ロンドン旅行の写真に必ずと言っていいほど登場するのが、テムズ川沿いに立つビッグベンです。外から眺めるだけなら予約も費用も要りませんが、時計塔の内部まで登れることを知らずに帰国する人は少なくありません。 内部見学ができるかどうかを分けるのは、当日の運ではなく出発前の予約準備です。チケットは数か月前に決まったタイミングでまとめて放出されるため、その放出日を押さえられるかどうかが分かれ目になります。 この記事では、ビッグベンの基礎知識から内部見学ツアーの予約条件と最新料金、予約が取れなかった場合でも満足できる外観観光の回り方までを順番に整理します。渡航前のチェックリストとして読み進めてみてください。
目次

ビッグベンという呼び名は広く知られていますが、実はあの時計塔そのものを指す名前ではありません。まずは名称の関係を整理しておくと、チケットを探すときにも迷わなくなります。
このセクションで扱うのは、ビッグベンとエリザベス・タワーの違い、塔の基本データ、名前の由来、そして大規模修復を経た現在の姿の4つです。
ビッグベンは、時計塔の内部に吊るされている大鐘(グレート・ベル)に付けられた愛称です。塔そのものの正式名称はエリザベス・タワーで、2012年にエリザベス2世の在位60年を記念して改称されました。
さらにその塔が付属している建物全体が、英国議会が置かれているウェストミンスター宮殿、いわゆる国会議事堂です。日本語のガイドや旅行サイトでは3つが混ざって使われがちなので、公式サイトでチケットを探すときは「Elizabeth Tower」「Houses of Parliament」という英語表記で区別すると確実です。
この3層の関係を頭に入れておくと、後述する2種類のツアーの違いもすっきり理解できます。
エリザベス・タワーは19世紀半ばに完成した時計塔です。英国議会の公式解説によると、風などの外的な影響を打ち消す脱進機構が設計されており、それが時計の精度を支えてきました。数字で見ると、その巨大さが伝わってきます。
項目 | 数値 |
|---|---|
塔の高さ | 約96メートル |
大鐘「ビッグベン」の重さ | 約13.7トン |
大鐘の高さ | 約2.2メートル |
時計の文字盤の直径 | 約7メートル(4面) |
地上から鐘楼までの階段 | 334段 |
文字盤は4面あり、塔をどの方向から見ても時刻を読み取れる構造です。夜になると文字盤が内側から照らされ、川沿いから見上げると昼とはまったく違う表情になります。
なお、ここに挙げた数値は英国議会が公式サイトで公開している値です。日本語のガイドでは塔の高さを96.3メートルと書くものもありますが、これは丸め方の違いによるものです。
「ビッグベン」という愛称の由来は、実ははっきり確定していません。有力とされるのは、鐘の設置工事を監督した国会議員ベンジャミン・ホール卿の愛称にちなむという説です。
もう一つは、当時人気を集めていたボクサーのベン・カウントにちなんだという説です。どちらが正しいかを示す決定的な記録は残っておらず、複数の解説が両論を併記しています。
由来がはっきりしないまま愛称だけが世界中に広まり、今も使われ続けている点そのものが、この鐘の存在感を物語っています。
エリザベス・タワーは2017年から、建物の歴史のなかでも最大規模となる保存修復工事に入りました。工事期間中は塔が足場に覆われた状態が長く続きました。
英国議会の公式案内によると、石工、ガラス吹き、金箔押し、左官、鋳鉄、時計機構といった伝統技術を持つ500人以上の職人が関わった工事で、鐘の音が通常の運用に戻ったのは2022年11月です。工事が完了した現在、公式サイトはエリザベス・タワーが常設で公開されていると案内しています。
つまり、今のビッグベンは「修復直後のいちばんきれいな時期」に当たります。数年前の旅行記や、工事中に書かれた「見学は休止中」という情報が今も検索結果に残っているので、出発前に情報の日付を確かめてから読んでください。
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日本語の情報を見ていると「ビッグベンの内部は英国居住者しか入れない」と書かれているページと、「オンラインで誰でも予約できる」と書かれているページの両方が見つかります。どちらか一方が単純に間違っているわけではなく、ツアーが2種類あることが混乱の原因です。
