物理SIMカードに明確な耐用年数はありませんが、一般的に約3〜5年が寿命の目安とされています。長期間利用すると、ICチップの劣化により、通信が突然途切れる、認識しない、電池の減りが異常に早くなるなどの不具合が発生することも少なくありません。 本記事では、物理SIMカードの寿命を示す具体的な症状や、自身でできるチェック方法を詳しく解説します。物理SIMカードが何年使えるか把握したい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
物理SIMカードの具体的な耐用年数について、総務省や通信事業者からの公式見解は現在発表されていません。しかし、一部では約3〜5年といわれています。
物理SIMカードに内蔵されているICチップの詳細な耐久性については、公開されているデータが限られています。ただし、あらゆる要因により動作不良の原因となる可能性があるため注意が必要です。
たとえば、スマホの機種変更などで抜き差しを繰り返すと、金属の接触部分が摩耗し、読み取りエラーを引き起こす原因です。
また、汗や湿気による腐食、静電気によるICチップの破損も故障につながる可能性があります。さらに、技術の進化で規格自体が古くなり、新しい機種で使えなくなることも考慮することが重要です。
物理SIMカードについては、以下の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。
関連記事:物理SIMカードとは?仕組み・対応端末・メリット・設定方法まで解説
物理SIMカードの寿命は目安として知っていても、実際にどのタイミングで寿命を迎えたのか判断するのは困難です。
物理SIMカードの寿命が近づくと現れる主要なサインは、以下の4つです。
以下では、寿命が近い物理SIMカードの特徴を紹介します。
物理SIMカードの寿命が近いサインのひとつとして、電波が入りにくくなる現象が挙げられます。長年の使用で物理SIMカード表面の金属部分が摩耗・腐食し、スマホとの接触不良を引き起こすためです。
接触不良によりネットワークへの認証が正常に行えず、通信が断続的に途切れてしまいます。駅や市街地など電波環境がよいはずの場所で頻繁に圏外になったり、通信速度が著しく低下したりする症状は、物理SIMカードの劣化が原因かもしれません。
とくに、4Gから3Gへ頻繁に切り替わる場合は、交換を検討しましょう。
スマホのバッテリーの減りが異常に早い場合、物理SIMカードの劣化が原因かもしれません。物理SIMカードの接触不良が起きると、端末は安定したネットワークを維持しようと、常に基地局を探し続けます。
ネットワークを繰り返し検索する動作は、通信機能を過剰に動かし、通常よりも多くの電力を消費してしまう要因です。同じ使い方をしているのに充電が持たない場合や、設定画面で「モバイルネットワーク待機」の消費が異常に高いと表示される場合は、物理SIMカードの不具合を疑ってみてもよいでしょう。
電話の着信や発信がうまくいかない場合、物理SIMカードの寿命が近い可能性があります。物理SIMカードの接触不良が起きると、通話に必要な情報がうまく端末に伝わらず、通話機能に影響が出ることがあります。
具体的には、電話をかけても相手につながらなかったり、通話中に突然切断されたり、相手の声が途切れ途切れに聞こえたりするなどの不具合です。
重要な通話に支障が出るおそれがあるため、同じ症状が繰り返し起こる場合は物理SIMカードの不具合をチェックする必要があります。
SIMなしや無効なSIMなどのエラーメッセージが表示されるのは、物理SIMカードの故障を示す深刻なサインです。
ICチップの破損や接触部分のひどい腐食などが原因で、スマホが物理SIMカードを認識できなくなっています。
カードを認識できない状態では、端末の再起動や物理SIMカードの抜き差しなどの簡単な対処法では復旧しないことがほとんどです。エラーは物理SIMカードの機能停止を示唆するため、速やかに契約している通信キャリアで交換手続きを行う必要があります。
物理SIMカードは小さな部品ですが、日常的な使い方や環境により少しずつ劣化が進みます。物理SIMカードの劣化を引き起こす主な原因は、以下のとおりです。
