クアラルンプールのツインタワーやペナン島の多文化タウン、コタキナバルのボルネオ自然など、見どころが多彩なマレーシアは、日本から直行便でアクセスしやすい人気の旅行先です。東南アジアの中では比較的治安が良い国として知られていますが、観光客を狙ったひったくりや詐欺は今も発生しており、日本の感覚で油断していると思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。 外務省の海外安全情報では、クアラルンプールを含むマレー半島の大部分と東マレーシア(ボルネオ島)の多くは危険情報が発出されていませんが、サバ州東海岸の一部島嶼はレベル2〜3が指定されており、身代金目的の誘拐リスクが続いています。また、マレーシアは麻薬に関する法律が極めて厳しく、知らなかったでは済まされない厳罰が科される点も渡航前に必ず把握しておくべきポイントです。 この記事では、外務省の最新情報をもとに地域別の危険レベル、日本人旅行者が巻き込まれやすい犯罪の手口と対策、入国に必要なビザ・MDAC情報、緊急連絡先までを網羅しました。初めてのマレーシア旅行でも安心して楽しめるよう、出発前にぜひ確認しておきましょう。
目次

マレーシアは東南アジアの中でも比較的安定した治安を誇る国ですが、地域によって危険度は大きく異なります。まず外務省の最新情報を確認し、渡航先のリスクを正確に把握しましょう。
外務省の海外安全情報(2026年5月現在)によると、マレーシアの大部分には危険情報が発出されておらず、クアラルンプールやペナン、マラッカ、クアラルンプール周辺の観光地は「危険情報なし」となっています。一方で、サバ州東海岸は以下の区分で危険情報が発出されています。
サバ州東海岸では2013年以降、武装集団によるダイビングリゾートへの襲撃や身代金目的の誘拐事件が発生してきた経緯があります。2020年1月以降は誘拐事件の発生は確認されていませんが、危険レベルは継続中です。ランカヤン諸島など人気のダイビングスポットが含まれるため、計画している方は必ず最新の外務省情報を確認してください。
東南アジアの中でも政治的安定度が高いマレーシアは、テロや政治的な混乱によるリスクは低い国です。ただし、財産犯(スリ・ひったくり・置き引き)の発生頻度は日本より明らかに高く、特に観光客が集まるエリアでの注意が必要です。
夜間は都市部でも犯罪リスクが高まるため、夜遅い時間の一人歩きは控えることが基本となります。また、マレーシアでは麻薬に関する法律が極めて厳しく、旅行者も例外ではありません。詳しくは後述しますが、知らずに違反してしまうケースもあるため、事前の知識が重要です。
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マレーシアの主要観光地はそれぞれ治安の特徴が異なります。旅行で訪れることの多い4エリアについて、危険スポットと注意すべき点を整理しました。
マレーシアの首都クアラルンプールは、近代的な街並みと安全なエリアが共存している一方で、観光客を狙った軽犯罪が頻発しています。特に注意が必要な3エリアを押さえておきましょう。
ブキビンタンはショッピングモールが集まる観光の中心地で、混雑した歩道でのスリ被害が多発しています。スマートフォンをテーブルに置いたままにしたり、リュックを後ろに背負ったままにしたりすると被害に遭いやすい環境です。ジャランアローは有名なナイトマーケット・フードストリートで、複数人のグループによるスリが報告されています。ブリックフィールズはインド系文化が息づく地区ですが、置き引きやひったくりの被害が継続して発生しています。
いずれのエリアも、貴重品を前に持ち、スマートフォンを路上で長時間操作しないことが基本的な対策となります。
ペナン島のジョージタウンやランカウイ島、マラッカ市街は、クアラルンプールと比べると犯罪件数が少なく、日中の観光は比較的安心して楽しめます。ただし、油断は禁物です。
ペナン島では自転車やバイクでの走行中に通行人の荷物をひったくる事案が報告されています。リゾート地のランカウイでもレンタカーやバイクを駐車している間に車上荒らしが発生することがあります。マラッカは観光地化が進み警察の巡回も多いエリアですが、混雑するオランウータン像周辺では人混みに乗じたスリに注意してください。
夜間の単独行動は、これらの地域でも避けるのが賢明です。ホテルや観光地間の移動は、Grab(グラブ)などの配車アプリを利用すると安全かつトラブルを避けられます。
