海外赴任が決まると、旅行や出張の準備とはまったく別の作業が一度に押し寄せます。住民票をどうするか、住民税や年金はどう扱われるか、家や車をどう整理するかなど、判断に迷う項目が同時に並ぶためです。 しかも赴任準備の項目は、会社が手配してくれるものと、自分で動かないと進まないものが入り混じっています。この切り分けができていないまま進めると、出国直前になって手続き漏れが見つかることになりかねません。 そこでこの記事では、海外赴任の準備で疑問になりやすいポイントをQ&Aの形で整理しました。行政手続き・税金・年金といった制度にかかわる部分は、国税庁や日本年金機構、市区町村などが公開している情報をもとにまとめています。 なお、滞在期間の見込みや家族構成、勤務先の制度によって結論が変わる項目も少なくありません。個別の判断が必要な場面では、居住地の市区町村や税務署、勤務先の人事・総務に確認しながら進めてください。
目次

海外赴任の準備は項目が多く、思いついたものから手をつけると必ずどこかで詰まります。最初にやるべきなのは、個別の作業ではなく全体像の把握です。
具体的には、次の4点を先に押さえておくと、その後の段取りが一気に組みやすくなります。
内示から出発までの期間は3か月前後とされることが多く、赴任準備を解説するページでも、3か月前を起点にしたスケジュールが提示されています。ただし実際にはもっと短い期間で伝えられることもあり、確保できる期間は勤務先の事情によって変わります。
準備期間のうち、自分の努力では短縮できないのが就労ビザや労働許可の取得です。相手国の審査に依存するため、ここが遅れると出発日そのものが動きます。内示を受けたら、まず勤務先にビザ手続きの進捗と想定スケジュールを確認するのが実務的です。
そのうえで、期限が動かせない手続きから逆算していきます。住民票や税金の手続きは出国日に紐づくため、出国日が固まらないと動けない項目も少なくありません。逆に、家や車の整理、荷物の仕分けは早く始めるほど選択肢が広がります。
赴任準備でつまずきやすいのは、会社が進めてくれていると思い込んでいた項目が、実は本人任せだったというパターンです。内示の直後に、どこまでを会社が手配するのかを人事・総務に確認しておきましょう。
一般的な切り分けの目安は次のとおりです。ただしこれは一般的に語られる分担の例で、統計にもとづくものではありません。勤務先の制度や、支店転勤・出向・転籍といった赴任の形態によって変わるため、あくまで確認のたたき台として使ってください。
区分 | 代表的な項目 |
|---|---|
会社が手配することが多い | 就労ビザ・労働許可の申請、赴任前の健康診断、航空券、赴任先の住居、海外引越業者の手配 |
自分で動く必要があることが多い | 海外転出届、国民健康保険・国民年金の手続き、納税管理人の選任、銀行やクレジットカードへの届出、日本の携帯回線の扱い、持ち家や車の整理 |
特に、市区町村や税務署に対する届出は勤務先が代行できるとは限りません。誰が手続きするのかを人事・総務に確認し、自分で動く必要がある項目は早めに手元のリストに移しておくと安全です。
家族が一緒に行くかどうかで、準備の量と難易度は大きく変わります。帯同する場合は、ビザや住民票、税・社会保険の手続きが家族の分だけ増えるうえ、さらに配偶者の仕事と子どもの学校という時間のかかる論点が加わります。
帯同を選ぶ場合、早い段階で決めておきたいのは次の3点です。配偶者が現地で就労できるビザなのか、子どもをどの学校に通わせるのか、そして日本の住まいをどうするのかです。いずれも相手国の制度や現地の受け入れ枠に左右されるため、決断が遅れるほど選択肢が減ります。
単身赴任の場合は手続きの絶対量は減りますが、日本に残る家族との役割分担を決めておく必要があります。郵便物の受け取り、納税管理人、緊急時の連絡といった「日本側で誰かが動く前提」の項目が出てくるためです。
赴任準備の費用は、渡航費や海外引越の費用のように会社の規程で負担されることが多いものと、私物の処分や家の管理費のように自己負担になりやすいものに分かれます。
負担区分は勤務先の海外赴任規程で定められていることが多く、金額の目安だけを外部の情報で調べても意味が薄い部分です。まず自社の規程を取り寄せて、支給される手当と精算方法を確認してください。
私物の処分費、日本側での荷物の保管費用、持ち家を空けている間の維持費、家族の語学学習費用などは、規程の対象外になることがあります。これらは金額が積み上がりやすいので、早めに見積もっておくと出発前の資金繰りが読めます。
