UIMカードは、NTTドコモが提供する物理SIMカードの呼称です。基本的な機能は物理SIMカードと同じですが、ドコモ独自のサービスに対応したバージョンが存在します。そのため、機種変更や乗り換え時に「自分の端末にはどちらが必要なのか」と不安に感じるかもしれません。 この記事では、UIMカードと物理SIMカードの違いからメリット・デメリット、最新の通信方法まで網羅的に解説します。この記事を参考に自身の使い方に合った最適な回線を選び、ストレスフリーな機種変更を実現しましょう。
目次
UIMカードは物理SIMカードの一種であり共通点が多くありますが、主に以下のポイントに違いがあります。
以下では、各違いについて具体的に解説します。
UIMカードのバージョンによって、最新の通信規格「5G SA(スタンドアローン)」を利用できるかどうかが決まります。
ドコモの5G SA(スタンドアローン)サービスを利用する場合、Androidでは Ver.6以降、iPhone・iPadでは Ver.7のドコモUIMカードが必要です。通常の5Gサービス(NSA方式)は、 Ver.4以降で利用可能です。
たとえ最新の5G対応スマホを使っていても、古いバージョンのUIMカードのままでは、性能を完全に引き出せません。5Gの通信品質を最大限に活用したい方は、自身のカードバージョンを確認し、必要に応じて新しいものへ交換することを検討しましょう。
UIMカードは、バージョンが新しくなるにつれて、セキュリティ機能が向上しています。最新のカードには、より高度な暗号化技術が採用されており、通信の盗聴や不正アクセスから契約者情報を強力に保護することが可能です。
従来のPINロック機能に加え、端末と連携した複雑な認証も強化されました。そのため、万が一スマホを紛失した場合でも、第三者による不正利用のリスクを抑えられます。
セキュリティを重視するなら、新しいバージョンのUIMカードを選ぶとよいでしょう。
UIMカードや物理SIMカードにはサイズの違いがあり、大きく分けて3種類が存在します。
上記は、それぞれ対応する端末や利用シーンが異なります。以下では、各特徴を順番に紹介します。
標準SIM(miniSIM)は過去の規格であり、現在利用中の方が機種変更する際は、SIMサイズの変更手続きが必要です。25mm×15mmのサイズは、iPhone 3G/3GSなどで採用されていましたが、現在のスマホはより小型なカードに対応しています。
そのため、大手キャリアでは標準SIMの新規発行をほとんど行っていません。古い機種から乗り換える場合、新しい端末に適合するmicroSIMやnanoSIMを事前に準備する必要があります。
スムーズな手続きのためには、キャリアショップやオンラインでのサイズ変更を忘れずに行いましょう。
microSIMは、iPhone4などが主流だった時代に普及した規格であり、現在ではnanoSIMやeSIMへの移行が推奨されています。最新のスマホは、より小型なnanoSIMに対応しているため、microSIM利用者が機種変更する際は、物理SIMカードの変更が必要になる場合がほとんどです。
microSIM対応の端末は、性能やセキュリティの観点からも古くなっているのが実情です。現在利用している方は、機種変更のタイミングで将来の端末選択の幅を広げるためにも、新しい規格であるnanoSIMやeSIMへの移行を検討することをおすすめします。
nanoSIMは、最小サイズの物理SIMカードで、iPhone5以降のほぼすべてのスマホで採用されています。そのため、これから機種変更や新規契約をするなら、規格を選べば間違いありません。
キャリアを乗り換える際も、SIMサイズを変更する手間がかかりません。さらに、最新機種ではnanoSIMとeSIMを組み合わせたデュアルSIM運用も可能となり、仕事とプライベートで電話番号を使い分けるなど、より柔軟な使い方ができます。
将来的な端末選択の自由度を最大限確保するためにも、nanoSIMは安全な選択肢といえるでしょう。
UIMカードや物理SIMカードには、長年使われてきたからこその利便性があります。UIMカード・物理SIMカードのメリットは、以下のとおりです。
以下では、UIMカード・物理SIMカードを使用するメリットを紹介します。
物理SIMカードは、機種変更や故障時にカードを差し替えるだけで、すぐに新しい端末を使えます。eSIMのようにWi-Fi環境下でのプロファイルダウンロードや複雑な再設定は不要です。
たとえば、端末が故障して電源が入らなくなっても、物理SIMカードを抜いて別の端末に移せば、すぐに同じ電話番号で通信を再開できます。海外旅行中のトラブル時でも、現地の端末に挿すだけで簡単に通信手段を確保できるでしょう。
IT操作に不慣れな方や、緊急時の確実性を重視する方にとって、物理SIMカードのシンプルな移行方法は安心材料となります。
物理SIMカードは、eSIM非対応の機種を含め、幅広い端末で利用できるため、端末選択の自由度が高まります。中古市場で人気の端末や、海外製格安スマホ、タブレットの多くは物理SIMカードのみに対応しているのが現状です。
eSIMは比較的新しい機種に限定されますが、物理SIMカードならSIMアダプターを使えば、古い機種でも通信が可能になります。予算や用途に合わせてコストパフォーマンスを重視した端末を選びたい方にとって、物理SIMカードは最適な選択肢を見つけやすくなるでしょう。
