eSIMは物理SIMカードを使わずに通信できる便利な仕組みです。しかし、音声通話はプランによっては対応していないものもあります。 この記事では、eSIMで通話する仕組みや方法をはじめ、音声通話対応プランとデータ専用eSIMでの通話の違いについて解説します。
目次
あわせて、デュアルSIMの設定方法や通話できないときの対処法まで、初心者にもわかりやすく紹介しているので、eSIMの通話利用を検討している方や、海外旅行・出張に向けて準備中の方はぜひ参考にしてみてください。
eSIMには大きく分けて音声通話eSIMとデータ専用eSIMの2種類があり、用途や目的に応じて選べます。
音声通話eSIMには電話番号が付与され、通話やSMSが利用可能です。
一方、データ専用eSIMは電話番号がないため、通話やSMSはできませんが、比較的安価に利用できます。
海外滞在時などでは、用途に応じてうまく使い分けることで、利便性とコストのバランスを取れます。
音声通話eSIMは、電話番号が付与されるため、通常の電話アプリやSMSの送受信が利用可能です。日本では大手キャリアに加え、格安SIM提供会社からも提供されています。
通話やSMSはもちろん、緊急通報(110・119)にも対応している場合があり、安全性を重視するユーザーにも適しています。
また、オンラインバンキングやSNSなどで求められるSMS認証も問題なく使えるため、本人確認が必要な場面でも安心です。
海外のeSIMサービスでも電話番号付きプランを提供しており、柔軟に選べるようになってきました。
ただし、音声通話eSIMは、データ専用タイプより料金がやや高くなる傾向があります。
そのため、頻繁に電話やSMSを利用する人、認証コードを受け取る必要がある人におすすめです。
データ専用eSIMは、通話やSMSには非対応の場合が多く、インターネット通信専用のeSIMです。
料金が安く、旅行者や短期利用者にとってコストパフォーマンスに優れています。
通話が必要な場合は、LINEやSkypeなどのインターネット通話アプリを利用すれば代用可能です。
海外eSIMサービスでは、複数国対応の周遊プランなども用意されており、国をまたいだ移動が多い場合にも便利です。
ただし、緊急通報(110・119)には非対応であり、SMS認証も不可な点には注意しなければなりません。銀行口座や各種サービスの認証を受けられない場合があります。
そのため、デュアルSIM機能を使って日本のSIMと併用し、用途に合わせた使い分けを検討するとよいでしょう。
データ専用eSIMは電話番号が付与されないため、通常の通話機能は利用できません。
しかし、インターネット回線を活用すれば音声通話は可能です。
主に3つの方法があり、目的や利用シーンに応じて使い分けられます。
IP電話アプリを使えば、インターネット経由で通話が可能です。
IP電話アプリとは、インターネット回線を使って通話ができるアプリケーションのことです。
一般的な携帯電話や固定電話が音声専用の電話回線(回線交換)を利用するのに対し、IP電話はデータ通信(パケット交換)を使って音声をやりとりします。
代表的なIP電話アプリと特徴は、以下の通りです。
SIMに電話番号がなくても発信可能で、国際通話も低コストなため、使い勝手のよい方法です。
利用前に、Wi-Fiなどの通信環境の安定性を確認しておくと、より安心して利用できるでしょう。
LINEやWhatsApp、Facebook MessengerなどのSNSアプリによる通話機能も便利です。
同一アプリを使用しているユーザー同士で、インターネット接続さえあれば無料で音声・ビデオ通話が可能です。
代表的なSNS通話アプリは、以下になります。
アプリ間通話は完全無料で、通話品質も安定しており、ビデオ通話にも対応しています。
通話相手が特定のSNSを利用していない場合は、前述のIP電話アプリと組み合わせて運用するのがよいでしょう。
インターネット回線を利用して通話するもうひとつの方法が、主回線の番号で発信することです。
主回線の番号で発信するには、音声通話SIMとデータ専用eSIMを同時に使うデュアルSIMで運用する必要があります。電話番号を維持しながら格安なデータ通信を利用できます。
設定手順の概要は以下の通りです。
主回線を活用すれば、海外でも日本の電話番号でSMS認証が受け取れ、重要な連絡手段を確保しつつ、通信費を抑えられます。
また、国内でもMVNOの安価なデータ専用eSIMと、大手キャリアの音声SIMを併用すれば、柔軟かつコスパのよい利用ができるでしょう。
デュアルSIM機能を活用すると、音声通話eSIMとデータ専用eSIMを1台のスマートフォンで併用できます。
海外旅行や出張中、日本の電話番号で通話やSMSを受信しつつ、現地の格安eSIMでデータ通信を行うといった柔軟な使い方が可能です。
ここでは、デュアルSIM機能を使って音声通話eSIMとデータ専用eSIMを併用する方法を紹介します。
iPhoneとAndroidでは、eSIM・デュアルSIMの設定方法が異なります。
どちらもQRコードや手動入力でeSIMプロファイルを追加できますが、操作メニューや表示が異なるため注意しなければなりません。
以下に、主要な手順を表にまとめました。
項目 | iPhoneの手順 | Androidの手順 |