赴任準備のなかで、後から取り返しがつきにくいのが行政手続きです。届出を出さないまま出国すると、日本にいないのに保険料や税金がかかり続けたり、逆に必要な給付が受けられなくなったりします。
このセクションでは、海外転出届・住民税・所得税・年金という4つの論点を順に整理します。いずれも滞在期間の見込みによって扱いが変わるため、まず「何年いる予定か」をはっきりさせてから読み進めてください。
海外に長期間滞在する場合、住民登録している市区町村に転出の届出をします。渋谷区は国外転出届の対象を「1年以上の海外出張・留学など」長期間滞在する場合とし、短期の出張や旅行では届出は不要としています。江戸川区も、海外に移住する場合や1年以上にわたり海外に滞在する場合は転出届が必要と案内しています。
届出のタイミングにも決まりがあります。渋谷区の場合、転出予定であれば転出予定日の14日前から手続きでき、すでに出国してしまった場合は転出してから14日以内に届け出る必要があります。出国直前は他の用事が詰まりやすいので、届出可能になったら早めに済ませておくと安全です。
判断が難しいのは、滞在期間が1年前後で読みきれないケースです。「1年以上」は届出の目安であり、実際の運用や必要書類は市区町村ごとに異なります。滞在見込みが微妙な場合は、自己判断せずに居住地の窓口へ確認してください。
海外転出届を出すと住民票が除かれるため、住民票を前提としたサービスの扱いが変わります。まず影響が大きいのが、国民健康保険に加入している場合の保険証の扱いです。江戸川区は、住民票の異動手続きのあとに国民健康保険をやめる手続きが必要だと案内しています。
逆に、届出をしないまま出国した場合の影響もはっきりしています。江戸川区は、住民票の異動手続きがなく区に住民票が残っている場合、海外に滞在している期間も国民健康保険料がかかると明記しています。届出を怠ると、使えない保険の保険料を払い続けることになりかねません。
マイナンバーカードについては、国外でも使い続けるための継続利用手続きが用意されています。渋谷区は、継続利用手続きにより国外でも使用を続けられるとしたうえで、署名用電子証明書は転出日に失効するため、国外での利用を希望する場合は新規発行が必要だと案内しています。手続きの期限は自治体の案内に従ってください。
住民税は、1月1日という賦課期日の時点で住所がある市区町村が課税します。渋谷区は「1月1日(賦課期日)現在、渋谷区に住所があり、前年中の所得額が一定額以上ある人は、特別区民税・都民税(住民税)が課税され、年の途中で区外もしくは国外へ転出しても税額が変わることはありません」としています。
横浜市青葉区も同じ考え方を示しており、「年の途中に海外転出されても転出された年度の住民税は、全額お納めいただくことになります」と案内しています。つまり、出国したから住民税が止まるわけではありません。
出国後も納付が続く場合に必要になるのが納税管理人です。日本に残る家族などを納税管理人として選任し、本人に代わって納税通知書を受け取って納付してもらいます。渋谷区は、出国前に全額納付済みでも「翌年度の住民税が課税される人(主に1月2日から6月中に出国された人)は、翌年度の住民税のための納税管理人の選任が必要となります」としています。
いつまで納税管理人が必要かは出国時期と課税年度の関係で変わり、自治体によって案内の書きぶりも異なります。個別の状況で結論が変わる部分なので、出国前に居住地の市区町村の税務担当窓口へ確認してください。
所得税では、居住者か非居住者かで課税の範囲が変わります。国税庁は居住者を「国内に『住所』を有し、または、現在まで引き続き1年以上『居所』を有する個人」と定義し、それ以外の個人を非居住者としています。ここでいう住所は「個人の生活の本拠」であり、客観的な事実によって判定されます。
赴任者にとって重要なのは、国税庁が「1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります」と示している点です。1年以上の予定かどうかが、判定の入口になります。
出国前には年末調整が必要になる場合があります。国税庁は、扶養控除等(異動)申告書を提出した居住者で、その年の年末調整の対象となる給与等の支給額が2,000万円以下である人が1年以上の予定で海外に転勤する場合、給与等の支払を行う者は「その居住者が海外に出国する日までに、年末調整をしなければなりません」としています。これは会社側の手続きですが、扶養の状況などは本人が申告する必要があります。
