「フィリピンにビザは必要なのか」を調べると、多くのページが「30日以内なら不要」と書いています。そこで安心して準備を終えてしまうと、実はもうひとつの手続きが抜けたまま出発日を迎えることになります。 結論から言うと、日本国籍の方が観光や商用でフィリピンを訪れる場合、30日以内の滞在であればビザは必要ありません。ただし、入国前にはeTravelというオンライン登録を済ませておく必要があります。 やっかいなのは、ビザについて調べるときに最初に読むことになる大使館のページに、eTravelの記載が見当たらないことです。ビザ側の情報だけを確認して安心してしまうと、登録の存在に気づけません。 この記事では、ビザ免除の条件、公式どうしで書かれ方が違うパスポートの残存有効期間、eTravelの登録タイミングとQRコードの見方、30日を超える場合の延長手続きまでを、公式情報をもとに整理して解説します。
目次

日本国籍の方がフィリピンを観光や商用で訪れる場合、滞在が30日以内であればビザは必要ありません。これは駐日フィリピン大使館が公式に案内している扱いです。
ただし「ビザが不要」であることと「渡航前の手続きが何もいらない」ことは同じではありません。フィリピンには入国前に済ませておくオンライン登録があり、ここに気づかないまま空港へ向かってしまう人がいます。
出発前に確定させておきたいのは、次の3点です。
駐日フィリピン大使館は、対象国の国民が商用または観光目的で渡航する場合、30日を超えない滞在についてビザなしでの入国を認めると説明しています。日本はこの対象国リストに掲載されており、観光や短期の出張であれば事前のビザ申請は不要です。
同大使館は、30日を超えて滞在したい場合の選択肢も示しています。現地の入国管理局(Bureau of Immigration)で延長を申請するか、出発前に東京のフィリピン大使館領事部で一時訪問者ビザを申請するかの2通りです。
なお、30日以内であっても、目的が観光・商用の範囲を超える滞在はビザ免除の対象にはなりません。その場合は、目的に合ったビザを別途取得する必要があります。
駐日フィリピン大使館は、ビザなしでの入国について2つの条件を示しています。航空券に関する条件と、パスポートの残存有効期間に関する条件です。
原文では、出発地に戻るための、または次の目的地へ向かうための有効な航空券を保持していること、そしてパスポートがフィリピンでの滞在予定期間を超えて6か月以上有効であること、と定められています。
出発前のチェックとしては、次の3点を手元で確認しておくと確実です。
パスポートの残存期間については、公式の案内どうしで書かれ方が異なります。この点はあとの見出しで整理します。
ビザが不要だと知った時点で準備を終えてしまうと、eTravelの登録が抜け落ちます。フィリピン政府観光省の日本語公式サイトは、入国の72時間以内にetravel.gov.phでの登録が必要だと明記しています。
この登録は、ビザの要否とは切り離された手続きです。ビザが不要な旅行者も対象になるため、「ビザなしで行ける国だから何もしなくてよい」という理解のままでは足りません。
渡航前にやることは「ビザの要否を確認する」だけではなく、「eTravelを登録する」までがセットだと考えておきましょう。
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eTravelは、フィリピンに出入国する渡航者の情報をオンラインで登録する公式システムです。公式サイトではシステム名を「Philippine Travel Information System」と表記しており、登録先はetravel.gov.phです。
ビザとは別枠の手続きであるうえ、ビザの公式案内には載っていないことが多いため、渡航直前まで気づかない人が出やすい部分です。ここでは制度の位置づけと、見落としが起きる理由を整理します。
eTravelの公式FAQは、登録および更新は完全に無料であり、いかなる形のオンライン決済も収集も要求もしないと明記しています。登録料を請求するサイトは公式ではないため、必ずetravel.gov.phから手続きしてください。
登録できるのは、フィリピンへの到着または出発の72時間(3日)以内です。数週間前にまとめて済ませておくことはできず、出発が近づいてから登録する仕組みになっています。
登録の対象になるのは、公式FAQによると、到着するフィリピン人および外国人の乗員と乗客、そして出発するフィリピン人乗客です。日本から旅行で訪れる場合は、入国時の登録が対象になります。
出国側について公式FAQが挙げているのは「出発するフィリピン人乗客」であり、日本国籍の旅行者が帰国便に乗る際の登録は対象として書かれていません。ただし運用は変わり得るため、帰国日が近づいたらetravel.gov.phの案内を一度確認しておくと安心です。