eSIM追加方法 | 設定 → モバイル通信 → モバイル通信プランを追加 → QRコード読み取り or 手動入力 | 設定 → ネットワークとインターネット → SIM → モバイルプランを追加 |
プロファイルのラベル設定 | 「日本用」「海外用」など自由に名称を設定可能 | SIM設定画面で編集可(機種により名称変更不可な場合もあり) |
認識しない・エラーが出た場合 | 明るい場所で再読み取り/画面明度を最大に/iOS再起動などで改善を試す | QRコード読み取り失敗時は「手動で設定」やWi-Fi接続の確認 |
追加後のおすすめ設定 | 「モバイルデータ通信」や「デフォルト音声回線」に使用目的に応じてSIMを割り当てる | 通話・SMS・データ通信をそれぞれの用途で使うSIMに設定可能 |
どちらの端末も、設定後にわかりやすい名前をつけることで、日常的な切り替えやトラブル時の対応がスムーズになります。
また、eSIMの追加に失敗した場合は、キャリアの公式マニュアルやサポートにしたがって対応しましょう。
デュアルSIMのメリットのひとつが、データ通信と通話で別々のSIMを優先回線として設定できる点です。
海外渡航時には、現地用のeSIMをデータ通信に、日本のSIMを通話やSMS受信用に設定することで、通信コストを抑えながらスマホを活用できます。
以下は、iPhoneとAndroidでの設定手順の概要です。
項目 | iPhoneの操作手順 | Androidの操作手順 |
優先データ回線の選択 | 設定 → モバイル通信 → モバイルデータ通信 → 使用するSIMを選択 | 設定 → ネットワークとインターネット → SIM → モバイルデータで指定 |
自動切り替え設定 | モバイルデータ通信の切り替えを許可:オンにすると圏外時に自動で補助回線へ切替 | 機種によっては「データ自動切替」などの機能あり |
ローミング設定 | 日本のSIM → データローミングをオフに設定 | 同様に日本のSIMでデータローミングをオフ |
設定後は、どちらの回線がデータ通信中かをステータスバーで確認できます。
海外利用時は、日本のSIMのローミングをオフにしておかないと、高額な通信料が発生するリスクがあります。
通信回線の指定に不安がある場合は、事前に国内でテストしておくと安心です。
デュアルSIMに対応したスマートフォンでは、電話をかける際にどちらのSIM回線を使うかを手動で選択したり、連絡先ごとにあらかじめ指定できます。
プライベートとビジネス、国内と海外など、用途に応じた柔軟な使い分けができます。
回線を切り替える方法は以下の通りです。
操作内容 | iPhoneの場合 | Androidの場合 |
発信時の回線選択 | 電話番号入力後、画面上の「主回線」などの表示をタップして切り替える | 通話前に表示される選択画面から回線を選ぶ(機種により異なる) |
連絡先ごとの設定 | 「連絡先」アプリ → 相手の情報 → 「優先するモバイル通信回線」を設定 | 一部機種で「SIMカードマネージャー」などから設定可能 |
自動使い分け | 仕事用・個人用など、相手ごとにSIMを固定できる | グループ単位での設定が可能な端末もある |
たとえば、家族には日本の電話番号で、海外のホテルには現地eSIMの電話番号で発信するなど、シーンに応じた使い分けができます。
設定しておけば以後は自動でSIMが選ばれるため、効率よく2つの回線を使い分けできます。
ここでは、eSIMをインストールしたのに通話できないときの対処法を紹介します。eSIMの通話トラブル解決では、以下の方法を試してみましょう。
eSIMで通話ができないときは、まず契約プランと設定を確認しましょう。
音声通話eSIMを契約しているのに通話できない場合、端末の設定が原因であることがあります。
以下の手順で確認してください。
操作端末 | 設定手順 |
iPhone | 「設定」→「モバイル通信」→ 対象のeSIMを選択 →「音声通話とSMS」がオンか確認 |
Android | 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」→ 対象のeSIMで「通話を有効にする」設定を確認 |
また、登録しているキャリアの会員ページで現在の契約内容が音声通話対応になっているかを確認することも重要です。
設定を見直しても改善しない場合は、端末の再起動やSIMの再アクティベーションを試みるか、キャリアのカスタマーサポートに問い合わせましょう。
iPhoneでデュアルSIMを利用している場合、通話ができない原因のひとつに通話回線の設定ミスがあります。
iPhoneでは、発信に使う回線をデフォルトの音声回線として設定されるため、意図しない回線に設定されていると、発信やSMSが正しく行えないケースがあります。
回線の切り替え方法は以下の通りです。
回線ごとに通話料やサービスの可否も異なるため、用途に応じた使い分けが重要です。
海外旅行中では、日本のSIMと現地eSIMを併用する場合には、都度設定を確認しましょう。
機内モードをオン・オフにするのも対処法のひとつです。
モバイルネットワークへの接続を一時的に遮断し、再接続することで、ネットワーク登録の不具合や一時的な通信障害を解消できます。
操作手順は以下の通りです。