出国後も日本国内の所得について確定申告が必要になるケースでは、納税管理人を定めて「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に提出します。自分が該当するかどうかは所得の内容で変わるため、判断に迷う場合は所轄の税務署に確認してください。
日本年金機構は、海外に居住することになった人について「国民年金の強制加入被保険者ではなくなりますが、日本国籍の方であれば、国民年金に任意加入することができます」と案内しています。任意加入の対象には「外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方」が含まれます。
任意加入するかどうかは、将来受け取る老齢基礎年金の額だけの問題ではありません。日本年金機構は、任意加入して保険料を納めることで、海外在住期間中に死亡したときや、病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されるとしています。保障の空白をつくらないという観点も判断材料になります。
手続きの窓口は状況によって変わり、海外転出予定の段階であれば住んでいる市区町村の窓口、すでに海外在住で国内に協力者がいる場合は日本における最後の住所地を管轄する市区町村の窓口などとされています。出国前に済ませられるものは出国前に動くのが確実です。
会社に在籍したまま赴任する場合は、厚生年金や健康保険の扱いが別途論点になります。ここは雇用契約や出向・転籍といった赴任の形態で変わるため、勤務先の人事・総務に確認してください。
なお、赴任先の年金制度にも加入する場合は、社会保障協定の対象国かどうかが効いてきます。日本年金機構によれば、社会保障協定は保険料の二重負担を防ぐために加入すべき制度を二国間で調整するものと、両国の年金加入期間を通算するものの2つの目的を持ちます。
2025年12月のオーストリアとの協定発効により、発効済みの相手国は24か国です。ただし英国・韓国・中国・イタリアとの協定は二重加入の防止のみが対象で、加入期間の通算は含まれません。対象国は追加されることがあるため、最新の一覧は日本年金機構の社会保障協定のページで確認してください。
このセクションでは、出入国と健康にかかわる準備をまとめます。ビザやパスポートは出発日そのものを左右し、在留届と医療の備えは現地に着いてからの安全に直結します。
いずれも「会社がやってくれるはず」と思われがちですが、書類の準備や個人の届出は本人が動かないと進みません。次の5点を順に確認してください。
海外で働くには、原則として就労できる資格が必要です。申請自体は会社が進めることが多いものの、学歴や職歴を証明する書類、公的機関が発行する証明書などの準備は本人にしかできません。何が求められるかは国によって大きく異なるため、渡航先の大使館・総領事館の案内と勤務先からの指示で確認してください。
注意したいのは、書類のなかに取得へ時間がかかるものが混じっている点です。学校への証明書発行依頼や、公的機関の証明取得は即日で終わりません。必要書類のリストを早めにもらい、取得に日数がかかるものから着手してください。
家族を帯同する場合は、家族についても滞在の資格が必要になるのが一般的です。配偶者が現地で就労できるかどうかもビザの種類によって変わるため、配偶者のキャリアを考えるうえでは早い段階の確認が欠かせません。制度や要件は国ごとに異なり、各国の制度改定で変わることもあるので、渡航先の大使館・総領事館の最新の案内を必ず確認してください。
赴任準備で見落とされやすいのがパスポートの有効期間です。外務省は、各国が外国人のパスポートに求める残存有効期間は滞在期間や入国目的などによりさまざまで、おおよそ3〜6か月以上とされている場合が多いとしています。長期滞在を予定している場合は、滞在予定期間よりも長い残存有効期間を求められることもあります。
つまり、有効期限がまだ先だから大丈夫とは限りません。数年単位の赴任であれば、現地での更新の手間も含めて、出発前に切り替えておくほうが結果的に楽になることもあります。
外務省は、必要となるパスポートの残存有効期間について、日本にある当該国の大使館・総領事館に確認するよう案内しています。就労ビザの申請でもパスポートの有効期間が要件になることがあるため、ビザ手続きの前に確認しておきましょう。
