フィリピンは、美しいビーチリゾートや豊かな自然、フレンドリーな人々が魅力の人気観光地です。一方で「フィリピンは治安が悪い」というイメージから、渡航を迷う方も少なくありません。 実際のところ、フィリピンの治安はエリアによって大きく異なります。マニラやセブ島・ボラカイ島などの主要観光地は外務省の危険情報で「レベル1(十分注意してください)」に指定されており、基本的な防犯対策を取れば安全に旅行できます。一方、ミンダナオ島の西部やスールー諸島など一部地域は「レベル3(渡航中止勧告)」が継続しており、明確な地域差があります。 この記事では、外務省の最新の危険情報を踏まえ、フィリピン国内の地域別治安状況、旅行者が巻き込まれやすい犯罪の手口、具体的な防犯対策、入国前に必要な準備まで、安全な旅に役立つ情報をまとめました。正しい知識と備えがあれば、フィリピン旅行を存分に楽しむことができます。
目次

フィリピンを旅行するうえで、まず公的機関の安全情報と国全体の治安の傾向を把握しておくことが大切です。「フィリピン全体が危険」という先入観は正確ではなく、エリアごとの状況を理解することが安全な旅の第一歩です。
外務省の海外安全情報では、フィリピンを複数の危険レベルに区分しています。主要な観光地であるマニラ首都圏、セブ島、ボラカイ島、ダバオ市などは「レベル1(十分注意してください)」に指定されており、適切な防犯意識を持って行動すれば旅行は可能です。
一方、ミンダナオ島の西部・南部の複数の州(北サンボアンガ州・南サンボアンガ州・バシラン州・スールー州・タウィタウィ州・北ラナオ州・コタバト州・南ラナオ州・北マギンダナオ州・南マギンダナオ州・スルタン・クダラット州・サンボアンガ・シブガイ州など)は「レベル3(渡航は止めてください)」が継続しています。これらの地域では、アブ・サヤフ・グループ(ASG)やバンサモロ・イスラム自由戦士団(BIFF)などのイスラム過激派組織によるテロ・誘拐事件が多発しており、渡航は避けてください。
また、パラワン州南部の一部やミンダナオ地方東部の一部州(ブキドノン州・南コタバト州など)は「レベル2(不要不急の渡航はやめてください)」に指定されています。これらの地域はパラワン島の人気観光地エルニドやコロン周辺とは異なる南部エリアに該当するため、渡航前に最新の外務省情報を必ず確認してください。
危険レベル | 主な対象地域 |
|---|---|
レベル3(渡航中止勧告) | ミンダナオ島西部・南西部の複数州(スールー州・バシラン州・タウィタウィ州・サンボアンガ半島等) |
レベル2(不要不急の渡航中止) | パラワン州南部、ミンダナオ地方東部の一部 |
レベル1(十分注意) | マニラ首都圏・セブ島・ボラカイ島・ダバオ市・パラワン北部など主要観光地 |
主要観光地を含むフィリピン全土では、スリ・ひったくり・睡眠薬強盗・詐欺などの犯罪が発生しています。在フィリピン日本国大使館によると、日本人が被害に遭うケースのうち、スリ・置き引き・ひったくりが最も多く、次いで詐欺・強盗の順となっています。
経済格差が大きいフィリピンでは、観光客が「大金を持っている外国人」として狙われやすい傾向があります。華美な服装やブランド品は控え、目立たない行動を心がけることが防犯の基本です。夜間の単独行動はできるだけ避け、移動には配車アプリ「Grab」を積極的に活用しましょう。
関連記事:マニラの治安は大丈夫?エリア別の危険度と旅行者向けの防犯対策まとめ
フィリピン国内でも、訪れるエリアによって治安状況は大きく異なります。主要な観光地ごとの特徴と注意点を整理しました。
セブ島はフィリピン最大の観光・留学地で、セブシティとマクタン島(空港がある)が主要な滞在エリアです。セブ・ビジネスパークやITパーク周辺、マクタンニュータウンなどは整備が進んでおり、日中の安全性は比較的高めです。
