海外旅行の楽しみのひとつといえば、現地でしか味わえない料理ですよね。フィリピン料理は東南アジアでも比較的くせが少なく、酸味と塩味のバランスが日本人の口に合いやすいと言われています。 ただ、いざ現地のレストランに入ってみると、メニューに並ぶ料理名がどれも見慣れず、何を頼めばよいのか迷ってしまう方も少なくありません。アドボ、シニガン、レチョン、シシグなど、名前を聞いただけでは味の想像がつかない料理が多いのも事実です。 この記事では、フィリピン料理の定番15品を「主菜」「麺・ごはん」「スープ」「屋台・前菜」「デザート」の5カテゴリに分けて紹介します。味の特徴や代表的な地域、独特の調味料の使い方まで、初めての旅行でも迷わずに楽しめるようまとめました。 セブ島やマニラを訪れる前にひと通り目を通しておけば、現地のレストランや屋台で「食べたい料理」を自信を持って選べるようになります。
目次

フィリピン料理は、長い歴史のなかでスペイン、中国、マレー、アメリカといった多くの食文化の影響を受けながら発展してきました。そのため、煮込み料理から麺料理、デザートまで、ひとつの国の料理とは思えないほどバリエーションが豊かです。
味付けの軸は「酸味」「塩味」「うま味」の3つで、唐辛子をたっぷり使うタイ料理やベトナム料理とは異なり、辛さは控えめです。お酢や柑橘類で酸味を効かせる料理が多く、白いごはんとの相性が抜群なため、日本人の口に合いやすいと言われています。
フィリピンの食卓では、白いごはんが主役級のポジションを占めています。おかずは基本的にごはんに合わせて味が濃いめに作られており、現地では「ウラム(おかず)」と「カニン(ごはん)」をセットで食べるスタイルが一般的です。
レストランでも「ライスはおかわり自由」のお店が多く、シシグやアドボのような濃い味付けの料理を、ごはんと一緒に食べ進めるのが定番の食べ方になります。
1日3食のほかに「メリエンダ」と呼ばれる軽食タイムが午前と午後にあり、屋台のおやつや甘いデザートを楽しむ習慣も根付いています。
フィリピン料理を語るうえで欠かせないのが、テーブルに並ぶ独特の調味料です。代表的なのは「カラマンシー」「パティス」「バゴオン」の3つで、好みに合わせて自分で味を調整する文化があります。
こうした調味料を少しずつ加えながら、自分好みの味に仕上げていくのがフィリピン流の楽しみ方です。

