
iPhoneの機種変更時、eSIMの移行に手間取った経験はありませんか。従来はキャリアに連絡してeSIMの再発行手続きが必要でしたが、「eSIMクイック転送」を使えばiPhoneの設定画面だけで移行が完了します。 eSIMクイック転送は、BluetoothやiCloudを利用してeSIMのプロファイルを別のiPhoneへ直接転送できる機能です。キャリアへの連絡やQRコードの読み取りが不要で、数分で作業が終わります。 この記事では、eSIMクイック転送の仕組みや対応機種・キャリアの一覧、具体的な手順をステップごとに解説します。転送できないときの原因と対処法や、iPhone 17のeSIM専用化で重要性が増しているポイントもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次

eSIMクイック転送は、Apple が iOS 16 で導入した機能で、iPhone間でeSIMのプロファイルを直接やり取りできる仕組みです。従来のeSIM移行で必要だったキャリアへの連絡やQRコードの再発行が不要になり、端末の設定画面だけで移行が完了します。
ここでは、eSIMクイック転送の基本的な仕組みと、どのような場面で活用できるのかを見ていきましょう。
eSIMクイック転送には、主に2つの機能があります。1つ目は、旧iPhoneのeSIMを新しいiPhoneへ転送する「eSIM間転送」です。2つ目は、iPhoneに挿入している物理SIMカードをeSIMに変換する「SIM→eSIM変換」です。
いずれの場合もキャリアの窓口で手続きする必要がなく、iPhone上の操作だけで完結します。転送にかかる時間は通常数分程度で、手続きが完了するとすぐに新しいiPhoneで通話やデータ通信が利用できるようになります。
また、eSIMクイック転送を利用しても手数料は発生しません。キャリア経由でeSIMを再発行する場合は手数料がかかるケースもありますが、クイック転送なら無料で移行できる点も大きなメリットです。
eSIMクイック転送には、BluetoothとiCloudの2つの方式があります。Bluetooth方式は、旧iPhoneと新しいiPhoneを近くに置き、Bluetoothで直接通信してeSIMを転送します。両方のデバイスが手元にあるときに使える方式です。
iCloud方式は、同じApple Account(旧Apple ID)でサインインしている端末間で利用できます。旧端末が手元になくても、iCloud経由でeSIMを新しいiPhoneにダウンロードできる点が特徴です。
どちらの方式でも転送の結果は同じですが、Bluetooth方式のほうが旧端末を直接操作して確認できるため、より確実に進められます。
eSIMクイック転送が登場する前は、機種変更のたびにキャリアのマイページや店頭でeSIMの再発行手続きが必要でした。QRコードを発行してもらい、新しい端末で読み取るという手順は、慣れていない方にとってはハードルが高いものでした。
eSIMクイック転送では、こうした手続きがすべて省略されます。設定画面で数回タップするだけで移行が完了するため、スマートフォンの操作に詳しくない方でも安心して利用できます。
なお、eSIMクイック転送はあくまでiPhoneの機能であり、Androidスマートフォン同士でのeSIM転送には利用できません。ただし、iOS 26以降ではAndroidからiPhoneへのeSIM転送にも一部対応が始まっています。

eSIMクイック転送を利用するには、端末とキャリアの両方が対応している必要があります。せっかく手順を始めても、対応していなければ途中で転送に失敗してしまいます。
事前に自分の端末とキャリアが対応しているかどうかを確認しておきましょう。
eSIMクイック転送に対応しているiPhoneは、iPhone XS以降のモデルです。具体的には、iPhone XS / XS Max / XR / 11シリーズ / SE(第2世代以降)/ 12シリーズ / 13シリーズ / 14シリーズ / 15シリーズ / 16シリーズ / 17シリーズが対象となります。
iOSのバージョンについては、基本的にiOS 16.4以降が必要です。ただし、一部のキャリア(ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMO)ではiOS 17以降が求められるため、利用前にOSを最新の状態にアップデートしておくことをおすすめします。
また、iPadについてはBluetooth方式の場合iPadOS 17以降、iCloud方式の場合iPadOS 16.4以降が必要です。ただし、iPhone-iPad間のeSIM転送には対応していません。
2026年3月時点で、eSIMクイック転送に対応している主な事業者は以下のとおりです。
区分 | 事業者名 | 対応状況 |
|---|---|---|
大手キャリア | ドコモ / ahamo | 対応 |
大手キャリア | au / povo2.0 | 対応 |
大手キャリア | ソフトバンク | 対応 |
大手キャリア | 楽天モバイル | 対応 |
サブブランド | ワイモバイル | 対応 |
サブブランド | UQモバイル | 対応 |
サブブランド | LINEMO | 対応 |
格安SIM | J:COM MOBILE | 対応 |
格安SIM | BIGLOBEモバイル(au回線) | 対応(無料) |
格安SIM | IIJmio | 非対応 |
格安SIM | mineo | 非対応 |
大手キャリアとそのサブブランドはほぼ対応していますが、格安SIM(MVNO)ではJ:COM MOBILEとBIGLOBEモバイル(au回線のみ)に限られます。IIJmioやmineoなど多くのMVNOは非対応のため、キャリアのマイページ等からeSIM再発行の手続きが必要です。
2026年に発売されたiPhone 17シリーズは、日本向けモデルでは物理SIMカードスロットが廃止され、eSIM専用となりました。これにより、iPhone 17への機種変更時にはeSIMクイック転送の重要性がこれまで以上に高まっています。
物理SIMカードを使っているユーザーがiPhone 17に乗り換える場合、eSIMクイック転送を利用すれば端末の設定画面から物理SIMをeSIMに変換しながら新端末へ移行できます。キャリアが対応していれば、店頭やオンラインでの手続きは不要です。
なお、iPhone 17シリーズでは最大8つ以上のeSIMプロファイルを保存できるため、国内回線と海外旅行用のeSIMを1台で管理できるようになりました。