ボルネオ島のコタキナバル市街地は、街中の治安は比較的安定しており、自然体験やオランウータン観察、ダイビングを楽しむ旅行者で賑わっています。ただし、コタキナバルから東海岸方向に進むと状況が大きく変わります。
サンダカン以東の島嶼は前述のとおり外務省の危険情報対象地域です。マブール島やシパダン島などのダイビングスポットを訪れる際は、出発前に外務省「海外安全ホームページ」で最新の危険情報を確認し、渡航保険の補償内容も確かめてください。コタキナバルからマレー半島(クアラルンプールなど)へ移動する際は国内便でもパスポートチェックが実施される点も覚えておきましょう。
マレーシアで日本人旅行者が被害に遭う犯罪は、ある程度パターンが決まっています。手口を事前に知っておくことで、未然に防ぐ確率が大幅に上がります。
マレーシアで最も多い犯罪はひったくりです。バイクや自転車に乗った2人組が、歩道の車道側を歩いている旅行者の肩掛けバッグやスマートフォンを奪い去る手口が典型的です。バッグは常に建物側(壁側)の肩にかけ、スマートフォンは使い終わったらポケットにしまう習慣をつけましょう。
人混みや公共交通機関の中ではスリにも注意が必要です。エスカレーターやエレベーターで複数人に取り囲まれて財布を抜き取られる手口も報告されています。カフェやレストランでは椅子の背にバッグをかけたまま席を離れることは避け、荷物は膝の上か足の間に置くようにしましょう。
「パスポートチェック」を名目に近づいてくる偽警官や偽警備員による詐欺が、クアラルンプールの観光地周辺で発生しています。正規の警察官が路上で観光客から突然現金や貴重品の確認を求めることは通常ありません。身分証の提示を求め、不審と感じた場合はその場での支払いを拒否し、ホテルのフロントや大使館に連絡する姿勢を示すだけで回避できるケースが多いです。
また「家族が日本に留学している」「一緒にゲームをしよう」などと誘ってくる人物に注意が必要です。自宅やレストランに連れて行かれた後、複数の共犯者によるいかさま賭博に参加させられ、大金を要求される手口が報告されています。初対面の人物からの誘いには応じないのが鉄則です。
クアラルンプールでは、メーターを使わず高額料金を請求する悪質なタクシーが今も存在します。特に空港や繁華街周辺に多く、「Grab(グラブ)はこの辺ではダメ」などと嘘をついて乗客を誘導するケースもあります。
配車アプリ「Grab」を利用すれば、目的地と料金があらかじめアプリ上で確定するため、降車時のトラブルを防げます。クアラルンプール国際空港(KLIA)では公式のGrabピックアップゾーンが設けられており、安全に利用できます。夜遅い時間帯のタクシー利用は特に危険なため、Grabの利用を強く推奨します。

マレーシアが旅行者に対して最も強調している注意事項の一つが、麻薬に関する法律です。日本では軽視しがちな「薬物」への対応が、マレーシアでは文字通り命に関わります。
マレーシアの危険薬物法(Dangerous Drugs Act)では、ヘロインやモルヒネを15g以上、マリファナを200g以上所持または密輸した場合に、死刑が規定されています。これらの量に満たなくても、所持・使用・売買に対しては長期の懲役刑や高額の罰金が科されます。
日本人が覚醒剤をマレーシアに持ち込んで死刑判決を受けた事例が実際に発生しています。「外国人旅行者だから少しなら大丈夫」「知らなかった」という言い訳は一切通用しません。在マレーシア日本国大使館も、大麻など違法薬物の密輸・所持に関する注意喚起を継続して発出しています。
麻薬事件で特に注意が必要なのが「運び屋」として利用されるケースです。空港や観光地で見知らぬ人から「ちょっとこれを持っていてほしい」と荷物を預かった結果、中に大量の違法薬物が入っていたという事案が発生しています。
内容物を把握していない荷物は絶対に預からないことが鉄則です。バックパック旅行やゲストハウス滞在中に他の旅行者から頼まれた場合も同様です。旅行中に知り合った人物の荷物を無報酬で運ぶ行為自体、疑わしい状況といえます。
麻薬以外にもモデルガンや飛び出しナイフ、短剣類はマレーシアへの持ち込みが禁止されており、違反した場合は拘留や罰金の対象となります。また、タバコの広告が掲載された雑誌や冊子の持ち込みも禁止されていることは意外と知られていません。出発前に手荷物と受託手荷物の中身を確認し、規制品が含まれていないかチェックしましょう。