在留届は、海外に一定期間滞在する日本人が、住所を管轄する日本の大使館・総領事館に提出する届出です。旅券法にもとづき、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する場合は提出が義務づけられています。赴任者はほぼ確実に対象になります。
提出は外務省のオンライン在留届(ORRネット)から行えます。オンラインであれば現地到着の90日前から提出でき、インターネット環境がないなどオンラインで提出できない場合は、大使館・総領事館の領事窓口に書面で提出します。書面の場合は現地に到着して住所が決まってからの提出になります。氏名や旅券情報のほか、現地の住所・連絡先、緊急連絡先などを登録します。
在留届が効いてくるのは、災害や事件・事故が起きたときです。大使館・総領事館は、届出に記載された住所や連絡先をもとに安否確認を行い、必要な情報を提供します。届出がなければ、この連絡網から外れてしまいます。
住所や連絡先が変わったとき、帰国したときにも届出が必要です。赴任中に住まいを移すことは珍しくないので、変更手続きも忘れないようにしてください。なお、3か月未満の滞在の場合は「たびレジ」への登録が案内されています。
日本の公的医療保険には、海外で受けた診療の費用を後から払い戻す海外療養費という制度があります。現地の窓口で保険証が使えるわけではなく、いったん全額を自分で支払い、帰国後などに申請して払い戻しを受けるしくみです。
全国健康保険協会(協会けんぽ)によると、支給対象となるのは日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。美容整形やインプラントなど日本で保険適用外の医療行為は対象外で、療養(治療)を目的で海外へ渡航し診療を受けた場合も支給対象になりません。
払い戻される額にも注意が必要です。協会けんぽは、日本国内の医療機関等で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額を差し引いた額を支給するとしています。医療費が日本より高い国では、実際の支払額との差が大きくなります。
申請には海外療養費支給申請書のほか、診療内容明細書(様式A)、領収明細書(様式B)、領収書の原本とその日本語訳、同意書などが必要です。海外で治療費の支払いをした翌日から2年を経過すると、時効により申請できなくなります。
この差額を埋める役割を担うのが、海外旅行保険や赴任者向けの医療保険です。会社が付保している場合もあるため、勤務先に加入の有無と、補償の範囲・自己負担額を出発前に確かめておきましょう。
なお、赴任中に加入している保険が国民健康保険なのか勤務先の健康保険なのかでも手続きが変わります。自分がどちらに該当するかは、人事・総務に確認してください。
海外赴任前の健康診断は、本人の希望ではなく法令上の枠組みで実施されるものです。労働安全衛生規則第45条の2は、事業者が労働者を本邦外の地域に6か月以上派遣しようとするときは、あらかじめ医師による健康診断を行わなければならないと定めています。6か月以上派遣した労働者を国内の業務に就かせるとき(一時的に就かせる場合を除く)にも健康診断が必要です。
予防接種は、渡航先や滞在期間、現地での活動内容によって推奨されるものが変わります。厚生労働省検疫所(FORTH)は、渡航先ごとに必要なワクチンの情報と、予防接種を受けられる医療機関の探し方を公開しています。長期滞在や医療機関が近くにない地域での活動が想定される場合は、推奨されるワクチンが増える傾向があります。
接種スケジュールにも時間がかかります。複数回の接種が必要なワクチンでは、完了までに数週間から数か月を要することがあります。厚生労働省検疫所(FORTH)も、できるだけ出発の3か月以上前から接種するワクチンの種類と日程を相談するよう案内しています。赴任が決まった段階でトラベルクリニックなどに問い合わせておきましょう。
歯科治療も出発前に片づけておきたい項目です。渡航先によっては歯科の受診費用や保険の扱いが日本と大きく異なり、言語の壁もあって受診のハードルが上がります。健康診断とあわせて、家族全員分の予定を組んでおきましょう。

行政手続きと並行して進めるのが、生活基盤の整理です。ここは判断が遅れるほど選択肢が減り、費用も膨らみます。
特に、持ち家の扱い、荷物の仕分け、子どもの学校の3つは、決めるまでに時間がかかるうえに互いに影響し合います。早めに方針だけでも固めておきましょう。
持ち家がある場合の選択肢は、大きく売却・賃貸に出す・空き家のまま管理を委託するの3つです。