eSIMクイック転送の手順は、転送方式(Bluetooth / iCloud)や転送内容(eSIM間 / 物理SIM→eSIM)によって若干異なります。ここでは、代表的な3つのパターンに分けて手順を紹介します。
事前準備として、以下の点を確認しておきましょう。
Bluetooth方式は、旧iPhoneと新しいiPhoneの両方が手元にある場合に利用します。以下の手順で進めてください。
1. 新しいiPhoneで「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信を設定」をタップ
2. 「近くのiPhoneから転送」を選択
3. 旧iPhoneに「電話番号を転送」の確認画面が表示されるので「続ける」をタップ
4. 新しいiPhoneに表示される検証コードを旧iPhoneに入力
5. 転送する電話番号を選択し「転送」をタップ
6. 新しいiPhoneでeSIMがアクティベートされるのを待つ(通常1〜2分)
転送が完了すると、旧iPhoneのeSIMは自動的に無効化されます。新しいiPhoneで発信テスト(111番など)を行い、通話とデータ通信が正常に利用できることを確認しましょう。
iCloud方式は、旧端末が手元になくても利用できる方式です。ただし、両方の端末が同じApple Accountでサインインしている必要があります。
1. 新しいiPhoneで「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信を設定」をタップ
2. 表示されるeSIMプランの一覧から、転送したい番号を選択
3. 画面の指示に従って転送を確認
4. eSIMがダウンロード・アクティベートされるのを待つ
iCloud方式では、旧端末が電源オフの状態でも転送できる場合があります。ただし、キャリアによっては旧端末側での承認操作が必要なケースもあるため、可能であれば両方の端末を手元に用意しておくと確実です。
現在使っている物理SIMカードを同じiPhone内でeSIMに変換する場合も、クイック転送の機能を利用できます。この方法は、iPhone 17への機種変更前に事前準備として行うのにも便利です。
1. 「設定」→「モバイル通信」を開く
2. eSIMに変換したい回線をタップ
3. 「eSIMに変更」を選択
4. 確認画面で「eSIMに変更」をタップ
5. キャリアによっては電話番号とパスワードの入力が求められる
6. 変換が完了したら物理SIMカードを取り出す
注意点として、一度eSIMに変換した回線を物理SIMに戻すにはキャリアの店頭での手続きが必要になります。手数料として3,850円程度かかる場合もあるため、変換前に十分検討してください。
関連記事: SIMカードとは?種類・サイズ・仕組みを初心者向けにわかりやすく解説

