タージ・マハルやガンジス川、スパイス香る食文化など、独特の魅力を持つインドですが、出発前に治安状況を確認しておきたいと考える方は多いのではないでしょうか。実際、インドでは観光客を狙った詐欺やスリ、ひったくりが頻発しており、日本と比べてかなり踏み込んだ防犯対策が求められる国です。 さらに、ジャンム・カシミール準州や北東部の一部地域には外務省が高めの危険レベルを発出しており、エリアごとのリスクは大きく異なります。観光地として整備されたデリーやアグラ、ムンバイであっても、旅行者を狙う巧妙な手口が日常的に確認されているのが現状です。 この記事では、インドの最新の危険レベルや都市別の治安、よくある犯罪・詐欺の手口、女性旅行者の安全対策、緊急時の連絡先までをわかりやすくまとめました。出発前にひと通り目を通し、安心してインドを楽しむための準備に役立ててください。
目次

インドの治安は、地域によって状況が大きく異なります。出発前にまず外務省の最新情報をチェックし、渡航にあたって押さえておくべき基本を整理しておきましょう。
外務省はインドに対し、地域ごとに異なる危険レベルを発出しています。観光で訪れる主要都市は最低レベルの「十分注意」に区分されている一方、北部の一部地域では渡航中止や退避勧告が継続中です。
レベル1とはいえ、首都デリーやムンバイ、アグラ、バラナシなどの主要観光地でも、旅行者を狙った犯罪や詐欺は日常的に発生しています。出発直前には外務省「海外安全ホームページ」で最新情報を確認しましょう。
インドでは人口密集地での軽犯罪が多く、特にスリ・ひったくり・ぼったくり・詐欺といった旅行者を狙った犯罪が顕著です。日本のように財布をポケットに入れて歩く感覚で行動すると、被害に遭う可能性が高い水準にあります。
また、女性に対する性犯罪も社会的な課題として残っており、日本人を含む外国人女性が被害に遭った事例も報告されています。夜間の単独行動や人気のない場所への立ち入りは、男女問わず避けるのが基本です。
犯罪は派手な強盗よりも、巧妙に近づいてくる「親切な人」を装った手口が多いのも特徴です。手口を事前に知っておくだけで、被害確率は大きく下げられます。
インドでは過去にムンバイやデリーなどの大都市でテロ事件が発生しており、現在も完全にリスクが消えたわけではありません。人混みや観光名所、宗教施設、政府機関周辺では周囲の様子に気を配り、不審な物や人がいれば速やかに離れましょう。
自然災害では、6〜9月のモンスーン期に洪水や土砂災害が発生しやすく、北部山岳地帯では雪崩や地震のリスクもあります。乾季でも大気汚染(PM2.5)が深刻な水準に達することがあるため、呼吸器が弱い方はマスクや空気清浄機の用意も検討するとよいでしょう。
インドの主要都市は、それぞれ治安の特徴が異なります。観光で訪れる都市ごとに、犯罪傾向と注意点を押さえておきましょう。
首都デリーは、インドで最も観光客向け犯罪が多い都市の一つです。ニューデリー駅周辺やメインバザール、コンノートプレイス周辺では、客引きや偽ツーリストインフォメーションを装った詐欺が頻発しています。
「ホテルが閉鎖された」「メトロの駅が使えない」「祭りで街が封鎖されている」といった嘘でリキシャや旅行代理店に連れ込み、高額ツアーを売りつける手口が代表例です。事前予約済みの宿泊先以外への案内は、どんな理由があっても断りましょう。
夜間や早朝の女性単独行動はとくに危険度が上がります。女性旅行者を狙った性犯罪も継続して報告されているため、宿泊先の選定や移動手段は安全側に振った判断を心がけてください。
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ムンバイは金融・商業の中心で、外国人駐在員も多く一見近代的な街並みが広がります。ただし、一般犯罪の発生率はインド国内で最高水準とされ、窃盗・詐欺・睡眠薬強盗などが報告されています。
ダラヴィのスラム街周辺や、ヴィクトリア・ターミナス駅(CSMT)周辺の混雑エリアではスリやひったくりに注意が必要です。観光ツアーで訪れる場合も、貴重品はホテルのセーフティボックスに預け、最低限の現金とコピーのパスポートだけを持ち歩きましょう。
夜間のバーやクラブで初対面の人物から飲み物を勧められた場合は、安易に口をつけないことが鉄則です。睡眠薬を混入される事件は、ムンバイを含む大都市で実際に確認されています。
タージ・マハルがあるアグラでは、観光客を狙ったぼったくりや偽ガイドの勧誘が日常的に行われています。チケット販売所周辺で「正規入口は閉鎖中」「特別料金が必要」といった声をかけてくる人物には応じず、必ず公式の窓口で購入しましょう。