賃貸に出せば家賃収入が得られますが、非居住者となる場合は不動産所得の確定申告が必要になることがあり、その際は納税管理人の選任が関係してきます。定期借家契約にしておかないと、帰任時に自分が戻れない可能性もあります。
空き家のまま維持する場合は、通風や郵便物の管理、防犯の問題が残ります。留守宅管理サービスを使う方法もありますが、維持費は自己負担になりやすい項目です。
売却は身軽になる一方、帰任後の住まいを一から探すことになります。帰任の見込み時期と、住宅ローンや税制上の取り扱いを踏まえて判断してください。
海外引越の荷物は、手荷物、預け入れ荷物、航空便、船便、日本での保管、処分に分けて考えます。分ける基準は、いつ必要になるかと、現地で手に入るかどうかの2つです。
到着直後に必要なものは手荷物と預け入れ荷物に入れます。数週間のうちに使いたいものは航空便、当面なくても困らない生活用品や季節外の衣類は船便に回すのが基本的な考え方です。船便は届くまでに時間がかかり、航空便は比較的早く届きますが、実際の所要日数は仕向地や便のスケジュール、通関の状況で変わります。見積もりの段階で引越業者に確認してください。
現地で買えるものを大量に持ち込むと、費用も手間も無駄になります。逆に、常備薬や体格に合う衣類、日本語の書籍など、現地で入手しづらいものは優先度を上げます。国によって持ち込みが制限される品目があるため、医薬品や食品は事前に確認が必要です。
家具・家電は、赴任先の住居が家具付きかどうかで判断が変わります。電圧やプラグ形状も国ごとに違うので、持って行っても使えないことがあります。住居の条件が確定してから仕分けを始めると手戻りが減ります。
家族帯同で最も時間がかかるのが学校選びです。選択肢は日本人学校、現地校、インターナショナルスクールの3つが基本で、子どもの年齢や語学力、帰任予定時期が判断に効いてきます。
判断材料になるのは、帰国後にどの教育課程へ戻るかです。帰任が数年以内で日本の学校に戻る前提か、長期滞在や国際的な進路を視野に入れるかで、適した選択肢は変わります。ただし赴任地に日本人学校がない場合や、インターナショナルスクールの入学枠が埋まっている場合もあるため、現地の実情を先に確認してください。
海外子女教育振興財団(JOES)は、海外で学ぶ子ども向けに日本の教科書を配布する制度や、赴任前セミナー、教育相談を案内しています。学校選びと並行して、こうした支援の窓口を押さえておくと準備が進めやすくなります。
在籍中の学校での転校手続きや、在学証明書・成績証明書の英訳が必要になることもあります。書類は発行に日数がかかるので、学校が決まる前でも早めに依頼しておくと安心です。
単身赴任で賃貸住宅に住んでいる場合は、解約するか、家族が住み続けるかで進め方が変わります。解約する場合は、退去日と荷物の搬出日、出国日の3つが噛み合うようにスケジュールを組む必要があります。
車を所有している場合は、売却するか、名義変更するか、保管するかを決めます。売却しないのであれば、自動車保険の等級を維持する手続きがあるかどうかを保険会社に確認しておきましょう。等級を維持する制度が使えるかは契約内容によります。
赴任先で運転する予定があるなら、国際運転免許証や現地免許への切り替えも検討します。日本の運転免許証は更新しないと失効するため、赴任中の更新方法や特例の有無を、住所地の警察・運転免許センターに確認してください。
出国後に困りやすいのが、日本の金融サービスと通信の扱いです。どちらも「日本に住んでいること」を前提にした仕組みが多く、住民票を抜いた時点で使えなくなるものが出てきます。
さらに、ログインや取引の本人確認にSMS認証を使うサービスもあります。日本の電話番号を失うと、口座や行政サービスにアクセスできなくなることがあります。お金とネットはセットで考えてください。
金融機関の口座は、非居住者になると扱いが変わることがあります。取引を継続できるか、いったん解約が必要かは金融機関ごとに方針が異なるため、出国前にそれぞれへ確認するのが確実です。
証券口座は特に注意が必要です。非居住者になったときの取り扱いは金融機関ごとに異なり、取引や口座の維持に制限がかかることがあります。保有商品によって影響が違うので、早めに問い合わせておきましょう。
クレジットカードは、住所変更や連絡先の登録をどうするかが論点になります。日本の住所に届く郵便物を放置すると、更新カードや重要な通知を受け取れません。郵便の転送や、日本に残る家族への受け取り依頼をあわせて考えてください。