一方で、セブシティのダウンタウンエリア(コロン付近・カルボンマーケット・パシル地区)は、スリやひったくり、薬物取引が多いとされる地域です。観光目的でこれらのエリアに立ち入る必要性は低く、特に夜間は避けることをおすすめします。SMシーサイドシティやアヤラモール・セブなどの大型ショッピングモール内は入口に手荷物検査があり、安全性は高いです。
セブ島のタクシーでは、メーターを使わないぼったくりが報告されています。移動には配車アプリ「Grab」の利用が最も安全で、料金が事前確定するため降車時のトラブルも防げます。
ボラカイ島は東南アジア有数のビーチリゾートで、外務省の危険情報では「レベル1」に指定されています。観光インフラが整備されており、比較的安全に旅行できる島ですが、ホワイトビーチ周辺では観光客を狙ったスリや置き引きが発生しています。
三輪バイク(トライシクル)での移動ではぼったくりの報告が多く、料金は乗車前に必ず交渉・確認してください。また、人気エリアではビーチでの持ち物管理を徹底し、貴重品は宿泊先のセーフティボックスに預けておくのが安全です。
ボホール島は比較的治安が良好で、チョコレートヒルやターシャ保護区など穏やかな観光地が並んでいます。ただし、夜間の一人歩きや人通りの少ない場所での行動は避けましょう。
ミンダナオ島は、地域によって治安状況が大きく異なります。最大都市のダバオ市は厳格な法執行と24時間体制の警備が行き届いており、「フィリピンの治安モデル都市」と呼ばれ、レベル1に指定されています。
ただし、ミンダナオ島の多くの州、特に西部・南西部地域はレベル3(渡航中止勧告)が発出されています。スールー州・バシラン州・タウィタウィ州とその周辺海域では、イスラム過激派グループによる外国人を含む誘拐事件が過去に多発しており、現在も治安当局との武力衝突が続いています。ダバオ市以外のミンダナオ島への渡航は、最新の外務省情報を必ず確認してから判断してください。
エルニドやコロンなどの絶景スポットがあるパラワン島北部は「レベル1」で、ダイビングや離島観光を楽しむ日本人旅行者も多いエリアです。島内移動には飛行機やボートを利用しますが、天候変化によるスケジュール変更も多いため、スケジュールに余裕を持った計画が重要です。
パラワン州南部(プエルト・プリンセサより南のエリア)は「レベル2」が発出されており、観光目的での渡航は推奨されません。渡航前に外務省の地図情報で対象エリアを必ず確認してください。
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フィリピンで日本人旅行者が遭遇しやすい犯罪には、いくつかの典型的なパターンがあります。手口を事前に理解しておけば、危険を察知して回避できる確率が大きく上がります。
フィリピンで最も発生件数が多い犯罪がスリ・ひったくり・置き引きです。ジプニー(乗合バス)やLRT(高架鉄道)などの公共交通機関内、ショッピングモールの出入口付近、観光地の人混みで被害が頻発しています。
バイクに2人乗りした犯人が歩行中の観光客の背後から近づき、肩掛けバッグやスマートフォンを奪って走り去る「タンデム強盗」も報告されています。歩行中はスマートフォンをバッグにしまい、バッグは体の前側で抱えるよう習慣づけましょう。物乞いを装った子どもが集団で取り囲んでくる場合も、スリの手口であることがあります。
フィリピンで特に警戒が必要な犯罪が睡眠薬強盗です。「日本に親戚がいる」「日本語を練習したい」などと話しかけてきた人物に、食事や飲み物に催眠薬を混入されて意識を失い、金品を奪われる手口です。
被害者は日本人男性に多く、路上・ショッピングモール・カフェなどで声をかけられるパターンが一般的です。見知らぬ人からの食事・飲み物の誘いには応じないこと、自分の飲み物から目を離さないことを徹底してください。一度でも飲み物を渡された場合、少し目を離しただけで薬を入れられる可能性があります。
