
イギリスは歴史ある街並みや文化的な見どころが豊富で、日本人旅行者にも人気の高い渡航先です。外務省の危険情報は発出されていませんが、日本と比べると犯罪発生率は高く、渡航前に治安状況を把握しておくことが大切です。 2024年度のイングランド・ウェールズにおける警察記録犯罪は約660万件にのぼり、日本の刑法犯認知件数と比較すると大きな差があります。特に都市部ではスリや置き引きなどの窃盗犯罪が多発しており、観光客が狙われるケースも少なくありません。 この記事では、イギリスの治安を都市別に整理し、旅行者が注意すべき犯罪の手口や具体的な防犯対策、緊急時の連絡先までわかりやすくまとめました。安全で快適なイギリス旅行のために、ぜひ出発前にチェックしてください。
目次

イギリスの治安は世界的に見ると中程度の水準です。まずは全体的な治安レベルや、日本との犯罪発生率の違いを確認しましょう。
イギリスは2024年の「グローバル・ピース・インデックス(世界平和度指数)」で163か国中34位にランクインしました。前年の32位から2つ順位を下げており、治安面の評価はやや低下傾向にあります。
外務省の海外安全情報では、イギリス全土に対して危険情報は発出されていません。ただし、テロに対する注意喚起が出されており、MI5(英国保安局)はテロ脅威レベルを5段階中3番目の「SUBSTANTIAL(相当)」に設定しています。これは「テロ攻撃の可能性が高い」ことを意味しており、公共の場では一定の警戒が必要です。
日本政府の評価は他国と比べてやや甘いとの指摘もあります。渡航前には外務省だけでなく、英国政府やMI5の最新情報もあわせて確認しておくと安心です。
2024年度(2025年3月末まで)のイングランド・ウェールズにおける警察記録犯罪は約660万件でした。対人暴力犯罪は約178万件、殺人事件は535件で、前年の567件から6%減少しています。さらに2025年9月末までの最新データでは殺人は499件まで減少し、2003年以降の現行統計で最低の数値を記録しました。
一方、ナイフ犯罪(刃物を使用した犯罪)は2025年3月末までの1年間で約5万3,000件発生しており、前年比で1.2%減少したものの依然として高い水準です。2025年9月末までの最新データでは約5万430件とさらに9%減少し、コロナ禍前の水準を下回りました。
日本の2023年の刑法犯認知件数は約70万件であり、単純比較するとイギリスの犯罪件数は日本の約9倍に相当します。数字だけで治安の良し悪しを断定はできませんが、日本にいるときと同じ感覚で行動するのは避けたほうがよいでしょう。

イギリスの治安は都市によって大きく異なります。主要な観光都市ごとに、犯罪が多いエリアと注意点を整理します。
ロンドンはイギリス最大の都市であり、観光客を狙ったスリ・置き引きが最も多く発生するエリアです。特にオックスフォード・ストリート、ピカデリー・サーカス、リージェント・ストリートといったショッピングエリアや、バッキンガム宮殿正門前広場では被害が多発しています。
地下鉄(チューブ)やバスの車内も要注意です。混雑した車内でグループがターゲットに体を寄せ、気づかないうちにポケットやバッグから貴重品を抜き取る手口が典型的です。ヴィクトリア駅やキングスクロス駅など、主要ターミナル駅の構内でも被害が報告されています。
カムデン地区は若者に人気のエリアですが、夜間はバーやクラブ周辺で酔客によるトラブルが起きやすくなります。エレファント・アンド・キャッスルやブリクストン地区は犯罪率が高めのため、用がなければ立ち寄らないほうが安全です。
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グレーター・マンチェスター地域では年間約33万件の犯罪が報告されており、イギリスの都市の中でも犯罪率が高い地域です。特にモスサイドやラスホルムと呼ばれるエリアでは銃犯罪が多く、観光客が足を踏み入れるべきではありません。
バーミンガムはイギリス第二の都市ですが、ギャングによる組織犯罪が根強く残っており、ロンドンよりも治安面での不安が大きいとされています。中心部の観光スポットは日中であれば問題ありませんが、夜間の一人歩きは控えましょう。
どちらの都市も、サッカーの試合がある日はスタジアム周辺でフーリガン(暴徒化したサポーター)によるトラブルが起きることがあります。試合日の外出は混雑するエリアを避けるようにしてください。
スコットランドの首都エディンバラは、イギリスの中でも治安が良い都市として知られています。住民の82%が安全だと感じているという調査結果もあり、犯罪発生率はロンドンやマンチェスターと比べてかなり低い水準です。
地域コミュニティの結びつきが強く、観光客に対しても親切な人が多いのが特徴です。旧市街と新市街のメインエリアは日中・夜間ともに比較的安全に散策できます。
ただし、パブが閉まる深夜のプリンシズ・ストリート周辺や、大晦日のホグマネイ(年越しイベント)など人が密集するタイミングではスリのリスクが高まります。エディンバラであっても基本的な防犯意識は持っておきましょう。
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日本人旅行者がイギリスで被害に遭いやすい犯罪には共通した手口があります。パターンを知っておくことで被害を防ぎやすくなります。
イギリスで最も報告が多い犯罪がスリ・置き引きです。手口は巧妙で、グループのうち一人が道を尋ねたり地図を見せたりして注意を引き、その隙にもう一人がバッグやポケットから貴重品を抜き取ります。
ATM利用時にも注意が必要です。背後から声をかけて暗証番号入力を覗き見し、直後にカードを奪う手口が報告されています。ATMを使う際は周囲に不審な人がいないか確認し、手元を隠しながら操作してください。
バイクやスクーターによるひったくりも増えています。歩道側でスマートフォンを操作しながら歩いていると、走行中のバイクから手を伸ばして奪われるケースがあります。道路沿いでのスマートフォン操作は控えましょう。
外務省も注意喚起している手口のひとつが「偽警官詐欺」です。私服の人物が警察手帳のようなものを見せて「麻薬捜査に協力してほしい」と声をかけ、財布の中身やカードの暗証番号を確認すると称して金品を盗む手口です。
イギリスの警察官が路上で財布の中身を確認したり、暗証番号を聞いたりすることは絶対にありません。不審に感じたら「最寄りの警察署で対応します」と伝えてその場を離れてください。
また、観光地周辺では無許可のツアーガイドやストリートパフォーマーから高額なチップを要求されるケースもあります。事前に相場を確認し、不当な請求には毅然と断ることが大切です。
イギリスではテロの脅威が継続しています。MI5によると、テロ脅威レベルは「SUBSTANTIAL(相当)」で、2020年1月以降に19件の計画段階のテロを阻止したと発表されています。
現在のテロ脅威の約75%はイスラム過激派によるもので、単独犯または少人数のグループによる比較的単純な手段での攻撃が想定されています。駅やコンサート会場、スポーツイベントなど人が多く集まる場所では、不審物や不審な行動に注意してください。
テロが発生した場合の行動原則は「Run(逃げる)・Hide(隠れる)・Tell(通報する)」です。安全な場所に避難したら、999番に通報してください。

