
タイは美しい寺院やビーチリゾート、魅力的な屋台グルメで世界中の旅行者を惹きつけている人気の観光地です。日本からの直行便も多く、比較的手軽に訪れられることから、毎年多くの日本人がタイを訪れています。 しかし、日本とは治安や交通事情が大きく異なるため、事前の情報収集なしに渡航すると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。実際に、在タイ日本国大使館には日本人旅行者からの被害相談が日常的に寄せられています。 この記事では、タイ観光で注意すべき危険を犯罪・交通事故・衛生リスクなどのカテゴリ別に整理し、具体的な予防策と合わせて解説します。渡航前にチェックして、安全で快適なタイ旅行を実現しましょう。
目次

タイの治安を正しく理解するには、外務省が発表している危険情報を確認することが大切です。観光地として人気のバンコクやチェンマイ、プーケットの治安レベルと、渡航を避けるべきエリアの違いを押さえておきましょう。
バンコク、チェンマイ、プーケットといった主要観光都市には、2026年3月時点で外務省の危険レベルは発出されていません。これは「通常の注意で旅行可能」という意味であり、基本的な防犯対策を取れば安全に観光を楽しめるエリアです。
ただし、危険レベルが発出されていないことは「犯罪がゼロ」という意味ではありません。スリや詐欺といった軽犯罪は主要観光地でも日常的に発生しています。外務省の海外安全ホームページで最新情報を渡航前に必ず確認してください。
また、タイ国内でも地域によって治安状況は大きく異なります。観光客が多い都市部と、国境付近や南部の一部地域では危険度にかなりの差があることを理解しておきましょう。
外務省はタイ南部のナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県、およびソンクラー県の一部(ジャナ郡、テーパー郡、サバヨーイ郡)にレベル3「渡航は止めてください」を発出しています。これらの地域ではイスラム武装勢力による襲撃や爆発事件が継続的に発生しており、月平均約8件のテロ事案が報告されています。
また、カンボジアとの国境から50km以内の地域(シーサケート県、スリン県、ブリラム県など)にもレベル3が発出されています。2025年7月にはタイ・カンボジア両国軍による軍事衝突が発生し、危険レベルが引き上げられました。
これらの地域は一般的な観光ルートには含まれませんが、個人旅行で訪問先を自由に決める場合は特に注意が必要です。渡航前に外務省の危険情報マップで最新の発出状況を確認しましょう。
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ソンクラー県のうちジャナ郡・テーパー郡・サバヨーイ郡を除いた地域にはレベル2「不要不急の渡航は止めてください」が発出されています。ソンクラー県の県都ハートヤイは南部最大の商業都市ですが、過去に爆発事件が発生した経緯があります。
観光目的でタイ南部を訪れる場合は、プーケットやクラビなど危険レベルが発出されていないリゾートエリアを選ぶのが安心です。どうしてもソンクラー県方面に行く必要がある場合は、最新の治安情報を入手し、人通りの多い場所から離れないようにしてください。

タイで日本人旅行者が巻き込まれやすい犯罪は、命に関わるものよりも金銭を狙った軽犯罪が中心です。代表的な詐欺やスリの手口を事前に知っておくだけで、被害を防げるケースがほとんどです。
バンコクで最も多い観光客トラブルの一つが、トゥクトゥクやタクシーによるぼったくりです。メーターを使わずに法外な料金を請求したり、遠回りして運賃を吊り上げたりする手口が日常的に報告されています。
特に王宮やワットポーなど有名観光地の周辺に待機しているトゥクトゥクは要注意です。「今日は寺院が閉まっている」と嘘をつき、代わりに宝石店やテーラーショップに連れて行こうとするケースもあります。
ぼったくりを回避するには、配車アプリ「Grab」や「Bolt」の利用がおすすめです。アプリ上で事前に料金が確定するため、不当な請求を受ける心配がありません。タクシーを利用する場合は必ずメーターの作動を確認し、乗車前に「メーターで」と伝えましょう。
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バンコクでは古くから「宝石詐欺」が横行しています。トゥクトゥクの運転手やフレンドリーに話しかけてくる現地の人物に導かれて宝石店に入ると、「政府公認の免税セール」などと偽って粗悪な宝石を高額で買わせる手口です。