フィリピンを訪れたら、まず押さえておきたいのが肉を使った定番の主菜です。豚肉や鶏肉をお酢と醤油で煮込んだり、丸ごと焼き上げたりと、調理法はシンプルながら奥深い味わいの料理が並びます。
ここでは現地のレストランや家庭で必ずと言っていいほど登場する、代表的な5品を紹介します。どれもごはんによく合い、日本人の口にも馴染みやすい味付けです。
アドボは、豚肉や鶏肉をお酢、醤油、にんにく、月桂樹の葉などと一緒にじっくり煮込んだ料理です。「アドボ」という言葉自体がスペイン語で「マリネする」「漬け込む」という意味を持ち、調味液に肉を漬け込んでから煮るのが基本になります。
味のベースは酸味と塩味で、お酢の爽やかな酸っぱさと醤油のうま味、にんにくの香りが絡み合い、ごはんが進む濃いめの味付けに仕上がります。家庭ごとに使うお酢の種類や煮込み時間が異なるため、お店によって少しずつ違う表情を見せてくれるのも魅力です。
フィリピン全土で食べられている料理ですが、地域や家庭によって鶏アドボ、豚アドボ、イカのアドボなどバリエーションが豊富にあります。
レチョンは、豚を一頭丸ごと炭火でじっくり焼き上げた、フィリピンを代表する祝祭料理です。お腹のなかにレモングラスやにんにく、玉ねぎなどのハーブを詰めて長時間ローストするため、皮はパリパリ、なかはジューシーに仕上がります。
結婚式や誕生日、フィエスタ(村祭り)には欠かせない料理で、特にセブ島のレチョンは「フィリピンで一番おいしい」と称されることも多く、観光客にも人気があります。マニラのケソン市やセブ島には専門店があり、1人前から切り売りで購入できる店もあります。
肝臓ベースの甘酸っぱいソースや、ビネガーをつけて食べるのが定番のスタイルです。
シシグは、豚の頬肉や耳、肝臓などを細かく刻み、玉ねぎや唐辛子、カラマンシーと一緒に鉄板で炒めた料理です。ルソン島中部のパンパンガ州が発祥とされ、もともとは余りがちな部位を活用する家庭料理から広まりました。
コリコリとした食感とピリ辛の味付けが特徴で、ビールのおつまみとしてフィリピン全土で愛されています。仕上げに生卵を落として混ぜながら食べるスタイルが定番で、お店によっては鉄板がジュージュー音を立てた状態で運ばれてくることもあります。
マニラやセブ島のフィリピン料理店ではほぼ確実にメニューにあり、観光客が初めて挑戦しやすい一品です。
カレカレは、牛肉やオックステール(牛の尾)、ナス、インゲン、チンゲン菜などを、ピーナッツバターをベースにした濃厚なソースでじっくり煮込んだ料理です。
名前は「カレー」に似ていますが、香辛料はほとんど使わずピーナッツのコクと甘みが主役で、まろやかでクリーミーな味わいに仕上がります。テーブルに添えられたバゴオン(発酵エビペースト)を少しずつ加えて、塩気とコクをプラスしながら食べるのが現地流です。
お祝いの席で振る舞われることが多く、レストランでは複数人でシェアできる大皿で提供されるのが一般的です。
チキン イナサルは、鶏肉をカラマンシーやアチュエテ(紅木の種)、にんにくなどで作ったマリネ液に漬け込み、炭火でじっくり焼き上げた料理です。ビサヤ地方の西ネグロス州バコロド市が本場として知られています。
アチュエテによって表面が鮮やかなオレンジ色に染まり、香ばしさと塩気、ほのかな酸味が組み合わさった味わいが特徴です。チェーン店「マンイナサル」が全国展開しており、観光客でも気軽に立ち寄れます。
ガーリックライスやスープ、ピリ辛の醤油ダレと組み合わせて食べるセットメニューが定番です。

フィリピンには、麺やごはんを使ったお腹を満たす一皿料理も豊富にあります。中国系移民の影響を受けた麺料理から、スペイン由来の炊き込みごはんまで、ルーツの多彩さを感じられるラインナップです。
ここでは、ローカルレストランやファストフード店で頻繁に見かける代表的な麺・ごはん料理を紹介します。
パンシット カントンは、小麦麺をエビや鶏肉、キャベツ、にんじん、ピーマンなどの野菜と一緒に炒め、醤油やパティス、カラマンシーで味付けした焼きそばのような麺料理です。
「パンシット」は中国語の「便食(便利な食事)」に由来する言葉で、フィリピンには中国系移民が持ち込んだ麺料理のバリエーションが数多く存在します。長い麺は「長寿」を象徴するとされ、誕生日や祝い事の席で大皿に盛って振る舞われるのが定番です。
仕上げにカラマンシーを絞ると、爽やかな酸味が加わり一気に味が引き締まります。
アロスカルドは、鶏肉やもち米、生姜、にんにくをじっくり煮込んだ、お粥のような料理です。スペイン語で「米のスープ」を意味し、もともと中国式のお粥がスペイン統治時代に名前を変えて定着したと言われています。
カラマンシーやパティス、揚げにんにく、ゆで卵をトッピングして食べるのが一般的で、優しい味わいから朝食や夜食、メリエンダの軽食としても親しまれています。
体調を崩したときや雨の降る日にもよく食べられる、ホッとするフィリピンの定番ごはんです。
シラパオは、中国の肉まんがフィリピン流にアレンジされた蒸しパン料理で、ジョリビーやチョーキンといった大手チェーン店でも定番メニューになっています。
中身は豚のあんが定番で、ゆで卵やチャーシューが入ったボリュームたっぷりのタイプもあります。1個でも満足感が高く、空港やショッピングモールのフードコートで小腹を満たすのにぴったりの一品です。
屋台や個人店では1個20〜30ペソ程度から購入でき、コストパフォーマンスの高さも魅力です。