ここでは有料の公開チケットと無料の議員経由ツアーという二層構造を分けて説明します。この違いが分かれば、自分がどちらを狙うべきかがすぐ決まります。
エリザベス・タワーの内部を見学するツアーは、英国議会の公式チケットサイトから有料で購入できます。この公開チケットには居住地の条件が設けられておらず、日本から渡航する旅行者も対象です。
購入は原則として事前予約制です。渡航日程が決まった段階で、後述する放出スケジュールに合わせて動き出すのが基本になります。
海外の旅行ガイドでも「有料チケットは国際的な訪問者も購入できる」という説明で一致しており、旅行者が最初に検討すべきなのはこちらのルートです。
もう一つのルートが、英国居住者が自分の選挙区の下院議員、あるいは上院議員に依頼して手配してもらう無料ツアーです。こちらは議員が申し込みを代行する仕組みで、居住者向けの枠として運用されています。
英国議会の公式サイトはこの無料枠について「枠に限りがある」と案内しており、議員側の案内では1人の議員に年8枚程度が割り当てられると説明されています。日本から旅行で訪れる人はこの枠を利用できません。
つまり「英国居住者限定」という説明は、この無料ツアーについての話です。有料の公開チケットまで居住者限定だと読み取ってしまうと、入れるはずのツアーを最初から諦めることになってしまいます。
誤解が広まりやすいのは、情報が書かれた時期の違いによるところが大きいと考えられます。修復工事の前は議員経由の枠が中心で、一般向けの公開チケットが広く売られている状態ではなかったと説明されています。
工事が終わって2023年に本格的なツアーが再開されてから、公開チケットの販売が定着しました。ところが検索上位には、それ以前に書かれた記事が更新されないまま残っています。
料金についても同じことが起きており、改定前の金額を載せたままのページが少なくありません。次のセクションで、現在の料金体系を確認していきます。

ビッグベン観光で選べるツアーは、時計塔を登るエリザベス・タワーのツアーと、議場や大広間を見学する国会議事堂のツアーの2種類です。料金も所要時間も参加条件も違うため、どちらを目的にするかを先に決めておくと予約がスムーズです。
ここでは最新の料金水準と、2つのツアーの比較、そして参加前に確認しておきたい条件を順に見ていきます。
英国議会の公式案内によると、2026年8月1日以降に実施されるエリザベス・タワーのツアーは、大人55ポンド、11歳から17歳までが35ポンドです。それ以前の日程には大人35ポンドなどの旧料金が適用されていたため、予算はこの新しい料金で組んでおいてください。
ツアーの所要時間は最大で90分ほどです。加えてセキュリティチェックの待ち時間があるので、集合時刻の30分前には現地に着いておく想定でスケジュールを組んでおくと余裕が持てます。
内容は、らせん階段を334段登って時計機構や鐘楼を間近に見るというもので、毎正時に鐘が鳴る瞬間に立ち会えることもあります。音が非常に大きいため、耳を保護する装備が貸し出されます。
一方の国会議事堂ツアーは、ウェストミンスター・ホールや議場を見学するもので、階段を大量に登る必要はありません。公式サイトでは、ガイドが引率する形式(案内は英語のみ)と、10言語に対応した音声端末を使って自分のペースで回る形式の2つが、常設の選択肢として挙げられています。このほかに下院議長公邸を見学するSpeaker's Houseツアーが、復活祭と夏の休会期の限られた日程で販売されます。
比較項目 | エリザベス・タワー内部ツアー | 国会議事堂ツアー |
|---|---|---|
見どころ | 時計機構・鐘楼・大鐘 | ウェストミンスター・ホール、議場 |
料金 | 大人55ポンド/11〜17歳35ポンド(2026年8月1日以降) | ガイドツアー大人40ポンド/音声ガイド式大人31ポンド(2026年9月1日以降の事前購入) |
所要時間 | 最大90分 | 90分程度 |
年齢制限 | 11歳以上 | 年齢制限なし |
体力面 | 334段の階段を自力で登る | 階段の連続はなし |
開催日 | 公式サイトで放出される日程のみ | 土曜日は通年、議会の休会期は月曜から土曜 |