ヒンドゥー教の聖地バラナシでは、ガンジス川での沐浴を勧める偽の「司祭」が高額のお布施を要求する手口や、火葬場周辺で写真撮影を口実に金銭を要求するケースが報告されています。宗教施設では断る勇気を持ち、撮影マナーにも配慮してください。
ゴアやヴァルカラといったビーチリゾートでは、女性一人での夜のビーチ歩きは避けるのが安全な目安です。リゾート地でも油断せず、複数人での行動を基本にしましょう。
インドで日本人旅行者が遭遇しやすい犯罪には、典型的なパターンがあります。手口を知っておけば、現場で冷静に判断しやすくなります。
スリは駅やバザール、観光地の混雑エリアで多発します。背後からリュックの外ポケットを切り裂かれたり、人混みで気を引かれている隙に財布を抜かれるケースが典型的です。
対策として、貴重品は分散して持ち、リュックの外ポケットに財布や貴重品を入れないことが基本です。バッグは体の前に抱え、スマートフォンを路上で操作する時間を最小限に抑えましょう。
ひったくりはバイクやオートリキシャからの襲撃が多いため、歩道側ではなく建物側にバッグを掛ける、ストラップ付きのバッグを斜めがけにするといった工夫が有効です。
空港やニューデリー駅周辺には、政府公認を装った偽の観光案内所が多数存在します。「正規の案内所はこちら」と声をかけ、別の場所へ連れ込まれて高額ツアーを契約させられる被害が多発しています。
空港から市内への移動は、流しのタクシーを避け、UberやOlaなどの配車アプリ、または空港公式のプリペイドタクシーカウンターを利用するのが安全な目安です。Olaは日本のGoogle Playストアでは公式版が表示されないことがあるため、現地到着後にダウンロードする方法も検討してください。
配車アプリは料金とルートが事前に確定し、リアルタイムで運行を共有できる点が大きな安心材料になります。リキシャを使う場合も、料金は乗車前に必ず確定させましょう。
バーやレストラン、長距離列車内で「友達になろう」と親しげに話しかけられ、飲み物や食べ物に薬物を混入される事件が報告されています。意識を失っている間に貴重品を奪われるだけでなく、暴行に発展するケースもあります。
対策の鉄則は、初対面の人物からの飲食物は受け取らないことです。自分の飲み物からも目を離さず、トイレに立つ際は飲み残しを破棄して新しいものを注文し直すと安全度が上がります。
寝台列車では、貴重品は枕の下や寝袋の中に入れてチェーンロックで固定し、深い睡眠中に持ち去られないよう備えましょう。エアコン付きクラス(AC2/AC3)以上は比較的安全とされていますが、油断は禁物です。
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インド、特にデリー近郊ではATMのスキミング被害が多く報告されています。ATMを使う際は、空港・銀行内・大型ホテル併設など警備員が常駐している場所を選び、屋外の独立型ATMは避けるのが目安です。
アグラやジャイプールなどの観光都市では、「日本に転売すれば数倍の利益が出る」と持ちかけてくる偽宝石詐欺の事例も報告されています。輸入規制や偽物のリスクがあり、現地での宝石購入は基本的に避けるのが無難です。
クレジットカードを店頭で使う際は、店員がカードを別室に持ち込まないか確認し、明細はその場で必ずチェックしましょう。少しでも違和感があれば、その店での決済はやめて現金や別カードに切り替える判断も有効です。

犯罪以外にも、女性旅行者ならではの配慮や、体調・交通に関するリスクが存在します。事前に注意点を押さえておけば、想定外のトラブルを大きく減らせます。
女性旅行者は、男性以上に行動と服装への配慮が求められます。インドの一般的な感覚に合わせ、肌の露出が少ない服装(長袖・長ズボン、ロング丈のスカート等)を選ぶのが目安です。寺院では肩や膝を覆う服装が求められる場合もあります。
夜間の一人歩きは原則として避け、ホテルから目的地までの移動は配車アプリやホテル手配のドライバーを利用するのが安全側の判断です。男性から声をかけられても応じず、はっきりと「ノー」と伝え、連絡先や宿泊先を教えないことを徹底しましょう。
インドには「181」という女性向け緊急ヘルプライン番号があり、トラブル時に通報できます。緊急ダイヤル「112」は警察と救急のどちらにも対応しており、英語で通報可能です。
インド旅行で多いトラブルの一つが、いわゆる「デリー腹」と呼ばれる旅行者下痢症です。原因は水道水・氷・生野菜・カットフルーツなどに含まれる雑菌で、初インドの旅行者ほど発症しやすい傾向があります。
