アメリカは世界でも入国審査が厳しい国のひとつです。初めてアメリカへ渡航する方はもちろん、久しぶりに訪れる方も、審査の流れや必要な準備を事前に把握しておくことで、空港での手続きをスムーズに進められます。 アメリカの入国審査はCBP(米国税関・国境警備局)が担当しており、パスポートとESTAの確認に加えて、指紋採取や顔写真の撮影といった生体認証が行われます。また、2024年以降はAPCキオスクの廃止やMPCアプリの対象拡大など、入国手続きのデジタル化が進んでいます。 この記事では、アメリカの入国審査の流れを到着から税関通過まで順を追って解説します。審査官に聞かれる質問と英語での回答例、入国拒否を防ぐためのポイント、乗り継ぎ時の注意点まで、渡米前に確認しておきたい情報を網羅しました。
目次

アメリカの空港に到着してから到着ロビーに出るまでには、5つのステップがあります。全体像を知っておけば、初めての渡米でも落ち着いて手続きを進められます。
以下の順番で手続きが進みます。
飛行機を降りたら、空港内の案内表示「Immigration」や「Passport Control」に従って入国審査エリアへ向かいます。
アメリカの主要空港はターミナルが複数に分かれていることが多く、案内表示を見落とさないように注意が必要です。入国審査エリアに到着すると、レーンが複数に分かれています。一般的には「U.S. Citizens(米国市民)」「Visitors(外国人旅行者)」「MPC(モバイルパスポートコントロール利用者)」の3種類です。
日本人旅行者は通常「Visitors」のレーンに並びます。MPCアプリを利用する場合は専用レーンが使え、待ち時間を短縮できます(詳しくは後述)。
順番が来たらCBP(米国税関・国境警備局)の審査官のもとへ進み、パスポートを提示します。審査官はパスポートとESTAの認証状況を確認し、渡航目的や滞在期間に関する質問を行います。
あわせて生体認証として、10本すべての指の指紋スキャンと顔写真の撮影が実施されます。外務省によると、この手続き自体は15秒ほどで完了します。2025年12月からはCBPの新ルールにより、米国市民を除くすべての外国人旅行者に対して顔認証による本人確認が順次拡大されています。
問題がなければパスポートにスタンプが押され、入国が許可されます。
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入国審査を通過したら、フライト便名が表示されたターンテーブル(Baggage Claim)で預け荷物を受け取ります。
アメリカではTSAロック以外の鍵で施錠されたスーツケースは、検査時にTSA(運輸保安局)によって鍵を壊されることがあります。預け荷物にはTSAロック対応の鍵を使用するか、鍵をかけずに預けることをおすすめします。
荷物を受け取ったら税関エリアに進みます。主要空港では「To Declare(申告あり)」と「Nothing to Declare(申告なし)」の2つのレーンに分かれています。
免税範囲内で特に申告するものがなければ「Nothing to Declare」のレーンを通過できます。免税範囲を超える物品やCBPへの申告が必要な食品・現金などを持っている場合は「To Declare」レーンに進みます。税関での主な申告基準については、後のセクションで詳しく解説します。
税関を通過すれば、到着ロビーに出られます。出迎えの方がいる場合はここで合流できます。乗り継ぎ便がある場合は、荷物を再度預け直してから国内線ターミナルへ移動します(乗り継ぎの詳細は後述)。
アメリカの入国審査では、CBPの審査官から英語で直接質問されます。質問内容はパターンがほぼ決まっているため、事前に回答を準備しておけば英語に自信がない方でも対応できます。
以下が主に聞かれる質問です。
最も多い質問が「What is the purpose of your visit?(渡航目的は何ですか?)」です。
観光であれば「Sightseeing.」、出張であれば「Business.」と一言で答えれば十分です。友人や親族の訪問なら「Visiting my friend.」「Visiting my family.」と答えます。
長い説明は不要で、簡潔に答えることがポイントです。審査官が詳しく聞きたい場合は追加質問をしてきますので、聞かれたことだけに正直に答えましょう。
「How long will you stay?(どのくらい滞在しますか?)」と聞かれたら、「Five days.」「One week.」のように具体的な日数で答えます。