英国議会の公式料金ページによると、2026年9月1日以降に購入する国会議事堂ツアーは、事前予約なら大人がガイドツアー40ポンド、音声ガイド式31ポンドです。当日窓口で買うとそれぞれ43ポンド、34ポンドに上がるため、日程が決まっているなら事前に押さえておくほうが安く済みます。
開催日は土曜日が通年、議会の休会期は月曜から土曜までとなるため、日程の自由度が高いのは国会議事堂ツアーのほうです。2026年の休会期は、夏季が7月16日から8月31日、秋の会期休会が9月15日から10月12日、冬季が12月17日から2027年1月4日です。
エリザベス・タワーのツアーには、明確な参加条件があります。参加できるのは11歳以上で、11歳から17歳の場合は大人の同伴が必要です。
334段のらせん階段は幅が狭く、途中にエレベーターはありません。自力で登り切れることが前提になるため、膝や心肺に不安がある人、小さな子ども連れの家族には向きません。
先に触れたとおり、鐘楼では鐘の音が大きく響きます。音に敏感な人は、この点も含めて参加するかどうかを決めてください。条件に当てはまらない場合は、国会議事堂ツアーや後述する外観観光に切り替えるほうが満足度は高くなります。

エリザベス・タワーのツアーは、狭いらせん階段を少人数で登る形式のため、チケットは決まったタイミングにまとめて放出される仕組みになっています。人気の日程は早い段階で埋まることがあります。
日本から予約する場合は時差の換算がそのまま成否に直結します。ここでは放出のルールと、日本時間での待ち構え方を整理します。
公式の案内によると、チケットはおよそ3か月先の日程分が、毎月第2水曜日のロンドン時間10時に放出されます。1人あたりの購入上限は8枚までとされています。
つまり、旅行の直前に思い立って探すのではなく、渡航の3か月前後から放出日をカレンダーに入れておく必要があります。渡航日が確定していない段階でも、候補日を決めて放出日に備えておくと選択肢が広がります。
購入は公式チケットサイト(See Tickets)経由のオンライン販売に限られ、当日窓口で買うことはできません。放出日は日付の選択から決済まで続けて進めることになるので、カード情報を手元に用意しておくと操作でつまずきにくくなります。なお公式サイトは、議会の運営や警備、安全上の理由でツアーが直前に中止になる場合があり、その際は購入代金が返金されると案内しています。
ここで見落としやすいのが時差です。英国は夏の期間だけ夏時間(BST)を採用しており、政府の公式案内では3月の最終日曜日に時計を1時間進め、10月の最終日曜日に戻すと定められています。2026年は3月29日に進み、10月25日に戻ります。
夏時間の期間中、日本と英国の時差は8時間です。ロンドン時間の10時は日本時間の18時にあたります。冬時間(GMT)の期間は時差が9時間になるため、ロンドン時間の10時は日本時間の19時です。
第2水曜日は必ず8日から14日のあいだに来るため、切り替え日(2026年は3月29日と10月25日)より前になります。3月の放出は冬時間で日本時間19時、10月の放出は夏時間で日本時間18時と考えて差し支えありません。
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放出日に参加できなかった場合や、希望日が埋まっていた場合でも、まだ手はあります。まず翌月の放出日にはさらに1か月先の日程分が出るため、旅行日程に幅があるなら次回に賭ける価値があります。
次に、国会議事堂ツアーへ切り替える選択肢があります。こちらは土曜日と休会期に定期的に開催されており、日程の選択肢は多めです。
そして最後に、外観観光だけでも十分に満足できる場所であるという点です。次のセクションで、予約なしで楽しむための回り方を紹介します。

ビッグベンは外から眺める分には料金も予約も不要で、公道からいつでも見上げられます。むしろ写真映えという意味では、外観のほうが主役になる場所です。ただし議会広場の周辺は、デモや警備で一時的に通行規制がかかることがある点だけ覚えておいてください。
最寄り駅はウェストミンスター駅で、地下鉄のサークル線、ディストリクト線、ジュビリー線が乗り入れています。国会議事堂側の出口を上がると塔がすぐ目に入るので、初めてでも迷いにくい立地です。
定番の構図は、ウェストミンスター橋の上から塔を見上げるアングルです。赤い2階建てバスが橋を渡ってくる瞬間を狙うと、ロンドンらしさが一枚に収まります。