なお、外交官とその家族、外国の要人と代表団のメンバー、9(e)ビザの保持者、外交・公用旅券の保持者は登録の対象外とされています。一般の旅行では関係しませんが、公用での渡航では確認が必要です。
駐日フィリピン大使館のビザ申請手続きのページと、30日ビザ免除のページには、どちらにもeTravelへの言及がありません。ビザの要否を調べる導線だけをたどると、登録の存在に触れないまま準備が終わってしまいます。
一方、フィリピン政府観光省の日本語公式サイトには、入国の72時間以内にetravelの登録が必要だとはっきり書かれています。ビザの情報源と入国手続きの情報源が分かれていることが、見落としの原因になっています。
日本語の旅行情報でも、ビザの解説と入国手続きの解説が別々のページに分かれていることは珍しくありません。ビザの要否を確認して終わりにせず、入国手続き側の情報まで目を通しておくと取りこぼしがありません。
eTravelの公式FAQは、発行されたQRコードを搭乗前に航空会社の係員へ提示するよう求められると説明しています。登録の証明を提示するよう促される、という案内も併記されています。
未登録のまま空港に行った場合にどう扱われるかは、公式サイト上では明示されていません。ただし提示を求められる前提である以上、搭乗手続きの前に登録が済んでいる状態が求められると考えるのが自然です。
空港で登録しようとすると、通信環境の確保や入力の時間が必要になり、搭乗までの余裕がなくなります。登録は空港に着く前に済ませておく前提で、出発前の予定を組んでおくのが現実的です。
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eTravelの登録は、公式サイトで必要事項を入力し、発行されたQRコードを保存するという流れです。所要時間はそれほど長くありませんが、登録できる期間が限られているため、いつ手をつけるかが実務上のポイントになります。
この章で扱うのは、次の4点です。
登録はetravel.gov.phにアクセスし、渡航情報を入力して送信すると完了します。送信後にQRコードが発行され、これが登録済みであることの証明になります。
公式サイトは、eTravelのページを閉じる前にQRコードのスクリーンショットを撮るか、ダウンロードしておくよう案内しています。現地で通信できない状況でも提示できるよう、画像として端末に残しておくのが安全です。
入力の手順は公式サイトの案内に従います。パスポートと航空券の控え、ホテルの予約確認書を手元に用意してから始めると、途中で止まらずに済みます。
eTravelは早く登録すればよいというものではありません。前の見出しで触れたとおり、登録できるのは到着または出発の72時間(3日)以内に限られます。
旅行の準備を早めに進めるタイプの方ほど注意が必要です。1週間前に登録しようとしても受け付けられないため、出発の3日前になったら着手する、とスケジュールに入れておきましょう。
逆に、直前まで放置するのも避けたいところです。入力内容に不備があると次に説明する赤いQRコードが発行されるため、修正できる時間を残して登録するのが現実的です。
eTravelの公式FAQは、QRコードの色について定義を示しています。緑のQRコードは、必要な情報の提出が適切かつ完全であった場合に発行されます。
一方、赤のQRコードは、提出されたデータが不完全または不正確な場合、あるいは渡航前の30日間に本人が病気であったか、感染性の病気にかかっている人と接触した履歴がある場合に発行されます。
つまり赤が出るのは、入力内容の不備か健康申告の内容が理由です。公式FAQは、国境管理当局の確認を受ける前であれば「Edit Registration」から登録データの一部を修正できると案内しています。出発直前ではなく余裕をもって登録しておくことが、そのまま対処になります。
以前は機内で紙の入国カードや税関申告書を記入していましたが、現在は記入する必要がありません。入国管理局は、eTravelが入国審査を受ける前に記入していた到着カード・出発カードを置き換えたと発表しています。
税関申告についても、2024年5月10日以降は紙の税関申告書がeTravelのQRコードに置き換えられました。登録完了時に受け取るQRコードが、提出の証明になります。
紙の入国カードが復活した、あるいは再導入されたという情報は、2026年8月時点で確認できる範囲では見当たりませんでした。機内で書類が配られる前提で準備する必要はありません。
その代わり、空港ではスマートフォンでQRコードを提示する場面が出てきます。到着時にすぐ開けるよう、保存したQRコードの場所を確認しておきましょう。
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フィリピンのビザ免除で最も混乱しやすいのが、パスポートの残存有効期間です。駐日フィリピン大使館と、フィリピン政府観光省の日本語サイトとで、書かれている基準が異なります。