「Where will you stay?(どこに滞在しますか?)」には、ホテル名や都市名を答えます。「Hilton Hotel in New York.」のように、ホテル名と都市名をセットで伝えると伝わりやすいです。予約確認書のコピーをスマートフォンや紙で持っておくと、聞き取れなかった場合に見せることができます。
「What do you do?(お仕事は?)」と聞かれることがあります。「Office worker.」「Engineer.」「Student.」など、シンプルに答えます。
帰国便については「Do you have a return ticket?(帰りのチケットはありますか?)」と聞かれることがあります。「Yes, I do.」と答え、必要に応じて帰国便のeチケットを見せられるよう準備しておくと安心です。
なお、質問が聞き取れなかった場合は「Could you say that again?(もう一度お願いします)」と聞き返して構いません。わからないまま適当に答えることは避けてください。事実と異なる回答をすると、入国審査が長引いたり、最悪の場合は入国拒否につながるおそれがあります。
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アメリカに入国するためには、事前に準備すべき書類があります。書類の不備があると入国審査で手間取ったり、最悪の場合は搭乗を拒否されることもあるため、渡航前に確認しておきましょう。
ESTA(電子渡航認証システム)は、ビザ免除プログラム(VWP)対象国の国民がアメリカに90日以内の短期滞在をする際に必要な電子渡航認証です。日本はVWP対象国のため、観光や短期出張であればビザなしでESTAのみで渡航できます。
ESTA申請はCBPの公式サイト(esta.cbp.dhs.gov)から行い、申請料は40.27ドル(2026年1月〜)です。有効期間は2年間で、その間は何度でも渡航できます。ただし、パスポートを更新した場合は再申請が必要です。
申請は遅くとも出発の72時間前までに行うことが推奨されています。まれに「渡航認証保留」となり審査に時間がかかるケースがあるため、余裕を持って申請しましょう。
アメリカ入国時のパスポート残存有効期間は、原則として「滞在日数以上」あれば入国可能です。ただし、入国時に90日以上の残存期間があることが望ましいとされています。有効期間が短い場合はトラブルを避けるため、渡航前にパスポートを更新しておくことをおすすめします。
また、パスポートはICチップ搭載のもの(eパスポート)が必要です。2006年3月20日以降に発行された日本のパスポートにはICチップが搭載されていますので、ほとんどの方は問題ありません。
入国審査では帰国便の航空券やホテルの予約確認書の提示を求められることがあります。eチケットの控えやホテル予約のスクリーンショットをスマートフォンに保存しておくか、紙に印刷して持参しましょう。
アメリカは片道航空券での入国に対して厳しく、帰国の意思が確認できない場合は入国を拒否されるリスクがあります。必ず帰国便または第三国への出国便のチケットを用意してください。

アメリカの入国審査は混雑時には1〜2時間待つこともあります。待ち時間を短縮したい方は、MPCアプリやGlobal Entryの活用を検討しましょう。
MPC(Mobile Passport Control)は、CBPが提供する無料の公式アプリです。事前に渡航情報や税関申告をアプリ上で入力しておくことで、空港では専用の優先レーンを利用でき、待ち時間を大幅に短縮できます。
MPCアプリを利用できる対象者は以下のとおりです。
対象者 | 条件 |
|---|---|
米国市民・永住権保持者 | 制限なし |
カナダ国籍(B1/B2ビザ保持者) | 制限なし |
日本人旅行者(ESTA利用) | ESTAでの渡米が2回目以降 |
日本人旅行者の場合、初めてのアメリカ渡航ではMPCを利用できません。2回目以降の渡航から利用可能になります。アプリは日本語にも対応しています(2024年12月〜)。
使い方の流れ:
1. 出発前にMPCアプリをダウンロードしてアカウントを作成
2. パスポート情報・渡航情報・税関申告を入力
3. セルフィー写真を撮影して送信
4. QRコード付きのレシートが発行される
5. 空港のMPC専用レーンでパスポートとQRコードを審査官に提示
Global Entryは、CBPが運営する信頼される旅行者プログラム(Trusted Traveler Program)のひとつです。事前審査を通過した旅行者は、空港のGlobal Entry専用キオスクで簡易な手続きのみで入国でき、審査官との対面質問が不要になります。