暑いフィリピンでは、酸味や塩気の効いたスープが食欲を引き出す名脇役として活躍します。タマリンドの酸味やお肉のうま味をしっかり感じられるスープは、ごはんと一緒に食べると食が進みます。
ここでは、フィリピン人の家庭で頻繁に登場する代表的なスープを紹介します。
シニガンは、タマリンドの実から取った酸味をベースに、豚肉やエビ、魚、トマト、空芯菜などを一緒に煮込んだスープです。「シニガン」はタガログ語の「sigang(煮込み)」に由来し、「煮込まれたもの」を意味するフィリピンの家庭料理を代表する一杯として親しまれています。
強い酸味としっかりした塩味、野菜のうま味が組み合わさり、暑い気候でも食欲を引き出してくれる味わいです。タマリンドの代わりにグリーンマンゴーやカラマンシーで酸味を出すバリエーションもあります。
レストランでは豚肉のシニガン(シニガン ナ バボイ)、エビのシニガン(シニガン ナ ヒポン)が定番で、ごはんにかけて食べるスタイルが一般的です。
ブラロは、骨付きの牛すね肉や骨髄を、玉ねぎやキャベツ、トウモロコシなどと一緒に何時間も煮込んだスープです。バタンガス州を中心としたタガログ地方の郷土料理で、寒い高原地帯では特に人気があります。
見た目はあっさりした澄んだスープですが、骨からじっくり出汁を取っているため、深いコクとうま味が口に広がります。骨髄をスプーンですくって食べたり、パティスを少し加えて塩気を足したりと、現地ならではの食べ方も楽しめます。
体を温めたいときや、滋味深いスープでホッとひと息つきたいときにぴったりの一品です。

フィリピン旅行の楽しみのひとつが、街角の屋台で気軽に食べられるローカルグルメです。小腹を満たすスナックから、お酒のおつまみまで、安くて手軽な料理がそろっています。
ここでは、屋台や前菜として現地で愛される定番3品を紹介します。
ルンピアは、豚ひき肉やにんじん、玉ねぎ、もやしなどを薄い皮で包んで揚げたフィリピン風の春巻きです。中国系移民が持ち込んだ料理がフィリピン全土に広まり、お祝いの席から日常のおかずまで幅広く登場します。
揚げたサクサクのタイプ「ルンピアン プリト」と、生のまま提供される「ルンピアン サリワ」があり、お店や地域によって楽しみ方が異なります。スイートチリソースやお酢に唐辛子を加えたつけダレで食べるのが定番です。
屋台では1本5〜10ペソほどで購入でき、ちょっとした小腹満たしにぴったりの一品です。
キニラウは、新鮮な白身魚やマグロをお酢、カラマンシー、玉ねぎ、生姜、唐辛子と和えた、刺身のマリネのような料理です。中南米のセビーチェに近い調理法で、フィリピン南部のミンダナオ島やビサヤ地方が本場として知られています。
お酢の酸味で魚の表面が白く変化し、生のような食感を残しながらもしっかり締まった味わいが特徴です。冷えたビールやサンミゲルとの相性も抜群で、海辺のレストランで提供される定番の前菜になっています。
新鮮な魚介が手に入る島嶼部で食べると、より一層おいしさが際立ちます。
バロットは、孵化途中のアヒルの卵を茹でた屋台料理で、フィリピンを訪れる外国人観光客にとっては「挑戦系グルメ」として有名です。タガログ語で「包む」を意味し、殻を割ると黄身、白身、そして内部にひな鳥の形が見える独特の見た目をしています。
味自体はゆで卵に近く、塩やお酢、唐辛子をつけて食べるとうま味が引き立ちます。タンパク質が豊富で滋養強壮にも良いとされ、夜の屋台で売り歩く「バロット売り」の姿は、フィリピンの夜の風物詩です。
見た目に抵抗がある場合は、ひな鳥がまだ小さい初期段階のバロットを選ぶと食べやすくなります。