どちらも公式の情報であり、片方が誤りというわけではありません。両方の記載を確認したうえで、どう準備すればよいかを整理します。
駐日フィリピン大使館の30日ビザ免除のページは、ビザなし入国の条件として、パスポートがフィリピンでの滞在予定期間を超えて6か月以上有効であることを挙げています。10日間の旅行であれば、帰国予定日からさらに6か月ほど有効期間が残っている状態です。
一方で同じページには、注記としてもうひとつの扱いが書かれています。フィリピン入国管理局の2015年8月3日付Operations Order No. SBM-2015-026にもとづく扱いです。リスト上でアスタリスクが付いた国の国民は、到着日から残存6か月未満のパスポートであっても入国を認められることがある、という内容です。
日本はこのアスタリスクが付いた国として掲載されています。つまり大使館のページ自体が、原則と例外の両方を示している状態です。
フィリピン政府観光省の日本語公式サイトは、日本国籍の方はパスポートの残存期間が6か月未満であっても、滞在日数以上あれば入国可能だと記載しています。前の見出しで触れた注記の内容を、日本人向けに言い切った形です。
この2つを並べると、食い違いに見えていたものが整理できます。一般的な条件は滞在予定期間に6か月を加えた期間で、日本を含むアスタリスク付きの国には残存期間を緩和する扱いがある、という関係です。
ただし注記の原文は「認められることがある」という書き方であり、必ず入国できると保証するものではありません。航空会社が搭乗手続きの段階で独自の基準を適用する可能性も残ります。
準備の方針としては、滞在予定期間に6か月を加えた残存期間を満たしておくのが安全側の判断です。残存が足りない場合は、緩和の扱いに頼るより、出発前にパスポートを切り替えておくほうが確実です。
関連記事:パスポートの有効期限を正しく確認|国別の残存期間と切替申請の流れ
航空券の条件については、日本語の情報では「往復航空券が必要」とだけ書かれていることがあります。ただし、先に触れた駐日フィリピン大使館の原文は往復に限定していません。
求めているのは、出発地に戻るための、または次の目的地へ向かうための有効な航空券です。フィリピンから別の国へ移動する予定であれば、その第三国行きの航空券でも条件を満たす書き方になっています。
気をつけたいのは、日付が確定していない航空券や、予約だけで発券されていないものの扱いです。原文は「有効な航空券」としか書いておらず、これらがどう判断されるかは明示されていません。確定した便を用意しておくほうが、空港でも説明しやすくなります。
30日を超えて滞在したい場合は、フィリピン国内で滞在期間を延長する方法があります。手続きは現地の入国管理局(Bureau of Immigration)で行うため、日本を出る前に済ませておくことはできません。
延長できる期間や費用については、情報源によって記載が食い違っています。以下は、入国管理局が公表している内容にもとづいて整理したものです。
延長の申請先は、入国管理局の本局、またはこの手続きを扱う権限を持つ各地の事務所です。必要なものはチェックリストに沿った書類と申請フォームで、記入済みの申請書と添付書類をパスポートとともに窓口の担当官へ提出します。
なお、入国管理局はオンラインのeServicesポータルでもビザ延長・ビザウェイバーの申請を受け付けています。渡航時点で利用できる方法を公式サイトで確認しておくと確実です。
入国管理局は、一時訪問者ビザの有効期限が切れる7日前から延長を申請できると案内しています。期限を過ぎるとオーバーステイの罰金が発生するため、日程に余裕をもって手続きしてください。
冒頭で触れたとおり、30日を超える滞在が最初から決まっている場合は、出発前に東京のフィリピン大使館で一時訪問者ビザを申請する方法もあります。フィリピン政府観光省の日本語サイトは、日本で59日間有効のツーリスト・ビザを取得できると案内しています。
入国管理局は、ビザ不要国籍の渡航者が30日の入国後に最初の29日延長を申請する場合の手数料を公表しています。内訳は次のとおりです。
項目 | 金額(フィリピンペソ) |
|---|---|
Visa Waiver | 500.00 |
Visa Waiver Application Fee | 1,000.00 |
Certification Fee | 500.00 |
Legal Research Fee | 30.00 |
Express Fee | 1,000.00 |
合計 | 3,030.00 |
この初回延長により、入国時の30日と合わせて合計59日の滞在になります。入国管理局のFAQによると、2回目以降の延長は1か月・2か月・6か月のいずれかの単位で申請でき、金額は延長期間や区分によって変わります。