日本国籍者は2024年からGlobal Entryの申請対象となっています。申請条件と手続きは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
|---|---|
申請費用 | 120ドル(5年間有効) |
年齢条件 | 14歳以上(18歳未満は保護者の同意が必要) |
必要書類 | 有効なパスポート+ESTA or ビザ |
審査 | 日米両国当局による審査 |
面接 | 米国内のGlobal Entry登録センターで対面面接 |
特典 | Global Entry専用キオスク利用+TSA PreCheck付帯 |
Global EntryにはTSA PreCheck(米国内線の保安検査優先レーン)が付帯しているため、アメリカ国内での乗り継ぎや国内旅行の際にも保安検査の待ち時間を短くできるメリットがあります。
アメリカへの渡航頻度が高い方は、申請を検討する価値があります。申請はCBPのTrusted Traveler Programs(TTP)ウェブサイトから行えます。
APC(Automated Passport Control)キオスクは、かつて入国審査の自動化端末として多くの空港に設置されていました。パスポートスキャンと質問回答をキオスクで行い、審査の待ち時間を短縮できるシステムでしたが、2023年9月30日にCBPがAPCプログラムの全面廃止を完了しています。
現在はMPCアプリまたはGlobal Entryが、入国審査を短縮する主な手段となっています。古い旅行ガイドにAPCキオスクの情報が記載されている場合がありますが、現在は利用できませんのでご注意ください。
アメリカの税関では、持ち込む物品の内容によって申告が必要になります。申告漏れは罰金の対象となり、次回以降の入国にも影響するため、ルールを正しく理解しておきましょう。
アメリカ入国時の主な免税範囲は以下のとおりです。
品目 | 免税範囲 |
|---|---|
アルコール | 1リットルまで(21歳以上のみ) |
タバコ | 紙巻き200本 または 葉巻100本まで |
土産品 | 合計100ドル相当まで |
現金・有価証券 | 1万ドル相当まで(超過時は申告義務) |
免税範囲を超える物品を持ち込む場合や、1万ドル相当を超える現金・トラベラーズチェック・有価証券を持っている場合は、必ずCBPに申告する必要があります。
アメリカは食品の持ち込みに特に厳しい国です。日本からのお土産で意図せず持ち込み禁止品に該当するケースが多いため、以下の品目を事前に確認してください。
持ち込み禁止品(主なもの):
肉類全般(生肉・加工肉・肉エキスを含む食品)
生の果物・野菜
卵・一部の乳製品
土・植物の種子
カレールー・レトルトカレー(肉エキス含有のため)
肉エキスを含むカップ麺・スナック菓子
持ち込み可能な食品:
調味料(醤油・味噌・酢など)
お茶・コーヒー
加工済みの魚介類(ツナ缶など)
乾麺・菓子類(肉エキスを含まないもの)
食品を持ち込む場合は、禁止品に該当しないものであっても税関での申告が必要です。申告せずに持ち込もうとした場合、罰金が科されるだけでなく、次回の入国審査が厳しくなる可能性があります。
以前は機内で配布される紙の税関申告書(CBP Form 6059B)への記入が必要でしたが、現在は主要空港ではデジタル化が進んでおり、MPCアプリを利用する場合は紙の記入は不要です。
MPCを利用しない場合でも、多くの空港では電子化された申告システムが導入されています。ただし、一部の空港や状況によっては紙の税関申告書が必要になることもあるため、機内で配布された場合は念のため記入しておくと安心です。
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アメリカの入国審査は年々厳格化の傾向にあり、日本人旅行者でも入国を拒否されるケースが報告されています。入国拒否は渡航計画を根本から覆す重大なトラブルですので、事前に対策を講じておきましょう。
以下のポイントに注意してください。
アメリカで入国拒否になる主な理由には、以下のようなものがあります。
ESTAの渡航認証で許可されている活動範囲を超えると判断された場合は、入国を拒否されます。たとえば、観光目的のESTAで入国しようとしながら、撮影機材や楽器など仕事に使う道具を大量に持ち込んでいる場合、就労目的を疑われるリスクがあります。
過去にアメリカでのオーバーステイ(滞在期間超過)歴がある場合も、入国拒否の対象となります。ESTAで許可される滞在は最長90日間であり、この期間を一度でも超えた記録がある場合は、次回以降の渡航に支障が出る可能性があります。