eSIMクイック転送は便利な機能ですが、条件が揃わないと転送に失敗することがあります。ここでは、よくある原因とその解決方法をまとめました。
最も多い原因は、利用しているキャリアがeSIMクイック転送に対応していないケースです。IIJmioやmineo、日本通信など多くのMVNOはこの機能に対応していません。
対処法としては、キャリアのマイページやアプリからeSIMの再発行手続きを行います。再発行にかかる手数料はキャリアによって異なり、IIJmioは220〜433.4円、mineoは440円(キャンペーン中は無料の場合あり)、日本通信は年3回まで無料(4回目以降は1,100円/回)です。
利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」のように、アプリ上で手軽にeSIMを購入・設定できるサービスも増えています。海外旅行用のeSIMであれば、キャリアのeSIM再発行とは別に、旅行先に合わせたデータプランをアプリから直接インストールできます。
eSIMクイック転送には、iPhone XS以降の端末とiOS 16.4以降(キャリアによってはiOS 17以降)が必要です。古いiPhoneを使っている場合や、iOSのアップデートを行っていない場合は転送ができません。
対処法として、まず「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」からiOSを最新バージョンに更新してください。それでも転送できない場合は、端末がeSIMクイック転送の対応機種に含まれているか確認しましょう。
また、SIMロックがかかっている端末ではクイック転送ができません。キャリアのマイページや店頭でSIMロック解除を行ってから再度試してください。
関連記事: SIMロック解除を自分でやる方法|キャリア別の手順と注意点を解説
キャリアも端末も条件を満たしているのに転送できない場合は、以下のポイントをチェックしてください。
トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
転送先のiPhoneに番号が表示されない | Bluetoothが無効 | 両方のiPhoneでBluetoothをONにする |
「非対応のSIMです」と表示される | SIMロック未解除 | キャリアでSIMロックを解除する |
転送が途中で止まる | インターネット接続不良 | Wi-Fiに接続してからやり直す |
転送後にデータ通信ができない | モバイルデータ通信がOFF | 設定でモバイルデータ通信をONにする |
受付時間外のエラー | キャリアの受付時間外 | 受付時間内(7:00〜23:50など)に再試行 |
これらの対処を試しても解決しない場合は、キャリアのサポート窓口に問い合わせるか、eSIMの再発行手続きに切り替えることをおすすめします。

eSIMクイック転送は手軽に利用できる反面、事前に知っておかないとトラブルにつながる注意点もあります。転送前に以下のポイントを確認しておきましょう。
eSIMクイック転送をスムーズに進めるために、以下の準備を済ませておきましょう。
旧iPhoneのデータバックアップを取っておくことが最も重要です。eSIMの転送自体はデータに影響しませんが、万が一のトラブルに備えてiCloudバックアップまたはPCへのバックアップを作成してください。
次に、旧iPhoneのパスコードを確認します。クイック転送の途中でパスコードの入力が求められるため、パスコードを忘れている場合は事前に再設定してください。
また、キャリアのeSIMクイック転送の受付時間も事前にチェックしましょう。auは7:00〜23:50と1:00〜2:50の2つの時間帯、ソフトバンクは2:00〜23:30など、24時間対応ではないキャリアもあります。
eSIMクイック転送が完了すると、旧iPhoneのeSIMは自動的に無効化されます。旧端末ではその回線での通話やデータ通信ができなくなるため、転送のタイミングには注意してください。
特に重要なのは、転送が完了する前に旧iPhoneを初期化しないことです。転送処理の途中で旧端末をリセットすると、eSIMのプロファイルが失われてキャリアでの再発行手続きが必要になる場合があります。
なお、転送後も旧iPhoneはWi-Fi接続で引き続き利用できます。サブ端末として活用したり、売却・下取りに出す前のデータ消去に利用したりすることが可能です。
eSIMクイック転送には、利用できない契約形態があります。法人契約の回線や未成年名義の契約では、セキュリティ上の理由からクイック転送が制限されている場合があります。
また、副回線(デュアルSIMの2回線目)はクイック転送に対応していないキャリアが多いため、主回線のみ転送可能な場合があります。副回線の移行は、キャリアのマイページからeSIMの再発行手続きで対応しましょう。
国際ローミング中にeSIMクイック転送を行った場合は、転送完了後に端末の電源をオフ→オンする必要があります。再起動しないと通信が正常に接続されないことがあるため注意してください。
関連記事: デュアルSIMとは?仕組み・種類・メリットデメリットを初心者向けに解説

eSIMクイック転送は国内キャリアの回線移行に便利な機能ですが、海外旅行で現地の通信手段を確保する場合は、旅行先に対応したeSIMを別途用意する必要があります。
トリファ(trifa)は、200以上の国と地域に対応した海外eSIMアプリです。アプリ上で渡航先を選んでデータプランを購入するだけで、eSIMがインストールされます。現地に到着したらeSIMをオンにするだけで、そのままインターネットが使えるようになります。
iPhone 17シリーズのように複数のeSIMプロファイルを保存できる端末であれば、国内キャリアのeSIMはそのまま残しつつ、旅行先のeSIMを追加するだけで済みます。eSIMクイック転送で国内回線を新端末に移行した後、トリファで海外用のeSIMを追加すれば、1台のiPhoneで国内外の通信をカバーできます。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。