海外旅行の準備を始めると、必ず出てくるのが「ビザ」という言葉です。ただ、いざ調べてみると情報がうまくかみ合わない、という経験をした方も多いのではないでしょうか。 実際、「ビザとは」で検索すると、日本人が海外へ行くための情報と、外国人が日本に滞在するための在留資格の情報が同じ画面に混在します。さらにビザ免除国の数も、サイトによって70前後だったり190前後だったりと大きく割れています。 この記事では、ビザの意味をまず一言で押さえたうえで、数字が食い違う理由、ESTAやETIASといった電子渡航認証との関係、申請の流れと費用の目安までを順に整理します。 読み終えるころには、自分の渡航先で何を確認すればよいかがはっきりしているはずです。
目次

ビザとは、これから訪れる国が「入国してよい」と事前に判断したことを示す書類です。日本語では「査証」と呼び、発行するのは渡航先の国になります。
ただ「ビザとは」で調べると、まったく別のテーマの解説が同じ検索結果に並びます。読み進める前に、次の3点を先に整理しておきましょう。
ビザは、渡航先の国が「この人は入国させて問題ない」と事前に審査した結果として出す書類です。パスポートにシールを貼る方式や押印する方式のほか、オンラインで発行される電子ビザもあります。
大切なのは、ビザは入国を保証するものではないという点です。実際に入国できるかどうかを最終的に判断するのは、空港や国境にいる入国審査官です。
ビザは審査を受けるための前提条件と考えると分かりやすくなります。取得していても入国を断られる可能性が残るのは、そのためです。
逆に、ビザが不要な国でも入国審査は行われます。「ビザなし=手続きなしで入れる」ではない点は最初に押さえておきたいところです。
「ビザとは」の検索結果には、日本人が海外へ行くための情報と、外国人が日本に入国・滞在するための情報が混ざって表示されます。どちらも「ビザ」と呼ばれますが、扱っている制度はまったく別のものです。
海外旅行の準備で調べている場合に必要なのは前者です。後者は日本の在留資格に関する話題で、行政書士事務所などが詳しく解説しています。
さらに日本国内では、在留資格のことを日常会話で「ビザ」と呼ぶことがあります。正確には査証(ビザ)と在留資格は別の制度なので、海外渡航の情報を探すときは混同しないよう注意してください。以降は、日本人が海外へ渡航する場合のビザに絞って扱います。
パスポートとビザは、発行元と目的の両方が異なります。パスポートは日本政府が発行する身分証明書で、国籍と本人であることを証明するものです。
一方のビザは、渡航先の国が発行する入国許可の証明です。パスポートは「自分が何者かを示すもの」、ビザは「相手の国が入国を認めたことを示すもの」という関係になります。
項目 | パスポート | ビザ(査証) |
|---|---|---|
発行元 | 自国(日本政府) | 渡航先の国 |
役割 | 国籍と身元の証明 | 入国の事前審査を通過した証明 |
必要になる場面 | 海外渡航のすべて | 渡航先・目的・滞在期間によって必要 |
取得場所 | パスポートセンター等 | 国によって異なる(大使館・領事館の窓口、またはオンライン) |
ビザはパスポートに貼られたり記録されたりするため、ビザだけを単独で持ち歩くことはありません。パスポートが有効であることが、ビザを使う前提になります。
「日本のパスポートは何か国にビザなしで行けるのか」を調べると、サイトによって数字が大きく違います。70前後と書くページもあれば、190前後と書くページもあります。
これは情報の新しさの問題ではなく、何を数えているかが違うために起きています。ここでは次の3点を整理します。
まず確かめたいのが、その数字が日本を「してもらう側」として数えたものか、「する側」として数えたものかという点です。外務省は「査証免除国・地域(短期滞在)」という一覧を公開していますが、これは外国籍の方が日本に短期滞在で入国する際に査証を免除している国・地域の一覧です。
つまり、日本人が海外へ行くときの一覧ではありません。同じ「ビザ免除」という言葉でも、日本が免除する側の話と、日本人が免除される側の話では数える対象がまったく違います。
一方、190前後という数字の多くは、民間企業が発表するパスポートの「強さ」ランキングに由来しています。たとえばヘンリー&パートナーズの2026年版ランキングでは、日本のパスポートは188の渡航先にアクセスできるとされ、シンガポールに次ぐ2位に位置づけられています。こちらは各国の入国制度を独自の基準で集計したもので、政府が公表している統計ではありません。