日本の電話番号を残すか手放すかは、赴任準備のなかでも判断が分かれる項目です。番号を手放すと通信費は下がりますが、SMS認証を使う日本のサービスにログインできなくなるリスクがあります。
出国前に確認したいのは、自分が使っている銀行アプリ、クレジットカード、証券口座、行政サービスが、どの方式で本人確認をしているかです。アプリ認証やメール認証に切り替えられるものは、日本にいるうちに切り替えておくと、番号の扱いを柔軟に決められます。
番号を維持する場合は、休止・一時停止のサービスや、基本料の安いプランへの変更といった選択肢があります。契約中のキャリアで何ができるかは条件が細かく変わるため、出国前に窓口で確認してください。
意外と抜けやすいのが、到着してから現地の携帯回線を契約し終えるまでの通信です。現地SIMの契約では、国によっては現地の滞在許可証(レジデンスカード)や住所証明、現地の銀行口座の提出を求められることがあり、赴任直後にはまだ揃っていないことが珍しくありません。この期間に通信がないと、住居の内見も職場との連絡も止まってしまいます。
このつなぎの期間に向いているのが海外eSIMです。日本にいるうちに購入と設定を済ませておけば、到着した時点からデータ通信が使え、現地での契約が終わったら通常の回線に切り替えられます。
アプリダウンロード数No.1の海外eSIMアプリであるトリファは全世界200カ国に対応しており、赴任先が決まっていれば出発前に必要なプランを選んでおけます。着いた直後につながらないといったトラブルには、日本語のチャットサポートに相談しながら対処できます。
ただし、海外eSIMは短期渡航向けのプランが中心で、赴任後の常用回線をそのまま置き換える前提のサービスではありません。利用日数は国やプランによって異なります(単発プランは最長60日で、利用期間の延長にも対応しています)。データ通信専用のため電話番号は付きません。あくまで現地回線を契約するまでのつなぎとして考え、生活が落ち着いたら現地の回線に移行するのが現実的です。
赴任が始まると、一時帰国や近隣国への出張が定期的に発生します。このときに毎回困るのが通信手段です。日本の回線を解約していれば、帰国時に日本で使える通信を別途用意する必要があります。
近隣国への出張も同様で、赴任先で契約した回線がそのまま使えるとは限りません。国境をまたぐたびに現地SIMを買い直すのは手間がかかります。
こうした短期の移動に向いているのが、渡航先ごとにその都度用意できるeSIMです。回線を常時契約しておかなくても、必要なときに必要な国のデータ通信だけを用意できます。

海外赴任の準備は、行政手続きから住居、家族の生活まで論点が多岐にわたります。そのなかで通信は、後回しにされやすいのに、抜けると赴任初日から動けなくなる項目です。
トリファは、渡航先で使えるeSIMをアプリから購入・設定できる海外eSIMサービスです。赴任後の常用回線をそのまま置き換えるものではありませんが、現地の回線が整うまでの期間や、一時帰国・近隣国出張といった短期の移動に向いています。
トリファは、購入から設定、利用開始までの目安が最短3分とされています。出発前に日本で購入と設定を済ませておけるので、到着した時点ですぐにデータ通信を使えます。
前述のとおり、現地SIMの契約には滞在許可証や住所証明が必要になることが多く、赴任直後は書類が揃わないのが普通です。その空白期間の通信をあらかじめ確保しておけば、住居探しや職場との連絡が止まりません。
サポートは24時間365日、日本人スタッフによる日本語のチャットで受けられます。時差のある場所からでも日本語で相談できるため、初めての土地で通信につまずいたときの負担が小さくなります。
赴任中は一時帰国や近隣国への出張が繰り返し発生します。トリファはアプリから渡航先を選んで購入する形なので、行き先が変わっても同じ手順で通信を用意できます。
家族を帯同している場合は、代表者が最大7名まで家族アカウントを追加でき、家族分のeSIMの購入や利用状況の確認をまとめて管理できます。家族が別々に一時帰国するようなときにも、代表者側から対応できます。
なお、トリファのeSIMはデータ通信専用で電話番号は付きません。テザリングの可否はプランによって異なります。現地の生活回線と役割を分けて使うことを前提に、赴任準備のチェックリストに加えておくとよいでしょう。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。
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