また、在タイ日本国大使館が2026年1月にも注意喚起を行った「見せ金詐欺(お金見せて詐欺)」も被害が続いています。中東系や欧米系の人物が「日本のお札を見たことがない」と話しかけ、財布を出した隙に現金やクレジットカードを抜き取ります。
対策は、見知らぬ人からの声かけには応じないこと、路上で財布やスマートフォンを出さないことです。特に観光地付近で親しげに英語で話しかけてくる人物には警戒が必要です。助けを求めていないのに助けようとしてくる人は、詐欺師の可能性が高いと考えてください。
BTSやMRTなどの公共交通機関、ナイトマーケット、観光寺院の周辺はスリの多発エリアです。混雑した場所でリュックサックを背負ったまま歩いていると、ファスナーを開けられて財布やスマートフォンを抜き取られることがあります。
カオサンロードやパッポン通りなど、夜の繁華街ではひったくりのリスクも高まります。歩道側にバッグを持っていると、バイクで近づいてきた犯人にバッグごと奪われる事例も報告されています。
対策として、貴重品はフロントポケットやボディバッグに入れて体の前側で管理しましょう。パスポートの原本はホテルのセーフティボックスに保管し、外出時はコピーを携帯するのが安全です。多額の現金は持ち歩かず、必要最低限の金額だけを財布に入れるようにしてください。

タイ観光で見落とされがちですが、実は最も身近な危険が交通事故です。タイは交通事故による死亡率が世界的に見ても非常に高く、日本とは比較にならないリスクがあります。
WHOの統計によると、タイの人口10万人当たりの交通事故死亡者数は25.4人で、世界でも上位に位置しています。日本の約10倍にあたる数値であり、交通事故はタイにおける最大のリスク要因の一つです。
特にバイク関連の事故が深刻で、交通事故死亡者の70%以上がバイクに関係しています。タイではバイクが日常的な移動手段として広く利用されていますが、ヘルメットの着用率が低く、信号無視や逆走も珍しくありません。
観光客がレンタルバイクを利用する際は特に注意が必要です。国際運転免許証を持たずに運転すると無免許運転となり、事故時に保険が適用されない場合があります。バイクに不慣れな方は、レンタルバイクの利用を避けることをおすすめします。
タイでは日本と同じ左側通行ですが、交通マナーは大きく異なります。歩行者優先の意識が薄く、横断歩道でも車やバイクが止まらないことが一般的です。日本の感覚で横断歩道を渡ろうとすると、非常に危険です。
道路を横断する際は、必ず左右の安全を十分に確認してからゆっくりと渡りましょう。信号のある交差点でも、赤信号を無視する車両がいるため油断は禁物です。バンコクの大通りでは歩道橋や地下道を利用するのが最も安全な方法です。
夜間の歩行はさらにリスクが高まります。照明が不十分な道路も多く、バイクが無灯火で走行していることもあります。夜間の移動にはGrabなどの配車アプリを活用し、できるだけ徒歩を避けるようにしましょう。
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タイ旅行では犯罪や交通事故だけでなく、衛生面や薬物に関するリスクにも備えが必要です。日本とは異なる食事環境への対策と、大麻規制の最新動向をまとめて解説します。
タイでは水道水を直接飲むことはできません。水道水にはバクテリアや不純物が含まれている場合があり、飲用すると激しい腹痛や下痢を引き起こす可能性があります。飲み水は必ずコンビニやスーパーでペットボトル入りのミネラルウォーターを購入してください。
レストランや屋台で提供される氷にも注意が必要です。衛生管理の行き届いた店舗では工場製の筒型やキューブ型の氷が使われていますが、路面店では水道水から作った不衛生な氷が混じっていることもあります。心配な場合は氷なしの飲み物を注文しましょう。
ホテルの洗面台の水で歯を磨くことは一般的には問題ありませんが、胃腸が弱い方はミネラルウォーターを使うのが安心です。うがいの際に水を飲み込まないよう注意してください。
屋台で食中毒を防ぐためのポイントは、調理の過程を目で確認できる店を選ぶことです。食材が新鮮で、注文後にしっかり加熱調理してくれる屋台であれば、衛生面のリスクは大幅に下がります。
逆に避けたいのは、作り置きの料理が長時間常温で放置されている屋台です。タイの気温は年間を通じて高いため、食品の劣化が早く、細菌が繁殖しやすい環境です。地元の人が行列を作っている屋台は回転が早く、食材の鮮度が保たれている目安になります。
生野菜のサラダや刺身など、加熱されていない料理は衛生状態の良いレストラン以外では避けるのが無難です。特にソムタム(青パパイヤのサラダ)は屋台で人気のメニューですが、生の食材を使うため、慣れないうちは衛生管理のしっかりした店で注文しましょう。