人の少なさと光の向きを考えると、朝9時前の時間帯が撮りやすいと旅行ガイドでは案内されています。日中の橋の上は混みやすいので、落ち着いて構図を決めたいなら時間帯をずらすほうが快適です。
テムズ川の対岸、サウスバンク側の遊歩道からは、塔と国会議事堂と橋を一枚に収められます。日没後は文字盤がライトアップされるので、夕方から夜にかけてもう一度足を運ぶと、まったく違う写真が撮れます。
ビッグベンの見どころは姿だけではありません。時計塔には大鐘のほかに4つの小さな鐘があり、15分ごとにウェストミンスター・クォーターズと呼ばれる旋律が鳴ります。
このメロディーは日本の学校のチャイムの原型になったとされ、日本人にとっては初めて聞いても不思議と懐かしく感じられます。毎正時には大鐘が時刻の数だけ鳴るので、音を目当てにするなら正時の少し前には橋の上に着いておくと安心です。
外観の撮影と鐘の音をセットで楽しむなら、正時をまたぐように時間を取ると無駄がありません。
ビッグベン単体では滞在が短くなるため、周辺のスポットとまとめて回るのが定番です。ウェストミンスター橋を渡ってテムズ川沿いを歩けば、大観覧車のロンドンアイまで徒歩10分ほどで着きます。
橋を渡らずに議会広場の西側へ進めば、歴代の国王が戴冠式を行ってきたウェストミンスター寺院があります。ビッグベンを含むこの一帯は、ウェストミンスター宮殿とウェストミンスター寺院、そして聖マーガレット教会をまとめて1987年に世界遺産へ登録されたエリアです。
つまり、ビッグベンの前に立っている時点で世界遺産の中にいることになります。3か所は歩いて回れる距離に固まっているので、ロンドン滞在の初日に組み込むと街の位置関係がつかみやすくなります。
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ここまでの回り方をそのまま実行するには、スマートフォンが現地でつながることが前提になります。ツアーのチケットはオンラインで購入して手元の端末に届く形式なので、ネットが使えないと入場手続きで慌てることになります。地図アプリで議会広場周辺の入口を探すときも、通信が使えるかどうかで動きやすさが変わります。
渡航前に通信手段を確保しておく方法として、アプリダウンロード数No.1の海外eSIMアプリであるトリファのように、出発前にスマートフォン上で設定を済ませておけるサービスがあります。到着した時点で地図とチケットをすぐ開けるので、入口探しや入場手続きで足止めされずに済みます。
写真をその場で共有したい場合も、通信環境があるかどうかで体験が変わります。イギリスで使える通信手段の選択肢は幅があるので、自分の旅程に合うものを渡航前に比べておくとよいでしょう。
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ビッグベンの内部見学は、予約の仕組みを知っているかどうかで結果が変わります。押さえるべきなのは、3か月先の日程が出る放出日と、日本時間に換算した待ち構えの時刻です。この2つを実行できれば、チケットが取れる可能性は大きく上がります。
そして予約が取れた人も取れなかった人も、当日の動きを支えるのは現地の通信環境です。チケットの提示、入口の場所、鐘が鳴る時刻の確認まで、ほとんどがスマートフォン上で完結します。
トリファは、渡航前にアプリでプランを選んでおけば、現地に着いた時点ですぐインターネットを使い始められる海外eSIMサービスです。物理的なSIMカードの受け取りや差し替えが不要なので、出発前の準備を短時間で終えられます。
対応しているのは200以上の国と地域で、イギリス単体のプランのほかにヨーロッパ周遊プランも用意されているので、ロンドンから他の国へ足を延ばす旅程でも選びやすくなっています。到着後に空港のカウンターを探す時間を、そのままビッグベンの前で使えると考えると、準備の価値が分かりやすいはずです。
出発前のチェックリストに、パスポートと航空券に並べて通信手段を加えておいてください。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。
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