以下では、物理SIMカードが劣化する主な原因をそれぞれ紹介します。
物理SIMカードを抜き差しする際の物理的な摩擦は、劣化を引き起こす直接的な原因です。スマホの機種変更や端末修理などでカードを入れ替えるたびに、表面の金メッキされた金属部分がわずかに削れてしまいます。
摩耗が進行すると、スマホとの接触不良が発生し、通信が不安定になります。海外旅行や法人契約などで複数の端末に物理SIMカードを頻繁に入れ替える使い方は、劣化を早めるリスクが高いといえるでしょう。
無理な力での挿入も接点を傷つけるため、取り扱いには注意が必要です。
高温や直射日光は、物理SIMカードの故障を引き起こす原因です。カード内部のICチップは熱に弱く、高温にさらされると内部回路が損傷し、通信不良につながります。
夏場の車内の高温環境にスマホを放置すると、物理SIMカードが致命的なダメージを受ける可能性があります。もし、車内から持ち出した後に通信エラーが頻発するようになった場合、熱による故障が考えられるでしょう。
直射日光が当たる窓際での長時間の動画視聴なども、カードに予想以上の負荷をかけるため注意が必要です。
静電気や水濡れは、物理SIMカードを瞬時に故障させる危険な要因です。冬場の乾燥した環境で発生しやすい静電気は、高電圧で内部のICチップを破壊してしまうことがあります。
また、防水のスマホでもSIMトレイから侵入した水分や、汗に含まれる塩分が金属部分を腐食させ、読み取り不良を引き起こす原因です。汗をかいた手で触れたり、湿気の多い場所で抜き差ししたりすることは、物理SIMカードの寿命を縮めるため、避けた方がよいでしょう。
長期間の使用は、物理SIMカード自体の物理的な劣化と、古いタイプの使用という2つの側面から不具合の原因となります。物理SIMカードのプラスチック部分や金属接点は、時間とともに自然に劣化し、耐久性が低下していきます。
同時に、通信技術は常に進化しており、古い物理SIMカードでは新しい通信規格に完全に対応できない場合があります。たとえば、5G通信を利用するには5G対応プランへの契約変更が必要ですが、その上で「5G SA」といった最新のサービスを最大限活用するには、対応する新しい物理SIMカードへの交換が推奨されることもある点を理解しておきましょう。
新しい機種の性能を最大限に活かすためにも、定期的な見直しが重要です。
物理SIMカードは消耗品ですが、ちょっとした工夫で寿命を長く保てます。物理SIMカードの寿命を伸ばす方法は、以下のとおりです。
以下では、物理SIMカードを長持ちさせるための具体的なポイントを紹介します。
物理SIMカードの寿命を延ばすには、高温多湿や直射日光を避けた環境で保管することが重要です。夏場の車内への放置や、直射日光が当たる窓際に長時間置くことは、物理SIMカードに深刻なダメージを与えるため避けましょう。
また、湿気も劣化の大きな原因です。浴室でのスマホの使用や、スポーツ後など汗をかいた手で物理SIMカードに直接触れると、金属部分が腐食し故障につながる可能性があります。
日頃からスマホを室温の安定した場所で扱うよう心がけるだけで、物理SIMカードの寿命を延ばせるでしょう。
物理SIMカードの寿命を延ばすには、物理的な衝撃や静電気から守ることが重要です。物理SIMカード内部のICチップはデリケートなため、落下させたり、専用でない道具で無理に取り出したりすると破損するおそれがあります。
また、冬場は静電気が発生しやすく、高電圧がICチップを破壊してしまう危険性も考えられます。物理SIMカードを交換する際は、事前にドアノブのような金属に触れて体の静電気を逃がし、専用のSIMピンを使って慎重に取り扱うよう心がけましょう。
物理SIMカードの寿命を延ばすには、頻繁な抜き差しを避けることが効果的です。カードを抜き差しするたびに、表面の金属部分がわずかに摩耗し、接触不良の原因となります。
海外旅行のたびに現地の物理SIMカードに入れ替えたり、仕事で複数の端末にひとつの物理SIMカードを使い回したりする行為は、劣化を早めることにつながります。