観光客に親しげに近づいてきた人物に家や別の場所に誘われ、トランプゲームなどの賭けに参加させられる詐欺です。最初はわざと勝たせて警戒を解いたあと、仕組まれたゲームで大きく負けさせ、多額の支払いを迫ります。
現金がない場合はATMに連れて行かれ、クレジットカードでのキャッシングを強制されるケースも報告されています。外務省の海外邦人事件簿でも注意喚起が行われている手口であり、見知らぬ人の誘いには絶対に応じないことが最善策です。
フィリピンでは国を挙げて違法薬物の取り締まりを強化しており、警察によるおとり捜査が実施されています。路上で見知らぬ人から薬物を見せられて手に取った時点で現行犯逮捕される事例が報告されており、厳しい刑罰が科される可能性があります。見知らぬ人から物を受け取る際は細心の注意を払ってください。
流しのタクシーでは、メーターを使わずに高額を請求したり、遠回りをしたりするぼったくりが多発しています。なかには乗客をATMに連れて行き、現金を引き出させる悪質なケースも報告されています。
マニラ・セブ島ともに、移動は配車アプリ「Grab」を利用するのが最も安全です。Grabなら乗車前に料金と経路が確定し、ドライバー情報も記録されるため、降車後のトラブルを防げます。Grabの利用にはインターネット接続が必要なため、到着前に通信手段を準備しておきましょう。
ATM周辺では、カードリーダーにスキミング装置が取り付けられている事例が報告されています。ATMを利用する際は、カードスロット付近に不審な装置がないか確認し、暗証番号の入力時は手で隠すようにしましょう。銀行内や大型ショッピングモール内のATMの方が、路上のATMよりも安全性が高いです。
制服を着た偽の警察官が「パスポートチェック」「麻薬捜査」と称して近づき、財布や現金を確認するふりをして盗み取る詐欺も報告されています。本物の警察官は路上で観光客に対していきなり金銭を要求することはありません。不審に感じたら身分証の提示を求め、応じる前にホテルや日本大使館に相談してください。
フィリピンでのリスクを把握したうえで、具体的にどう行動すればよいかを確認しておきましょう。基本的な防犯対策を徹底するだけで、被害に遭う確率は大幅に下がります。
ブランド品の時計・アクセサリーや高価なカメラを持ち歩くと、犯罪のターゲットにされやすくなります。旅行中は目立たない服装を心がけ、高価な物は宿泊先のセーフティボックスに預けましょう。
財布は最低限の現金だけ入れた薄いもの1つを外ポケットに入れ(万が一の際の「おとり財布」として機能する)、メインのカードや予備の現金はウエストポーチや首から下げる防犯ポーチに分散させておくと安心です。パスポートの原本は宿泊先に保管し、コピーを携帯してください。
フィリピン国内での移動は、配車アプリ「Grab」を第一の選択肢にしましょう。流しのタクシーを拾う必要がある場合は、必ずメーターの使用を確認し、乗車前に行き先と大まかな料金を確認してください。
夜間の一人歩きはどのエリアでも避けるのが基本です。ショッピングモールから宿泊先への移動もGrabを使い、徒歩移動を最小限に抑えましょう。ジプニーやLRTを利用する場合は、混雑した車内での貴重品管理を特に意識してください。
複数人での行動は犯罪リスクを大幅に下げます。特に夜間は、よく知らないバー・クラブへの一人での立ち入りは避けてください。バーなどで知り合った見知らぬ人から別の場所への誘いがあっても、安易についていかないことが大切です。
飲み物に薬物を混入される「ドリンクスパイキング」の被害はフィリピン全土で報告されており、自分のグラスから目を離す行為は避けましょう。トイレに立つ際は飲み物を持参するか、戻ってから新しいドリンクを注文してください。
関連記事:海外旅行の準備はいつから始める?やることリストを時系列で完全解説
安全な旅行のためには、現地でのリスク対策だけでなく、出発前の準備も重要です。フィリピン入国に必要な手続きと、緊急時に頼れる連絡先を事前に把握しておきましょう。