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タイは2022年にアジアで初めて大麻を合法化しましたが、2026年現在は規制が大幅に強化されています。2026年1月に保健省が新省令を発表し、大麻の販売施設を医療機関や薬局など4種類に限定しました。かつて全国に18,000店舗以上あった大麻関連施設のうち7,000店舗以上が閉鎖されています。
現在の法律では大麻は「医療枠の管理ハーブ」に位置づけられ、購入には処方箋が必要です。さらに、たとえタイ国内で合法的に入手できたとしても、日本の大麻取締法は海外での使用にも適用される可能性があります。旅行先の法律だけでなく、日本の法律も意識して行動しましょう。
また、繁華街では違法薬物を売りつけようとする売人も存在します。覚せい剤やコカインなどの違法薬物はタイでも重罪であり、有罪となった場合は長期の禁固刑、場合によっては死刑が適用される可能性もあります。薬物関連の誘いには絶対に応じないでください。

万が一タイでトラブルに遭った場合、速やかに適切な機関に連絡することが重要です。主要な緊急連絡先を事前にスマートフォンに登録しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
連絡先 | 電話番号 | 備考 |
|---|---|---|
警察 | 191 | タイ語・英語対応 |
救急車 | 1669 | 24時間対応 |
観光警察(ツーリストポリス) | 1155 | 24時間・英語対応 |
在タイ日本国大使館 | 02-696-3000 / 02-207-8500 | 夜間・休日も対応 |
邦人援護(大使館) | 02-207-8502 / 02-696-3002 | パスポート紛失等 |
観光客が犯罪被害に遭った場合、最初に連絡すべきは観光警察(ツーリストポリス)の「1155」です。24時間対応で英語が通じるため、言葉の壁を心配する必要がありません。盗難、ぼったくり、詐欺など観光客特有のトラブルに慣れたスタッフが対応してくれます。
バンコク市内には観光警察の出張所が複数あり、カオサンロードやスクンビットなど外国人が多いエリアにはパトロール隊も巡回しています。被害届の作成にも英語で対応してもらえるため、海外旅行保険の請求に必要な書類もスムーズに入手できます。
また、スマートフォンアプリ「Tourist Police i lert u」をインストールしておくと、GPS情報付きで通報できるため、場所を説明する手間が省けます。渡航前にダウンロードしておくことをおすすめします。
バンコクには日本語対応が可能な国際病院が複数あります。代表的なのはバムルンラード国際病院(Bumrungrad International Hospital)とサミティヴェート病院スクンビット(Samitivej Sukhumvit Hospital)です。
バムルンラード国際病院はスクンビット・ソイ3に位置し、日本語専用の受付カウンターがあります。日本語を話すタイ人医師や、タイ国医師免許を取得した日本人医師も在籍しており、言葉の心配なく受診できます。
サミティヴェート病院スクンビットはスクンビット・ソイ49にあり、年間のべ14万人の日本人患者が受診する実績があります。日本の海外旅行保険との直接請求(キャッシュレス)に対応しているため、窓口での高額な立て替え払いを避けられるのも大きなメリットです。
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タイ旅行中にトラブルが発生した場合、スマートフォンのインターネット接続は命綱になります。緊急連絡先への通話、地図アプリでの現在地確認、配車アプリの利用など、安全な旅行にはスマートフォンの通信環境が欠かせません。
利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」なら、渡航前にアプリからeSIMを購入するだけで、タイ到着後すぐにインターネットが使えるようになります。SIMカードの差し替えが不要なため、空港での手続きに時間を取られることもありません。
現地でのGrabの利用や、観光警察への通報、大使館への連絡など、いざというときに通信手段が確保されていることは大きな安心材料になります。タイ旅行の安全対策の一つとして、出発前の通信手段の準備をおすすめします。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。