出典が違えば数字が違うのは当然です。数字を見かけたときは、それが何を数えたものかを確認すると混乱を避けられます。
もうひとつの理由が、集計に含める範囲の違いです。「事前にビザを取らなくてよい国」は、この記事では次の3種類に分けて整理します。
厳密な意味での「ビザ免除」は1つ目だけです。しかしパスポートのランキングでは、2つ目や3つ目も合算されることがあります。ヘンリー&パートナーズは集計方法として、到着ビザや電子渡航認証で入国できる場合も、ビザが不要な場合と同じ1点を加算すると説明しています。
その結果、同じ日本のパスポートについて70台から190前後まで幅のある数字が並ぶことになります。どちらかが間違っているというより、定義が違うと考えるのが正確です。
総数を覚えても、自分の渡航には直接役立ちません。実務で必要なのは、行き先ごとの確認です。次の順番で調べると確実です。
1. 渡航先の国の駐日大使館・領事館の公式サイトを開く
2. 自分の渡航目的(観光・商用・留学など)と滞在日数を確認する
3. ビザが不要でも電子渡航認証が必要かどうかを確認する
4. パスポートの残存有効期間の条件を確認する
同じ国でも、目的と滞在日数が変わればビザの要否は変わります。観光なら不要でも、就労や長期滞在では必要になるのが一般的です。
また、免除の条件は各国の判断で変更されます。たとえば中国は、日本の一般旅券を持つ人へのビザ免除措置を続けています。ジェトロは、免除される滞在期間は30日以内で、2026年12月31日まで延長されたと伝えています。期限が設定されている措置は、渡航の直前に必ず最新の状態を確認してください。
中国のビザ情報を徹底解説!免除条件・種類・申請方法【2026年】
ビザが不要な国でも、出発前にオンラインで手続きが必要な場合があります。これが電子渡航認証と呼ばれる仕組みです。
ビザとは別の制度ですが、取り忘れると搭乗や入国を断られるため、実務上の重要度はビザと変わりません。このセクションでは次の3点を確認します。
電子渡航認証は、ビザなしで渡航できる人を出発前に確認するための仕組みです。たとえばアメリカのESTAは、ビザ免除プログラム対象国の国籍で、90日以内の商用・観光目的の渡航であることが申請の条件とされ、パスポート情報や本人の顔写真、連絡先などを登録します。
手続きはオンラインで完結します。カナダのeTAは申請そのものが数分で終わり、多くの申請者には同じく数分以内にメールで承認が届くと案内されています。
ただし「簡単だから直前でよい」とは限りません。追加の書類提出を求められると数日かかることがあり、カナダ政府は航空券を予約する前に取得しておくことを勧めています。
また、電子渡航認証はビザとは別の制度です。就労のようにビザが必要な渡航目的には使えません。オーストラリア内務省も、ETAは就労ビザではなく、現地の雇用主のもとで報酬を得る仕事はできないと明記しています。
制度名が似ているため取り違えやすいのですが、それぞれ別の国の別の制度です。日本国籍の場合の対応は次のとおりです。
制度名 | 対象国 | 概要 |
|---|---|---|
ESTA | アメリカ | ビザ免除プログラムでの渡航に必要な電子渡航認証 |
eTA | カナダ | ビザ免除対象者が空路で入国・乗り継ぎする際に必要な電子渡航認証 |
ETA | オーストラリア | 観光・商用など短期滞在の渡航に必要な電子渡航許可 |
ETA | イギリス | ビザなしで訪問する場合に必要な電子渡航認証 |
K-ETA | 韓国 | 電子旅行許可。日本は一時免除の対象 |
表のうち、日本国籍の扱いに補足が必要なのはイギリスと韓国です。英国政府の公式ガイダンスは申請できる国・地域に日本を挙げており、ETAで最長6か月の訪問ができると案内しています。韓国のK-ETAは公式サイトで一時免除期間の延長が告知されており、日本を含む対象国の期限は2026年12月31日までと案内されています。
申請方法は制度によって違います。アメリカのESTAとカナダのeTAはオンラインで申請しますが、オーストラリアのETAは対象パスポート保持者全員が内務省の「Australian ETA」アプリから申請する必要があります。手数料と有効期間も制度ごとに異なり、改定されることもあるため、申請前に各国の公式サイトで確認してください。
ESTAとは?アメリカ渡航に必須の電子渡航認証を基礎から解説【2026年版】
ヨーロッパにはEESとETIASという2つの新しい仕組みがあります。それぞれ稼働の状況が違い、混同しやすいため、分けて押さえてください。