日本国籍者は、観光・商用目的で30日以内の滞在であればビザの取得が不要です。ただし、パスポートは滞在日数に6か月を加えた残存有効期間があることが推奨されており、残存期間が不足している場合は搭乗を拒否されることがあります。30日を超えて滞在する場合は事前にビザを取得してください。
2023年4月15日以降、フィリピン入国者全員(乳幼児を含む)には「eTravel(イートラベル)」への事前登録が義務付けられています。フィリピン到着の72時間前から登録が可能で、個人情報・健康状態・税関申告を入力し、発行されたQRコードを搭乗前および入国時に提示する必要があります。登録は無料で、専用ウェブサイトまたはアプリから行えます。出発前に登録を完了させておくと、空港でのスムーズな入国審査につながります。
なお、電子たばこ(VAPE)はフィリピンへの持ち込みが禁止されています。1万米ドル以上の外貨を持ち込む場合は申告が必要です。
万が一トラブルに遭った場合に備えて、以下の緊急連絡先をスマートフォンのメモアプリに保存しておきましょう。
機関 | 電話番号 |
|---|---|
警察・消防・救急(統一緊急番号) | 911 |
在フィリピン日本国大使館(マニラ) | (63-2) 8551-5710 |
邦人援護ホットライン(24時間) | (63-2) 8551-5786 |
在セブ日本国総領事館 | (63-32) 231-7321 |
在ダバオ日本国総領事館 | (63-82) 221-3200 |
フィリピンでは2016年から警察・消防・救急の緊急通報番号が「911」に統一されています。スマートフォンから無料でかけられますが、英語対応となるため、ホテルのフロントを介して連絡するのが確実です。
犯罪被害に遭った際は、帰国後の海外旅行保険の請求のため、最寄りの警察署で被害届(ポリスレポート)を必ず入手してください。パスポートを紛失・盗難された場合は、在フィリピン日本国大使館で「帰国のための渡航書」を申請できます。
フィリピンでの医療費は日本と比べて安い傾向にありますが、重症時の入院や緊急搬送が必要になると高額になるケースがあります。クレジットカード付帯の保険は補償範囲が限られる場合があるため、別途、治療・救援費用の補償が手厚い海外旅行保険に加入しておくことをおすすめします。
外務省の「たびレジ」(海外旅行登録サービス)に事前登録しておくと、フィリピンの最新安全情報がメールで届き、緊急時には大使館からの連絡を受け取りやすくなります。登録は無料で、出発前の数分で完了します。
関連記事:ベトナムの治安は大丈夫?旅行者が知っておくべき安全情報と防犯対策まとめ

フィリピンは地域ごとに治安の差はありますが、主要観光地では基本的な防犯対策を実践すれば安全に旅行できます。スリや詐欺の手口を知り、Grabの活用・貴重品の分散管理・夜間の単独行動の回避を徹底することが、フィリピン旅行を安全に楽しむ最大の秘訣です。
配車アプリGrabの利用・地図アプリでの現在地確認・緊急時の大使館への連絡・家族への状況報告など、フィリピン旅行での安全確保には安定したスマートフォンの通信環境が不可欠です。空港のWi-Fiや現地SIMカードの購入は手間がかかるうえ、到着直後に貴重品を取り出す行為自体がリスクになります。
利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」なら、日本にいるうちにプランを購入しておけば、フィリピン到着後に電源を入れるだけでデータ通信を開始できます。SIMカードの差し替えや空港での受け取り手続きは不要で、入国直後から配車アプリや地図が使える状態になるため、空港での不安なやり取りを最小限に抑えられます。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。