一度挿入したカードはできるだけそのまま使用し、複数回線が必要な場合は抜き差し不要なeSIMの活用も検討するとよいでしょう。
スマホの不具合が本当に物理SIMカードの故障によるものかを見極めるには、以下のような確認方法があります。
以下では、物理SIMカードが故障しているか確認する具体的な方法を紹介します。
通信の不具合が物理SIMカードによるものかを確認するには、物理SIMカードを別のスマホで試すのが確実な方法です。別のスマホで試すことで、故障の原因が物理SIMカード側にあるのか、端末本体に起因するのかを確認できます。
別の端末に挿しても通信できなければ、物理SIMカードの故障が濃厚です。逆に、問題なく使えるようであれば、元のスマホ本体に不具合があると考えられます。
家族や友人の端末を借りて試す際は、まずはSIMフリーの端末かを確認しましょう。特定のキャリアで購入した端末でSIMロックがかかっている場合、異なるキャリアの物理SIMカードを入れても認識しないためです。
スマホに表示されるエラーメッセージは、物理SIMカードの故障状態を判断する重要な手がかりです。メッセージの内容により、不具合の原因や深刻度をある程度推測できます。
たとえば、「SIMなし」や「無効なSIM」などのエラーが再起動しても消えない場合、物理SIMカード自体の深刻な故障が考えられます。一方で、「ネットワークに接続できません」の表示が時々現れる程度であれば、接触不良などの軽微な不具合の可能性もあるでしょう。
物理SIMカードの不具合を調べるには、カードを直接目で見て損傷がないか確認する方法がおすすめです。スマホの電源を切り、カードを取り出して、金色の接触部分に傷や腐食、黒ずみがないかチェックしましょう。
また、物理SIMカード本体にひび割れや反りといった物理的な損傷がないかも確認すべきポイントです。軽い汚れであれば、乾いた柔らかい布で拭き取ると改善する可能性もあります。
しかし、明らかな損傷が見つかった場合は、物理SIMカード自体の故障の可能性があるため、交換を検討する必要があります。
物理SIMカードに寿命が来て使えなくなった場合でも、以下の方法で対応できます。
再発行して同じ形で使い続けるか、新しい仕組みであるeSIMに移行するかを検討することで、引き続き安定した通信環境を確保できます。以下では、具体的な対処法を紹介します。
物理SIMカードが故障した場合、契約している通信キャリアで再発行するのが確実な対処法です。オンラインで手続きすれば、店舗よりも手数料を安く抑えられる場合もあります。
手続き後は、通常1〜3日で新しい物理SIMカードが郵送され、簡単な開通作業ですぐに利用を再開できるでしょう。店舗では手数料がかかる場合が多いため、コストを重視するならオンライン手続きがおすすめです。
物理SIMカードの故障を機に、劣化や紛失のリスクがないeSIMへ移行するのもおすすめの選択です。eSIMはスマホ本体に組み込まれたSIMで、オンラインで契約情報をダウンロードするため、物理SIMカードの故障や紛失の心配がありません。
申し込みから開通までオンラインで完結し、最短で当日から利用を再開できる点も魅力といえるでしょう。さらに、海外旅行の際に現地のプランを簡単に追加するなど、柔軟な使い方が可能になります。
お使いの機種がeSIMに対応していれば、この次世代の通信方式に移行することには長期的なメリットがあります。
eSIMについては、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:eSIMとはSIMカード不要の通信方法!メリット・デメリットや海外旅行での活用方法を解説
物理SIMカードは繰り返し差し替えることもできますが、そのたびにリスクが伴います。物理SIMカードの入れ替えによるリスクは、主に以下のとおりです。
以下では、差し替えによって起こり得る主なリスクを具体的に紹介します。
物理SIMカードを頻繁に抜き差しすることは、摩耗による故障の直接的な原因です。