物理SIMカードは、端末に挿入するだけで設定が完了するため、スマホの操作に不慣れな方でも簡単かつ確実に通信を開始できます。
物理SIMカードを挿して電源を入れると、多くの場合ネットワーク設定は自動で行われます。アンテナの表示で接続状況を視覚的に確認できるのも安心感があるポイントです。
スマホの設定や操作に不慣れな人でも、設定しやすいことがUIMカード・物理SIMカードのメリットです。
UIMカードや物理SIMカードは便利な一方で、利用にあたって注意すべきデメリットもあります。主なデメリットは、以下の3点です。
以下では、具体的なデメリットを紹介します。
物理SIMカードのデメリットは、紛失や破損のリスクがある点です。nanoSIMは非常に小型なため、機種変更の際に落としたり、保管中に見失ったりするケースも珍しくありません。
また、静電気や無理な力でICチップが破損すると修復は不可能です。一度トラブルが起きると通信が完全に停止し、再発行には数日を要するため、その間スマホが利用できなくなる可能性があります。
物理SIMカードを利用する際は、取り扱いに十分注意し、専用ケースで保管するような対策が必要です。
物理SIMカードは、機種変更の都度、物理的な差し替え作業が必要であり、手間がかかります。専用のSIMピンを紛失すると作業が難しくなり、代用品で端末を傷つけるおそれがあります。
また、物理SIMカードの向きを間違えて無理に挿入すると、ICチップやSIMスロット自体を損傷させる可能性も少なくありません。
手先の細かい作業に不安がある方には、物理SIMカードの差し替え作業を負担と感じるでしょう。
物理SIMカードは、申し込みから開通までに数日間の待ち時間が発生することがデメリットです。物理SIMカードの郵送が必要なため、緊急で回線が必要になった場合や、即日乗り換えを希望する際には不向きでしょう。
たとえば、週末に申し込むと、実際に利用できるのは週明けになることが一般的です。そのため、すぐにスマホを使いたい状況を想定するなら、物理SIMカードの配送時間は制約になる可能性があります。
UIMカードや物理SIMカードを交換する際は、スムーズに作業を進めるために事前の準備が必要です。必要な準備は、主に以下のとおりです。
以下では、UIMカード・物理SIMカードの交換前に準備しておきたいポイントを紹介します。
物理SIMカードを交換する前には、現在使っているカードと新しい端末で必要なSIMサイズが一致しているか、確認することが重要です。サイズが異なると物理的に挿入できず、通信トラブルや端末破損の原因となります。
機種変更をスムーズに進めるためにも、事前に端末の仕様を確認し、必要であればキャリアの店舗や、オンラインで適切なサイズの物理SIMカードへ交換手続きを済ませておきましょう。
SIMカードの交換やキャリア乗り換えの前には、端末にSIMロックがかかっていないか確認しましょう。SIMロックがかかっていると、特定のキャリアの物理SIMカードしか認識せず、通信トラブルにつながります。
とくに2021年10月以前に購入した端末や、中古端末は注意が必要です。iPhoneなら「設定」から、Androidなら「端末情報」から簡単にロック状態を確認できます。
もしロックがかかっている場合は、各キャリアのオンラインサービスで無料で解除手続きが可能です。スムーズな乗り換えのために、事前の確認を忘れないようにしてください。
物理SIMカードの交換には、SIMトレイを取り出すための専用SIMピンが必要です。紛失した場合はクリップなどで代用できますが、サイズが合わないと端末を傷つけるおそれがあるため、事前に準備しておくことが重要になります。
SIMピンはスマホ購入時に付属しているほか、100円ショップなどでも手軽に入手可能です。いざという時に困らないよう、交換作業の前には必ずSIMピンの有無を確認し、予備を数本用意しておくとよいでしょう。
物理SIMカード交換後の初期設定は、安定したWi-Fi環境で行う必要があります。OSのアップデートやクラウドからのデータ復元には、大容量の通信が必要となるため、モバイルデータ通信では高額な料金が発生する可能性があります。
格安SIM(MVNO)の場合、APN設定が完了するまでモバイル通信自体が利用できないケースも少なくありません。
スムーズな設定とデータ通信料の節約のためにも、作業前には自宅などのWi-Fi環境を確保し、接続を確認してからはじめるようにしましょう。
UIMカードや物理SIMカードの交換方法は、使っているスマホの種類により少し異なります。基本的な流れは共通していますが、iPhoneとAndroidでは操作画面や設定手順が変わるため、それぞれに合わせた対応が必要です。
以下では、iPhoneの場合とAndroidの場合に分けて、UIMカード・物理SIMカードの交換手順を解説します。
iPhoneの物理SIMカードの交換は、電源オフからSIMピンでトレイを取り出し、カードを入れ替えて電源を入れるだけの簡単なステップで完了します。全機種で手順が統一されており、トレイの位置も側面にあるため、誰でも迷わず安全に作業を進められるでしょう。