犯罪のリスクを最小限に抑えるには、日常的な行動や持ち物に少しの工夫を加えることが効果的です。イギリス旅行で実践したい防犯対策を紹介します。
現金は必要最低限にとどめ、クレジットカードやデビットカードを中心に使いましょう。イギリスはキャッシュレス化が進んでおり、コンタクトレス決済に対応した店舗がほとんどです。
パスポートの原本はホテルのセーフティボックスに預け、外出時はコピーまたはスマートフォンに保存した画像を携帯してください。万が一の盗難に備えて、パスポート番号と発行日をメモしておくと再発行手続きがスムーズです。
バッグはファスナー付きのものを選び、体の前側に抱えて持つのが基本です。リュックサックは背面のポケットに貴重品を入れず、混雑した場所では前に背負い直しましょう。
夜間の一人歩きはできるだけ避け、明るく人通りの多い通りを選んで歩いてください。裏通りや公園を横切るのは特に危険です。
ロンドンのタクシーはブラックキャブ(公認タクシー)を利用するのが安全です。ミニキャブ(予約制タクシー)を使う場合は、事前にアプリや電話で予約したものだけに乗車してください。路上で声をかけてくるミニキャブは無許可の可能性があります。
Uberなどのライドシェアサービスも普及しています。乗車前にアプリでドライバーの名前・車種・ナンバーを確認し、合致しない車には乗らないようにしましょう。
2025年1月8日から、日本人を含むビザ免除国の渡航者はETA(電子渡航認証)の取得が義務化されました。2026年2月25日からは航空会社による搭乗前チェックも厳格化されており、ETAなしではイギリスに渡航できません。
ETAの申請費用は20ポンド(約4,200円)で、有効期間は2年間です。オンラインまたは公式アプリから申請でき、通常72時間以内に承認されます。渡航が決まったら早めに申請しておきましょう。
渡航前には外務省の「たびレジ」への登録もおすすめです。現地の安全情報がメールで届くほか、緊急時に大使館からの支援を受けやすくなります。
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万が一トラブルに巻き込まれた場合に備え、緊急連絡先や対応の流れを事前に把握しておきましょう。
イギリスの緊急通報番号は「999」です。警察・救急車・消防のすべてにこの番号で連絡できます。携帯電話からは「112」でも通報可能です。
緊急ではない場合の警察への相談は「101」に電話してください。NHS(国民保健サービス)の健康相談は「111」で対応しています。
犯罪被害に遭った場合は、必ず警察に届け出て被害届(クライムリファレンスナンバー)を受け取りましょう。帰国後の海外旅行保険の請求に必要になります。
連絡先 | 電話番号 | 用途 |
|---|---|---|
緊急通報 | 999(携帯電話は112も可) | 警察・救急・消防 |
警察(非緊急) | 101 | 相談・被害届 |
NHS(医療相談) | 111 | 健康相談・受診案内 |
在英国日本大使館 | 020-7465-6565 | パスポート盗難等 |
大使館(時間外) | 0151-603-2809 | 休日・夜間の緊急連絡 |
パスポートの盗難・紛失や重大なトラブルの際は、在英国日本国大使館に連絡してください。代表電話は020-7465-6500、領事班は020-7465-6565です。勤務時間外や休館日の緊急連絡先は0151-603-2809です。
大使館ではパスポートの再発行手続きや、犯罪被害に遭った際の相談に対応してくれます。事前に最寄りの大使館・総領事館の住所と電話番号をメモしておくと安心です。
エディンバラにお住まいの方やスコットランドで被害に遭った場合は、在エディンバラ日本国総領事館(0131-225-4777)に連絡できます。

ここまで紹介してきたように、スリ・置き引き・ナイフ犯罪など日本よりも警戒すべき犯罪がイギリスには多く存在します。都市別の危険エリアを事前に把握し、貴重品の管理や夜間の行動に気を配ることで、充実した旅行を楽しめるでしょう。
海外旅行中のトラブル対応には、安定した通信環境が欠かせません。緊急通報や大使館への連絡、地図アプリでのルート確認、リアルタイムの現地情報チェックなど、スマートフォンが使える環境を整えておくことが最も心強い備えになります。
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ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。