カードを入れ替えるたびに、表面の金色の金属部分が削れてしまい、最終的にスマホの接触不良を引き起こします。とくに法人契約で複数の端末に使い回したり、仕事用とプライベート用の物理SIMカードを頻繁に入れ替えたりする使い方は、劣化を著しく早める行為といえます。
一度削れてしまった接点は元に戻らないため、抜き差しは必要最低限に留めましょう。
物理SIMカードの取り出しに不適切な道具を使うと、カードやトレイを傷つけ、故障の直接的な原因となります。専用のSIMピンがないからといって、安全ピンや爪で無理やりトレイを開けようとすると、部品が変形したり、物理SIMカードにひびが入ったりする危険があります。
また、取り出した物理SIMカードの金属部分を直接指で触ることも避けるべきです。皮脂や汚れが付着し、接触不良を引き起こす可能性があるためです。
物理SIMカードの取り扱いには必ず専用の道具を使い、慎重に行うようにしましょう。
海外旅行の際に現地の物理SIMカードを利用することは、頻繁な抜き差しにより物理SIMカードの寿命を縮めるリスクを高めます。渡航のたび、出国時と帰国時に物理SIMカードを入れ替えるため、金属接点の摩耗が通常より早く進んでしまうのです。
年に数回海外へ行く場合、差し替えの積み重ねが物理SIMカードの劣化を加速させます。結果として、本来3〜5年使えるはずの物理SIMカードが、より短い期間で通信不良などの不具合を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
海外旅行で通信環境を整えるなら、物理SIMカードよりもeSIMの利用が便利です。eSIMのおすすめポイントは、以下のとおりです。
以下では、海外旅行にeSIMをおすすめする理由を紹介します。
海外旅行でeSIMを利用すれば、物理SIMカードの抜き差しが一切不要になり、物理SIMカードや端末を傷つける心配がありません。従来の物理SIMカードでは、渡航のたびに入れ替え作業が発生し、カードの摩耗や紛失、トレイの破損などのリスクがありました。
一方、eSIMなら、日本の回線はそのままで、渡航先のプランをオンラインで追加するだけで準備が完了します。慌ただしい空港で小さな部品を扱う必要がなくなるため、ストレスなく安全に通信手段を確保できるでしょう。
海外旅行でeSIMを利用するメリットは、オンラインで手続きが完結し、現地到着後すぐに通信を開始できることです。物理SIMカードのように、慣れない土地で販売店を探したり、言葉の壁に悩みながら購入・設定したりする手間がありません。
日本にいるうちにあらかじめ渡航先のデータプランをオンラインで購入し、eSIMプロファイルの設定を済ませておけば、現地に到着後、設定画面で回線を切り替える簡単な操作だけですぐにインターネットを利用開始できます。
海外旅行では、物理的な実体がないeSIMを利用することで、物理SIMカードの紛失や破損などのリスクをなくせます。小さな物理SIMカードは、慣れない海外での交換作業中に紛失したり、荷物の中で破損したりする危険性があります。
しかし、eSIMであれば、スマホ本体があれば通信手段を失う心配がなく、万が一盗難に遭った場合も回線の遠隔管理が可能です。
物理SIMカードを持ち運ぶ必要がないため、より安心して旅行を楽しめるでしょう。
物理SIMカードの寿命は約3〜5年です。海外旅行のたびに現地で使用できる物理SIMカードと入れ替えていると、抜き差しによる摩耗や紛失のリスクが高まり、物理SIMカードの寿命を縮める原因となります。
物理的なリスクを解消し、海外旅行をより快適にするのがeSIMです。なかでも「トリファ(trifa)」は、海外旅行での利用におすすめです。
トリファなら、アプリひとつで世界中のプランを手軽に購入・管理できる利便性に加え、24時間日本語でのチャットサポートが受けられるため、海外での万一のトラブル時も安心感があります。
物理SIMカードの交換を機に、次の海外旅行では初心者も使いやすいトリファのeSIMを検討してみてはいかがでしょうか。
ライター
トリファ編集部
海外旅行の際に知っておくと良い情報や、通信に関する疑問点を解消できる情報を提供させていただきます。皆様の海外渡航がより良いものになるための手助けとなれればと思います。