ただし入国管理局は、この手数料表について2014年3月6日時点で更新されたものであり、予告なく変更される可能性があると注記しています。渡航時点の金額は現地の窓口で確認してください。
延長の上限については、「入国から179日まで」といった記載を見かけることがあります。入国管理局のFAQの説明はこれとは異なります。ビザが不要な国籍の渡航者は最長36か月まで、ビザが必要な国籍の渡航者は最長24か月まで延長できるとされています。
日本国籍はビザが不要な国籍にあたるため、制度上の上限は36か月です。もっとも、これは延長を繰り返した場合の上限であり、1回の申請でまとめて取得できる期間ではありません。
滞在が長くなるほど、次に説明するACR I-CardやECCといった別の手続きが関わってきます。滞在が数か月に及ぶ見込みであれば、延長だけでなく付帯の手続きまで含めて日程を考えておく必要があります。
フィリピンは語学留学の渡航先としても選ばれており、その場合はビザの延長だけでは足りないことがあります。滞在の目的や日数に応じて、追加の許可証や証明書が必要になるためです。
旅行から長期滞在に切り替える場合に関わってくるのは、SSP・ACR I-Card・ECCの3つです。
SSPは、学生ビザの要件を満たさない外国人が学校で学ぶ場合に取得する許可証です。入国管理局も、学生ビザの対象にならない外国人でもSSPを利用できると案内しています。
入国管理局が公表している手数料は、総額5,240ペソです。内訳は申請料2,000ペソ、実施料1,000ペソ、サービス料200ペソ、証明書料500ペソ、法務調査料40ペソ、エクスプレス料の合計1,500ペソです。これに加えて、I-Cardに関する50米ドルが記載されています。
ただしこの金額にも、2014年3月6日時点のもので予告なく変更される可能性があるという注記が、入国管理局のページに付いています。語学学校を通して手続きする場合は、案内される金額が入国管理局の公表額と異なることがあるため、留学先の見積もりで確認してください。
ACR I-Cardは、フィリピンでの滞在が59日を超えた外国人に発行されるICチップ入りの登録証です。入国管理局のFAQは、一時訪問者ビザの保持者もこの対象に含まれると説明しています。
入国管理局が公表している発行時の手数料は、50米ドルと500ペソです。初回の延長で滞在が59日になるため、その先も滞在を続ける場合に関わってくる手続きだと理解しておきましょう。
短期の旅行であれば取得の必要はありません。滞在が2か月を超えそうな段階で、延長手続きと合わせて窓口に確認しておくとよいでしょう。
ECCは、一定期間以上フィリピンに滞在した外国人が、出国前に入国管理局から取得する証明書です。同局のFAQは、一時訪問者ビザで6か月以上滞在した人は、出国前にECC-Aを取得する必要があると説明しています。
申請の時期について、同FAQは遅くとも出国の72時間前までに申請するよう案内しています。早めに動くぶんには問題がないため、帰国日が決まった段階で日程を確保しておきましょう。
ここで注意したいのが、eTravelにも出てきた「72時間」との違いです。eTravelは到着・出発の72時間前より早くは登録できない受付の窓であるのに対し、ECCの72時間は「遅くともこの時点までに申請する」という期限で、意味が逆になります。
観光目的の短期旅行では該当しませんが、語学留学やロングステイで滞在が半年を超える場合は、出国側の手続きとして押さえておく必要があります。

渡航前の手続きが一通り終わったら、最後に現地での通信手段を用意しておきましょう。eTravelのQRコードは、搭乗前や到着後にスマートフォンで提示する場面があります。画像として保存していても、滞在先の住所を調べ直したり登録内容を確認したりするときには、通信できる環境があるほうが安心です。
トリファは、アプリダウンロード数No.1の海外eSIMアプリです。日本にいるうちにプランを選んでおけば、現地で電波をつかんだ時点から通信を始められます。
購入から利用開始までは最短3分が目安で、空港でSIMカードを買ったり入れ替えたりする必要がありません。iPhoneでは普段使っているSIMを入れたままeSIMを追加できるため、日本の電話番号もそのまま残せます。
テザリングに対応したプランなら、同行者のスマートフォンやパソコンをつなぐこともできます。対応可否はプランによって異なるため、購入前にアプリで確認してください。
到着直後からネットにつながる状態にしておけば、入国手続きから移動までの流れがスムーズになります。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。
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