日米重大犯罪防止対処協定(PCSC協定)により、日本での犯罪歴がアメリカ側のデータベースに共有されることがあります。過去の犯罪歴が原因で入国拒否されるケースが増えているため、該当する方は事前にビザを取得して渡航することを検討してください。
審査をスムーズに通過するためのポイントをまとめます。
審査官への受け答えでは、事実をそのまま伝えることが最も重要です。嘘やごまかしは見抜かれるリスクが高く、不誠実な対応は状況を悪化させます。聞き取れなかった場合は遠慮なく聞き返しましょう。
必要書類はすぐに取り出せるように準備しておきましょう。パスポート、ESTAの承認画面、往復航空券のeチケット、ホテル予約確認書などをまとめてスマートフォンに保存するか、印刷しておくと手続きが円滑に進みます。
渡航先での通信手段も事前に確保しておくと安心です。入国後にホテルの住所を調べたり、地図アプリで移動したりする際にインターネット接続が必要になります。利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」なら、渡航前にアプリでeSIMを購入しておくだけで、アメリカ到着後すぐにデータ通信を利用できます。
アメリカには「トランジットビザ」や「乗り継ぎ専用エリア」がないため、乗り継ぎだけの場合でも必ず入国審査を受ける必要があります。これはアメリカ特有のルールであり、他の国と同じ感覚でいると乗り継ぎに失敗する可能性があります。
最終目的地がアメリカ以外であっても、アメリカの空港を経由する場合はESTAの申請が必須です。たとえばカナダや中南米が最終目的地でも、アメリカで乗り継ぐ限り入国審査を受けることになります。
乗り継ぎ時の流れは以下のとおりです。
1. 最初に到着した空港で入国審査を受ける
2. 預け荷物をターンテーブルで一度受け取る
3. 税関を通過する
4. 荷物を乗り継ぎカウンターで再度預ける
5. 国内線ターミナルへ移動して搭乗
スルーチェックイン(最終目的地まで荷物を預ける)をしていても、アメリカでは必ず荷物を一度受け取る必要があります。この手順を知らずに荷物を受け取らなかった場合、荷物がロストバゲージとなるリスクがあるため注意してください。
入国審査・荷物受け取り・税関・再チェックインの手続きを考慮すると、乗り継ぎ時間は最低2時間、可能であれば3時間以上を確保することをおすすめします。
混雑する空港(ロサンゼルス国際空港、ジョン・F・ケネディ国際空港など)では入国審査だけで1時間以上かかることもあります。乗り継ぎ時間が短いと次の便に間に合わないリスクがあるため、航空券を予約する際は余裕のあるスケジュールを組みましょう。
I-94はアメリカの出入国記録で、滞在許可期間や入国ステータスが記載されます。2013年4月以降、空路および海路で入国する旅行者のI-94は電子化されており、入国審査時にパスポートをスキャンすることで自動的に記録が作成されます。旅行者側での記入作業は不要です。
入国後にI-94の記録を確認したい場合は、CBPの公式サイト(i94.cbp.dhs.gov)にアクセスし、名前・生年月日・パスポート情報を入力すると、最新のI-94記録を閲覧・印刷できます。過去10年分の渡航履歴も確認可能です。ESTAでの入国であれば、通常は入国日から90日間の滞在が許可されますので、滞在許可期間(Admit Until Date)が正しいか確認しておきましょう。
なお、陸路(カナダやメキシコからの国境)でアメリカに入国する場合は、現在もI-94の事前申請が必要です。CBPの公式サイトまたはCBP Linkモバイルアプリから申請でき、別途30ドルの手数料がかかります(2025年9月30日にHR-1法により6ドルから改定)。

アメリカの入国審査に備えて、事前の書類準備や質問対策を万全にしておくことが大切です。ESTA申請は余裕を持って行い、パスポートやホテル予約確認書などの必要書類もすぐに提示できるよう準備しておきましょう。MPCアプリやGlobal Entryを活用すれば、入国審査の待ち時間を大幅に短縮できます。
到着直後から地図検索やホテルへの連絡などでインターネットが必要になる場面は多いため、通信手段は渡航前に準備しておくのがおすすめです。eSIMなら空港でのSIMカード購入やWi-Fiルーターのレンタル手続きが不要で、物理的なカード交換もありません。トリファ(trifa)のアメリカ向けeSIMは、出発前にアプリで設定を済ませておけば、現地到着後にモバイルデータをオンにするだけで通信を開始できます。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。