抜くチームスリの被害が多く、特に通勤・通学のラッシュ時間帯は要注意です。
ビーチや屋外のレストランでは、椅子の背もたれにバッグを掛けたり、テーブルにスマートフォンを置いたりすると一瞬で持ち去られることがあります。荷物は常に膝の上か体の前で抱え、貴重品はホテルのセーフティボックスに預ける習慣をつけましょう。
また、市場や混雑した観光地では、ひったくりも報告されています。リュックは前掛けに、ショルダーバッグは斜め掛けにし、現金や予備のクレジットカードは複数の場所に分散して持ち歩くと被害を最小化できます。
メキシコシティでは、認可を受けていない違法タクシー(通称ピラタ)が多数走っており、強盗やぼったくりに遭うケースが報告されています。正規のタクシーはナンバープレートが「A」または「B」で始まり、その他の組み合わせのナンバーは要注意です。
かつてはピンクと白のカラーリングが特徴の「リブレ」と呼ばれる流しのタクシーが主流でしたが、料金トラブルや強盗被害も発生しているため、流しのタクシーには極力乗らないことをおすすめします。
安全性とコスト面で評価が高いのは、UberやDiDi、Cabifyといった配車アプリです。事前にルートと料金が表示され、ドライバーの評価も確認できるため、現地での移動はアプリ利用を基本にすると安心です。ただしカンクンの空港など一部エリアでは現地タクシー業界との摩擦から配車アプリの利用が制限される場合があるため、目的地ごとの状況を確認しておきましょう。
警察官を名乗る人物が「パスポートを見せろ」「身体検査をする」と近づいてきて、隙を見て財布や現金を抜き取る偽警官詐欺もメキシコでは古くから報告されています。本物の警察官であっても、その場でパスポートを渡したり、現金を直接見せたりすることは避けましょう。
金融機関を狙った犯罪も多く、ATM利用後に建物を出た直後を狙う強盗や、カードリーダーに細工をしてカード情報を盗み取るスキミング被害も発生しています。在メキシコ日本国大使館の注意喚起によれば、金融機関での被害者の多くが、銀行を出た直後または近距離の場所で襲われていると報告されています。
ATMはなるべくショッピングモール内や銀行内のものを選び、利用後はすぐに大きな道路へ移動する、必要以上の現金を引き出さないなどの工夫が有効です。両替も空港やホテル、認可された両替商で行うようにし、街角の個人両替は避けましょう。
ここまで紹介してきた犯罪の傾向を踏まえると、メキシコ旅行を安全に楽しむためには「危険な場所と時間帯を避ける」「貴重品を分散して管理する」「困ったときの連絡先を事前に把握する」の3点が基本になります。
以下のチェックリストを参考に、出発前と滞在中の備えを整えておきましょう。
出発前に家族や友人と旅程を共有しておくことも重要です。連絡が取れなくなった場合に、すぐに状況を把握できる体制を作っておきましょう。
また、夜のバーやクラブでは、飲み物に薬物を混入させて意識を奪う「飲み物への異物混入」型の事件も報告されています。グラスから目を離さない、安価すぎる店には入らないといった基本姿勢が身を守ります。
メキシコの緊急通報番号は警察・救急・消防いずれも「911」です。多くのオペレーターはスペイン語対応のため、英語が通じる相手につないでもらうか、可能ならホテルスタッフを介して連絡するとスムーズです。
在メキシコ日本国大使館の連絡先は以下の通りです。
海外で困ったときの基本対応や持ち物については、こちらの記事も参考になります。
パスポートの紛失や盗難、入院、事件・事故に巻き込まれた場合などは、まず大使館に連絡して指示を仰ぎましょう。

メキシコのように地域によって治安状況が変わる国では、スマートフォンが常にインターネットに繋がっている状態を維持することが、もっとも基本的な防犯対策のひとつです。地図アプリで安全なルートを確認したり、配車アプリでタクシーを呼んだり、緊急時に大使館へ電話したりと、通信が途切れない安心感は何物にも代えがたい価値があります。
そうした旅先での通信手段としておすすめなのが、アプリダウンロード数No.1(2025年4月〜2026年3月、AppTweak調べ、iOS/Android合算)の海外eSIMアプリ「トリファ」です。アプリから国とプランを選んで購入するだけで、現地に到着した瞬間からインターネットに接続できます。
トリファは全世界200カ国対応で、メキシコはもちろん経由地となりやすい米国にも対応しています。物理SIMの差し替えやWi-Fiルーターの受け取りが不要なため、空港でのトラブルに巻き込まれるリスクも下げられます。
App Storeでは★4.6の評価を獲得しており、初めて海外eSIMを使う方からも「設定が簡単」「現地で迷わなかった」といった声が寄せられています。メキシコの治安に不安を感じる方こそ、信頼できる通信環境を整えて、安全に旅行を楽しんでください。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。
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