対策として、飲料はキャップが未開封のミネラルウォーターを徹底し、屋台の氷や生水は避けてください。生野菜・カットフルーツも基本的に避け、加熱調理された熱々の料理を選ぶのが目安です。
発症した場合は脱水を防ぐため、経口補水液(ORS)の摂取を優先しましょう。症状が3〜4日以上続く場合や、高熱・血便を伴う場合は速やかに医療機関を受診してください。デング熱やマラリアといった蚊が媒介する感染症もあるため、虫除けスプレーや長袖の活用も有効です。
インドの道路は車・バイク・オートリキシャ・牛・人が混在し、交通事故のリスクが日本とは桁違いに高い水準にあります。横断歩道があっても車は止まらないことが多いため、現地の人と一緒に渡るのが安全な目安です。
オートリキシャはメーターが正常に動かないことや、外国人と見るとぼったくり料金を提示されることが日常的にあります。配車アプリ(UberのAuto、Ola Auto)を使えば事前に料金が確定し、料金交渉のストレスから解放されます。
長距離列車は治安と利便性の観点から、エアコン付きクラス(AC2/AC3)以上の利用を推奨します。下級クラスは混雑が激しく、貴重品の管理が難しいため、初めての旅では避けたほうが無難でしょう。
万が一トラブルに巻き込まれた場合に備え、緊急連絡先や対応手順、入国・通信の準備を出発前に整えておきましょう。
インドの主要な緊急通報番号は以下の通りです。観光地を中心にツーリストポリスが配置されている場所もあり、英語で対応してもらえることが多いため、通報先として活用できます。
用途 | 番号 |
|---|---|
全国緊急番号(警察・救急) | 112 |
警察 | 100 |
消防 | 101 |
救急車 | 102 |
女性ヘルプライン | 181 |
パスポート紛失・盗難や重大なトラブルに巻き込まれた場合は、在インド日本国大使館(ニューデリー)または各地の総領事館に連絡してください。
機関 | 連絡先 |
|---|---|
在インド日本国大使館(ニューデリー) | +91-11-4610-4610 |
出発前に外務省の「たびレジ」に登録しておくと、現地の安全情報がメールで届き、緊急時にも大使館からの支援を受けやすくなります。登録は無料なので、必ず済ませておきましょう。
インドへの観光目的の渡航にはビザが必須で、多くの旅行者は事前にe-Visa(電子ビザ)をオンラインで取得します。30日・1年・5年の3種類があり、滞在期間や旅行スタイルに応じて選択できます。
申請はインド政府公式サイト(indianvisaonline.gov.in)から行い、代行業者の非公式サイトを利用すると追加手数料を取られたり、ビザが発行されないリスクがあります。必ず公式URLから申請してください。
入国時にはe-Visaの確認書(プリントアウト)と、6か月以上有効なパスポート、復路の航空券などを提示します。詳しい申請手順は別記事にまとめているので、出発前に確認しましょう。
関連記事:インドビザ完全ガイド|e-Visa申請方法と料金・必要書類を解説
インド旅行の安全を支える要として、安定した通信環境の確保は欠かせません。配車アプリの利用、地図アプリでのルート確認、緊急通報、家族や大使館への連絡など、スマートフォンが常に使える状態であることが最大の防犯対策の一つです。
インドでは無料Wi-Fiの提供が限定的で、接続できても通信が不安定なケースが多くあります。トラブルに遭遇したときに連絡が取れない事態を避けるため、出発前にeSIMやプリペイドSIMを準備しておきましょう。
とくにeSIMなら、出発前に日本でプランを購入・設定しておけば、現地到着直後からデータ通信が使える状態になります。空港でSIMカードを差し替える手間や、現地カウンターでの契約トラブルを避けられる点もメリットです。

インドはエリアやタイミングによって治安状況が変わる国ですが、危険レベルの高い地域を避け、デリーやムンバイの主要都市での詐欺・スリ・睡眠薬強盗への基本対策を徹底すれば、安全で印象深い旅行を楽しめます。
利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」なら、アプリをダウンロードしてプランを購入するだけで、インド到着直後からデータ通信が使えます。SIMカードの差し替えや空港でのレンタル手続きは不要で、手頃な価格で通信を確保できる点も魅力です。
インド旅行ならではのスリ対策としても、SIMカードを取り出す機会が減るeSIMは防犯面でメリットがあります。出発前に設定を完了しておけば、デリー空港に着いたその瞬間からUberやマップアプリを使い始められます。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。