トロピカルフルーツに恵まれたフィリピンには、彩り豊かで個性的なデザートが数多くあります。暑い気候のなかで冷たいスイーツが発達し、見た目の華やかさも楽しめるのが特徴です。
ここでは、現地のレストランやカフェで定番の人気デザート4品を紹介します。
ハロハロは、かき氷の上にナタデココ、ゼリー、煮豆、ウベ(紫芋)アイス、レチェフラン(プリン)、トロピカルフルーツなどを盛り付けた、色鮮やかなデザートです。タガログ語で「混ぜこぜ」を意味し、その名のとおりスプーンでよく混ぜてから食べるのが本場のスタイルになります。
大手ファストフードチェーン「チョーキン」「ジョリビー」のハロハロは年間を通して提供されており、観光客でも気軽に楽しめます。マニラのザ・ペニンシュラマニラ内のラウンジでは、ウベアイスやレチェフランを贅沢に使った高級ハロハロも味わえます。
暑い日中の散策後に冷たいハロハロを食べると、フィリピン旅行ならではの幸福感を味わえます。
レチェフランは、卵黄と練乳、コンデンスミルクを贅沢に使い、蒸し器で蒸し上げたフィリピン版のプリンです。スペイン統治時代に持ち込まれた「フラン」が、より濃厚で甘いフィリピン流にアレンジされたのが始まりです。
ねっとりとした濃厚な甘さとカラメルのほろ苦さが絶妙にマッチし、ハロハロのトッピングとしても定番になっています。お祝いの席やクリスマス、新年など、人が集まる日の食卓には欠かせないデザートです。
スーパーマーケットでも個包装で売られているため、お土産としても人気があります。
トロンは、サババナナと呼ばれる料理用バナナにブラウンシュガーをまぶし、ルンピアの皮で包んで揚げた屋台スイーツです。表面はキャラメリゼされたカリカリ食感、なかはトロッと甘いバナナのコントラストが絶妙な一品になります。
屋台では竹串に刺して売られており、1本10〜20ペソほどから購入できます。アイスクリームを添えて「トロン アラ モード」として提供するカフェも増えていて、おしゃれなスイーツとしても人気が高まっています。
散策の合間に小腹が空いたとき、手軽に甘いものをつまみたいときに最適です。
タホは、温かい絹ごし豆腐に、サゴパール(タピオカに似たもちもち食感の粒)と、アルニバル(黒糖シロップ)をかけたヘルシーなスイーツです。早朝の屋台で売り歩く「タホ売り」の姿は、フィリピンの街角の風物詩として知られています。
豆腐の優しい味わいに、黒糖の濃厚な甘さともちもちの食感が絡み合い、朝食代わりに食べるフィリピン人も多い一品です。プラスチックカップで1杯20〜30ペソ程度と手軽な価格で、観光客でも気軽に挑戦できます。
カロリーが控えめでタンパク質が摂れるため、ヘルシー志向の旅行者にも人気があります。

フィリピンの料理を心ゆくまで楽しむためには、現地での通信環境を整えておくことも大切です。レストランの口コミを調べたり、Google Mapsで人気店を検索したり、SNSに料理写真を投稿したりと、旅先ではスマホをフル活用する場面が想像以上に多くなります。
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ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。