また、「通信サービスが見つかりません」と表示されている場合は、ネットワークの自動検索に失敗している可能性があり、機内モードのオン・オフで改善することがあります。
それでも改善しない場合は、ネットワーク設定のリセットを試しましょう。
ネットワーク設定のリセット方法は、以下の通りです。
ただし、リセットを実行するとWi-FiパスワードやBluetooth機器の再設定が必要になるため、事前にバックアップやメモを取っておくと安心です。
eSIMで通話ができない原因として、プロファイルのアクティベートが正常に完了していないケースがあります。
eSIMは物理SIMカードのように差し込むのではなく、QRコードなどでプロファイル情報を読み込んで有効化する仕組みのため、初期設定時のミスが原因で機能しないことがあります。
QRコードの読み取りエラーや、設定中のネットワーク不良が主な要因です。
確認方法は以下の通りです。
プロファイルが「無効」や「読み取りエラー」になっている場合は、キャリアやMVNOのマイページから新しいQRコードを再発行してもらい、プロファイルを再ダウンロード・設定します。
なお、QRコードには有効期限があるため、古いコードでは認証が通らないこともあります。
いずれの対処を行っても解決しない場合は、キャリアのカスタマーサポートへ問い合わせてください。
最後に、eSIMを使った通話について多くのユーザーが抱えるよくある疑問を紹介します。
順番に見ていきましょう。
海外でもeSIMで通話は可能ですが、方法によって確認するポイントが異なります。
まず、日本のキャリアの音声通話eSIMをそのままローミングで利用すれば、日本の番号で通話できます。音声通話対応の海外eSIMを使えば、現地の電話番号で通常の発着信が可能になります。
地域によって利用できるサービスは異なるため、渡航先に応じた選択が重要です。
さらに費用を抑えるなら、データ専用eSIMとLINEやWhatsAppなどIP通話アプリを組み合わせる方法が有効です。
とくに、デュアルSIM対応スマートフォンを活用し、日本の音声通話eSIMと海外のデータ専用eSIMを併用すれば、通話と通信を効率的に使い分けられます。
通話の必要性や滞在期間に応じて、最適な方法を選びましょう。
海外でeSIMを使った通話は便利ですが、国際ローミング利用時に高額な通話料金が発生することがあります。
以下のようなケースに注意が必要です。
高額になるケース | 内容 |
国際ローミング発信 | 現地から日本などへ通話する際、1分あたり数百円かかることがある |
着信による課金 | 海外で日本からの電話を受けるだけで料金が発生する |
データローミングの放置 | バックグラウンド通信で高額請求になる可能性がある |
着信転送設定のミス | 転送された通話ごとに国際通話料がかかることがある |
高額な請求にならないように、日本のeSIMはデータローミングをオフにして通話・SMSの受信専用にするのが基本です。
通話には現地のデータ専用eSIMとLINEやSkypeなどのIP通話アプリを併用すると、コストを抑えられます。
出発前にプラン確認や設定を済ませておきましょう。
eSIMを通話専用に使いたい場合、データ通信をオフにしたり、通話特化プランを選ぶことで対応できます。
通話だけ使いたい人は、自分の通話頻度や連絡先の傾向に応じて、コストと使いやすさのバランスが取れたプランを選びましょう。
緊急連絡用や番号の使い分け目的に便利です。
現在利用中の電話番号は、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)を使えばeSIMに引き継ぐことが可能です。
ドコモからahamoに変更する際も、電話番号はそのままeSIMに移行できます。
他社からの乗り換えでは、まず今のキャリアでMNP予約番号を取得し、新しい通信事業者に提出する流れになります。
最近では、オンライン完結(eKYC)に対応しているため、店舗へ行かずに電話番号の移行が可能です。
ケース | 対応方法 |
同じキャリア内で物理SIM→eSIMに変更 | オンラインまたは店舗で手続き可能 |
他社へMNPで番号を移す | MNP予約番号を取得→新キャリアでeSIM契約 |
オンラインで完結させたい | eKYC対応の事業者を選ぶ |
引き継ぎ前に、eSIM対応端末かどうか、SIMロック解除済みか、契約中のプランや解約金の有無を確認しておくとスムーズです。
MNP予約番号は通常10日間程度の有効期限があるため、取得後は速やかに乗り換え手続きを進めましょう。
海外旅行や出張時に手軽でコスパのよい通信手段がデータ専用eSIMです。
トリファ(trifa)では、旅行中に通信量が足りなくなっても、アプリ上で簡単に追加購入が可能です。現地でのSIM探しや高額なローミング料金に悩まされることがなくなります。
また、トリファはiOS/Androidどちらにも対応しており、日本語にも対応済みです。海外で快適かつ安価に通信環境を整えるなら、トリファ(trifa)をチェックしてみてはいかがでしょうか。
ライター
トリファ編集部
海外旅行の際に知っておくと良い情報や、通信に関する疑問点を解消できる情報を提供させていただきます。皆様の海外渡航がより良いものになるための手助けとなれればと思います。