EES(入国出国システム)はすでに稼働しています。欧州委員会は、2026年4月10日以降、EESがパスポートへのスタンプに代わり、滞在期間の超過を自動的に検知できるようにすると説明しています。氏名や旅券情報に加えて、指紋と顔画像、入出国の日時と場所が記録される仕組みです。
一方のETIAS(欧州渡航情報認証制度)は、2026年8月28日時点ではまだ稼働していません。欧州委員会は「ETIASは現在運用されておらず、渡航認証の申請は受け付けていない」と明記し、開始日については開始の数か月前に具体的な日付を知らせるとしています。
制度の内容としては、ビザなしで30のヨーロッパの国を短期滞在(180日間のうち最大90日)で訪れる渡航者が対象で、手数料は従来の7ユーロから20ユーロに設定し直されたと公表されています。承認された渡航認証の有効期間は3年間、またはパスポートの有効期限までのいずれか短い方とされています。
なお、EUの公式サイトの中にも以前の案内が残っているページがあり、手数料や開始時期の記載が一致していません。渡航前は必ず最新の公式ページを確認してください。

ビザが必要だと分かったら、次は種類の確認と申請です。ビザは渡航目的ごとに分かれており、必要な書類も目的によって変わります。
このセクションでは次の3点を扱います。
ビザは渡航目的に応じて区分されています。名称や区分の細かさは国ごとに異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
注意したいのは、目的と実際の活動を一致させることです。観光ビザで現地の仕事をするなど、目的外の活動は認められません。
また、乗り継ぎだけでもビザが必要になる国があります。たとえばオーストラリアには、72時間以内の通過ビザがあります。日本国籍でビザなしで通過できるのは、到着から8時間以内に第三国へ出発する航空券を持ち、入国審査を通らずトランジットラウンジを出ない場合などに限られます。経由地の要件も忘れずに確認してください。
ビザ申請の窓口は国によって異なります。渡航先の国が日本に置く大使館・領事館が窓口になる場合もあれば、オンライン申請だけを受け付けている国もあります。たとえば在日オーストラリア大使館は、ビザの申請を郵送でも来館でも受け付けていないと案内しています。
一般的に求められる書類は次のようなものです。
書式や必要書類は国ごとに異なり、同じ国でもビザの種類によって変わります。公式サイトの最新の案内をそのまま使うのが確実です。面接が必要な国もあるため、日程には余裕を持たせてください。
費用は制度によって大きく変わります。ヨーロッパのETIASについては、欧州委員会が手数料を20ユーロに設定したと公表しています。
大使館で申請する通常のビザの査証料は、国とビザの種類ごとに個別に設定されています。金額は改定されることがあるため、申請時点の案内を確認してください。
所要日数にも幅があります。電子渡航認証は短時間で承認されることが多く、先に触れたカナダのeTAが典型です。一方、大使館に申請するビザの審査期間は、渡航先とビザの種類によって変わります。
そのため、渡航が決まった段階で要否を確認し、必要なら早めに動くのが基本です。書類の不備で再提出になると、その分だけ完了が遅れます。
ビザ免除は「審査が省略される」という意味ではありません。免除の対象であっても、入国審査では滞在の目的や予定が確認されます。
ここでは、免除の対象でも見落としやすい3つの論点を確認します。
入国審査では、滞在の実態を確認するための質問や書類提示があります。代表的なのは、出国用の航空券と滞在先の情報です。
短期の観光であることを示すために、帰国便や第三国への出国便の予約が確認されることがあります。滞在先についても、ホテルの予約確認書や住所を聞かれる場合があります。これらはビザの有無とは別に問われるものです。
最終的な判断は入国審査官が行います。カナダ政府も、eTAがあっても入国が保証されるわけではなく、到着時に入国審査官へパスポートなどを提示して入国資格があることを示す必要があると案内しています。ビザ免除の条件を満たしていても、目的が不明確だと入国を認められない可能性は残るため、必要な書類はすぐ出せる場所にまとめておきましょう。
「期間」という言葉が3か所で出てくるため、混同が起きやすい部分です。それぞれ意味が違います。
たとえばオーストラリアのETAは、有効期間が許可日から12か月(パスポートの有効期限が先に来る場合はそこまで)で、1回の入国につき滞在できるのは最長3か月とされています。有効期間が残っているからといって、いつまでも滞在できるわけではありません。