物理SIMカードは決まった向きにしか入らない構造になっており、誤挿入のリスクも低くなっています。交換後、画面上部にキャリア名が表示されれば成功です。
事前のデータバックアップを忘れずに行い、落ち着いて作業すれば、数分で新しいSIMカードでの通信を開始できます。
Androidの物理SIMカードの交換は、機種ごとにSIMトレイの位置や構造が異なるため、作業前に必ず取り扱い説明書で確認することが必要です。メーカーによってトレイの場所は側面、上面、背面などさまざまで、iPhoneのように手順が統一されていません。
格安SIM(MVNO)を利用する場合は、カード交換後に手動でのAPN設定が必要になることがあり、設定を正しく行わないとデータ通信ができません。
事前に機種ごとの交換手順とAPN情報を準備し、交換後は必ず動作確認を行ったうえで移行させましょう。
UIMカードや物理SIMカードは小さくて繊細なため、取り扱いを誤るとトラブルが起こることがあります。本章では、以下に対するトラブル対処法を紹介します。
万が一のトラブルに対応できるよう、事前に確認しておきましょう。
物理SIMカードを紛失した際は、不正利用防止のため、まずキャリアに連絡して回線を停止することが最優先です。その後、オンラインまたは店舗で再発行手続きを進めましょう。
再発行には各キャリアで異なる手数料と所要時間がかかるため、事前に手続き方法を把握しておくことで迅速な復旧が可能になります。紛失時は慌てず回線を止め、費用と時間を比較して最適な方法を選ぶことが重要です。
スマホが物理SIMカードを認識しない場合、カードの汚れや接触不良、挿入方向の間違いが主な原因です。まずは慌てずに物理SIMカードを取り出し、金属部分を柔らかい布で拭いてから正しい向きで挿入し直してみてください。
それでも改善しない場合は、端末の再起動やネットワーク設定のリセットを試すと解決することがあります。
上記の対応でも認識されない場合は、物理SIMカード自体の故障も考えられるため、キャリアショップへ相談しましょう。
PINロックがかかった場合、解除にはPUKコードの入力が必要です。PUKコードはキャリアのマイページや契約書類で確認できますが、10回間違えると物理SIMカードが完全にロックされ交換が必要になるため、慎重な対応が求められます。
コードを3回連続で間違えるとロックがかかり、通常の通信ができなくなります。解除するには、まずPUKコードを正確に確認しましょう。
慌てずコードを確認し、1文字ずつ丁寧に入力すれば、ロックは解除され、新しいPINコードを再設定できるでしょう。
eSIMは、物理的なカードが不要なデジタルSIMです。紛失や破損のリスクがなく、オンラインで即時開通でき、申し込み後、QRコードを読み込むだけで最短数分で通信を開始できます。
iPhone 13シリーズ以降のモデルでは、物理SIMカードとeSIMに加えて、2つのeSIMを使ったデュアルSIMにも対応しています。海外渡航時も、現地の通信プランをオンラインで購入し、すぐに利用開始できる手軽さも魅力でしょう。
UIMカードや物理SIMカードの物理的な管理に不安がある方や、手軽に設定できる通信手段を求める方には、eSIMがおすすめです。
通信手段を選ぶ際は、自分の使い方や重視するポイントにより、eSIMと物理SIMカードのどちらが向いているかが異なります。以下では、それぞれにおすすめできる人の特徴を紹介します。
機種変更や乗り換えのスピードを重視するなら、オンラインで即時開通できるeSIMが最適です。
物理SIMカードのように郵送を待つ必要がなく、申し込みから最短数分で通信を開始できます。また、1台の端末に複数の通信プランを保存し、必要に応じて簡単に切り替えられます。
効率性と柔軟性を重視する現代のユーザーにとって、eSIMは時間と手間を大幅に削減する選択肢となるでしょう。
スマホの設定を避けたい方には、物理SIMカードが最適です。カードを端末に挿入するだけで、多くの場合は自動でネットワーク設定が完了するため、IT操作に不慣れな方でも安心して利用できます。
eSIMのようにQRコードの読み取りやWi-Fi接続など手順は不要で、機種変更もカードを差し替えるだけで済みます。したがって、シンプルさと確実性を重視するなら、物理SIMカードを選ぶといいでしょう。
UIMカードとSIMカードの主な違いは対応する通信規格にあります。交換するだけで通信できる利便性の一方で、紛失や破損リスクがありました。
しかし、近年ではさらに便利なeSIMが主流になりつつあります。eSIMはQRコードを読み込むだけで設定でき、海外旅行や出張時には、渡航先で使える通信プランを簡単に追加できます。
数あるサービスでも、注目を集めるのがグローバルeSIMサービスの「トリファ(trifa)」です。渡航先ごとに最適なプランをオンラインで手軽に購入・設定できるため、高額なローミング料金の心配もありません。
海外旅行時は自身の利用シーンに合わせて、eSIMの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ライター
トリファ編集部
海外旅行の際に知っておくと良い情報や、通信に関する疑問点を解消できる情報を提供させていただきます。皆様の海外渡航がより良いものになるための手助けとなれればと思います。