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マレーシア渡航に際して、ビザや入国手続きに関して事前に確認しておくべきポイントをまとめました。手続きを怠ると搭乗拒否や入国拒否につながるケースがあるため注意してください。
日本国籍者は観光・商用目的であれば、90日以内の滞在にビザは不要です。ただし、以下の条件を満たしていることが求められます。
パスポートがIC(電子)旅券でない場合はビザ免除対象外となる点にも注意してください。90日を超える滞在を予定する場合は、出発前に駐日マレーシア大使館でビザを取得する必要があります。
2023年以降、マレーシアに入国するすべての外国人はMDAC(Malaysia Digital Arrival Card)の事前登録が必須となっています。登録はマレーシア移民局の公式サイト(https://imigresen-online.imi.gov.my/mdac/main)から行います。
到着の3日前から登録が可能で、登録を忘れると航空会社に搭乗を拒否されることがあります。登録は無料ですが、類似した有料の代行サイトが多数存在するため、必ず公式URLを確認してください。クアラルンプール国際空港(KLIA)ではMDAC登録済みであれば自動化ゲート(AutoGate)を利用して入国審査を通過できます(身長120cm以上が条件)。
マレー半島からサバ・サラワク(ボルネオ島)へ国内便で移動する際も、パスポートの提示と入国スタンプが必要になります。東マレーシアを旅行する場合は、パスポートを常に携行するようにしましょう。
トラブルに遭った際にすぐ動けるよう、連絡先と通信手段を出発前に整えておくことが重要です。スマートフォンがすぐに使える状態であることが、マレーシアでの安全を大きく左右します。
マレーシアの緊急通報番号は警察・救急ともに999です(消防は994)。携帯電話からは112でも警察と救急につながります。クアラルンプール市内では英語が通じるオペレーターが対応しているため、焦らず落ち着いて状況を伝えましょう。
犯罪被害に遭った場合は、必ず警察に届け出て被害届(ポリスレポート)を入手してください。海外旅行保険の請求やパスポート再発行に必要な書類です。ツーリストポリス(観光警察)はクアラルンプール市内の主要観光エリアに配置されており、英語での対応が可能です。
パスポートの紛失・盗難、事件・事故、身柄拘束などの緊急事態が発生した際は、在マレーシア日本国大使館に連絡してください。
機関 | 電話番号 |
|---|---|
在マレーシア日本国大使館(クアラルンプール) | +60-(0)3-2177-2600 |
在ペナン日本国総領事館 | +60-(0)4-226-3030 |
在コタキナバル領事事務所 | +60-(0)88-254-169 |
執務時間外の緊急案件は、大使館代表番号に電話すると自動音声の案内で緊急連絡先につながります。渡航前に外務省の「たびレジ」に登録しておくと、現地の安全情報をメールで受け取れるほか、緊急時に大使館からの支援を受けやすくなります。
海外での安全確保において、常時使えるインターネット接続は欠かせません。Grabの配車、Google マップでの現在地確認、大使館への連絡、緊急通報後の状況共有など、すべてスマートフォンが前提になっています。
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関連記事:海外eSIMとは?おすすめの選び方・料金・設定方法を初心者向けに徹底解説

マレーシアはクアラルンプールやペナン、ボルネオ(コタキナバル市街)など主要観光地の治安は安定しており、基本的な防犯対策を守れば安全に旅行を楽しめる国です。ただし、サバ州東海岸の島嶼は渡航中止勧告レベルの地域があること、麻薬に関して日本の常識が通用しない厳罰が科されること、ひったくりや偽警官詐欺は今も現地で頻発していることを念頭においておく必要があります。
旅行中のトラブル対応には、安定した通信環境が欠かせません。緊急通報後の状況共有、配車アプリでの安全な移動手配、地図アプリでの位置確認、大使館への連絡——これらはすべてスマートフォンがオンライン状態であることが前提です。
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ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。