パスポートの残存有効期間は国ごとに条件が異なります。滞在日数に加えて一定期間の残存を求める国もあるため、渡航先の条件を必ず確認してください。
電子渡航認証にも同じ構造があります。カナダのeTAは最長5年(パスポートの有効期限が先に来る場合はそこまで)有効ですが、1回の滞在は通常6か月までとされています。認証の有効期間と1回あたりの滞在可能日数は別に設定されているため、両方を確認してください。
ESTA有効期限は2年|パスポート期限・90日滞在・再申請の関係を解説
出発が近づいてからビザが必要だと分かっても、選択肢が残っている場合があります。国によって、次のような方法が用意されています。
到着ビザ(アライバルビザ)は、現地の空港などで入国時に取得する方式です。事前申請が不要なため、直前に気づいた場合の選択肢になることがあります。ただし対象となる国や条件は限られます。
e-Visa(電子ビザ)は、オンラインで申請して発給を受ける方式です。大使館へ出向く必要がないため、日程に余裕がない場合の選択肢になります。
いずれの方式も、対象となる国籍や渡航目的、入国方法によって条件が変わります。「間に合うはず」と決めつけず、渡航先の公式情報で条件を確認してください。
条件を満たせない場合は、日程の変更を検討することになります。早い段階で気づくほど、選べる手段は多くなります。
ベトナムビザ最新ガイド|45日間免除の条件とe-Visaの取り方
ビザは渡航前の準備のひとつにすぎません。パスポート、保険、通信手段など、同じ時期に確認しておきたいものがいくつもあります。
まとめて進めたほうが漏れが出にくいため、次の3点を整理します。
ビザの要否を調べるときは、パスポートの残存有効期間も同時に確認するのが効率的です。どちらも渡航先の条件に依存し、確認する情報源も同じ大使館の公式サイトになります。
パスポートの更新が必要だと分かった場合、申請から受け取りまでに時間がかかります。たとえばオーストラリアのETAは申請に使ったパスポートに電子的に紐づくため、パスポートを新しくすると失効して再申請が必要になります。更新の要否は最初に確認しておきましょう。
海外旅行保険は、補償の範囲と、クレジットカード付帯の保険で足りるかどうかを、この段階で確認しておくと安心です。現地の通信手段も、同じタイミングで決めておくと手戻りがありません。
パスポートの有効期限を正しく確認|国別の残存期間と切替申請の流れ
現地に着いてすぐ地図や翻訳を使うためには、通信手段の準備が欠かせません。入国審査で滞在先を示すときにも、スマートフォンがつながっている状態のほうがスムーズです。
海外での通信手段には、国際ローミング、レンタルWi-Fiルーター、現地SIM、eSIMといった選択肢があります。このうちeSIMは、端末にカードを差し替えずオンラインで設定が完結するため、出発前の準備と相性がよい方法です。
たとえばアプリダウンロード数No.1の海外eSIMアプリであるトリファは、200以上の国と地域に対応し、購入から設定までアプリ内で完結します。手続きがオンラインで済むため、準備を後回しにしてしまった場合でも対応しやすいのが特徴です。
準備には順番があります。後戻りが発生しやすいものから片づけると、全体がスムーズに進みます。
1. パスポートの有効期限と残存有効期間の確認(更新が必要なら最優先)
2. 渡航先のビザ要否と電子渡航認証の確認
3. ビザ申請または電子渡航認証の申請
4. 航空券・宿泊の確定
5. 海外旅行保険の加入
6. 通信手段の手配
7. 現地通貨・決済手段の準備
パスポートとビザが上位に来るのは、ここでつまずくと渡航そのものが成立しないからです。逆に通信や決済は、比較的直前でも調整できます。日程が短い場合は、要否の確認だけでも先に済ませておくと判断が早くなります。
海外旅行の準備はいつから始める?やることリストを時系列で完全解説

ビザは、渡航先の国が発行する入国許可の証明です。パスポートや在留資格とは別の制度で、必要かどうかは渡航先・目的・滞在日数によって変わります。
最後に要点と、渡航前に確認したいことを整理しておきます。
チェックリストの最後に挙げた通信手段も、ビザと同じく出発前に手配できます。トリファなら、アプリで行き先とプランを選ぶだけで手続きが完結します。
日本語のサポートに対応しているため、初めての海外や久しぶりの渡航でも安心して使えます。渡航先が決まったら、ビザの確認と合わせて通信の準備も進めておきましょう。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。
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