
タイは日本人にとって人気の高い渡航先のひとつです。バンコクやプーケット、チェンマイなど魅力的な都市が多く、旅行だけでなく駐在やノマドワークで長期滞在する方も増えています。 しかし、タイではインターネットの利用環境が日本とは大きく異なります。政府によるウェブサイトのブロックが行われているほか、フリーWiFiのセキュリティリスクも見過ごせません。日本の動画配信サービスが地域制限で視聴できないケースもあります。 こうした問題を解決する手段のひとつがVPN(Virtual Private Network)です。VPNを使えば通信を暗号化してセキュリティを高めたり、日本のIPアドレス経由で動画配信サービスにアクセスしたりできます。 この記事では、タイでVPNが必要になる具体的なシーンから、おすすめサービスの比較、設定手順、法的な注意点まで詳しく解説します。タイへの渡航を控えている方は、ぜひ出発前にチェックしてみてください。
目次

タイは東南アジアのなかでもインターネットインフラが整った国ですが、日本とは異なる規制やリスクが存在します。VPNが必要になる背景を理解しておくと、渡航前の準備がスムーズになります。
タイでVPNが求められる理由は、大きく分けて3つあります。
タイではデジタル経済社会省(DES)がインターネット上のコンテンツを監視しています。2025年10月から2026年2月までの約5か月間で、約43万7,000件以上のURLがブロック対象となりました。ブロック対象にはオンラインギャンブルや違法薬物関連のサイトが多く含まれますが、政治的なコンテンツや王室に関する批判的な内容も規制の対象となります。
また、2017年に改正されたコンピュータ犯罪法(Computer Crime Act)により、政府の権限が強化されています。ISP(インターネットサービスプロバイダー)にはユーザーの通信ログを90日間保存する義務が課されており、カフェやレストランなどフリーWiFiを提供する店舗にも同様の義務があります。
日常的な旅行で直接影響を受ける場面は限られますが、アクセスしたいサイトが予期せずブロックされている可能性がある点は認識しておく必要があります。VPNを利用すれば、こうしたブロックを回避できるケースがあります。
バンコクのショッピングモールやカフェ、空港などでは無料のWiFiが広く提供されています。便利な反面、暗号化されていないオープンネットワークではセキュリティ上のリスクが伴います。
代表的なリスクとしては、中間者攻撃(MITM攻撃)やDNSスプーフィング、フィッシングなどが挙げられます。中間者攻撃では、あなたのデバイスとWiFiルーターの間に第三者が割り込み、通信内容を傍受される恐れがあります。DNSスプーフィングでは、正規のウェブサイトに見せかけた偽サイトに誘導される可能性があります。
特にオンラインバンキングやクレジットカード情報の入力を行う場面では注意が必要です。VPNを使えば通信が暗号化されるため、フリーWiFi環境でも安全にインターネットを利用できます。
タイに滞在していると、日本国内向けの動画配信サービスが利用できなくなることがあります。TVer、ABEMA、U-NEXT、Hulu(日本版)などのサービスは、著作権の契約上、日本国内からのアクセスに限定されています。
Netflixは海外でも利用できますが、配信されるコンテンツのラインナップが日本とは異なります。日本限定のドラマやアニメがタイからでは視聴できないケースも少なくありません。
VPNで日本のサーバーに接続すれば、日本のIPアドレスを経由してアクセスすることになるため、地域制限のあるサービスを視聴できる場合があります。ただし、動画配信サービス側がVPN経由のアクセスを検知してブロックすることもあるため、確実に視聴できる保証はありません。
海外でVPNを活用するシーンについて詳しくは、こちらの記事もあわせてご覧ください。

タイで利用するVPNサービスを選ぶ際には、通信速度・サーバー設置国数・セキュリティ機能・日本語対応の有無がポイントになります。ここでは、タイでの利用実績が豊富な主要4サービスを紹介します。
以下の比較表で、各サービスの特徴を確認してみてください。
サービス名 | 2年プラン月額 | サーバー設置国数 | サーバー数 | 同時接続数 | 日本語対応 |
|---|---|---|---|---|---|
NordVPN | 約500円($3.39) | 129か国以上 | 8,900台以上 | 10台 | アプリ対応 |
Surfshark | 約290円($1.99) | 100か国 | 4,500台以上 | 無制限 | アプリ対応 |
ExpressVPN | 約510円($3.49/2年プラン) | 105か国 | 3,000台以上 | 10台 | アプリ対応 |
MillenVPN | 396円 | 140か所以上 | 2,000台以上 | 無制限 | 完全日本語 |
※ 料金は2026年3月時点の情報です。為替レートにより円換算額は変動します。
NordVPNは世界129か国以上に8,900台以上のサーバーを展開しており、タイ国内にもサーバーが設置されています。独自プロトコル「NordLynx」による高速通信が特徴で、動画のストリーミング視聴でもストレスの少ない接続が期待できます。
セキュリティ面では、AES-256暗号化に加え、ダブルVPN(二重暗号化)やキルスイッチ機能を搭載しています。ノーログポリシーを掲げており、第三者機関による監査も受けています。
2年プランであれば月額$3.39(約500円)から利用でき、30日間の返金保証が付いています。アプリは日本語に対応しているため、英語が苦手な方でも操作しやすいでしょう。
Surfsharkの最大の特徴は、同時接続台数が無制限という点です。家族や同行者と1つのアカウントを共有できるため、複数人でタイに渡航する場合にはコストを抑えられます。
2年プランは月額$1.99(約290円)と、主要VPNサービスのなかでも最安クラスです。100か国にサーバーを設置しており、タイにも対応しています。CleanWeb機能により、広告やマルウェアをブロックする追加のセキュリティ対策も利用できます。
アプリのインターフェースはシンプルで直感的に操作できます。VPNを初めて利用する方にも使いやすいサービスといえます。
ExpressVPNは105か国に3,000台以上のサーバーを展開しています。独自プロトコル「Lightway」による高速接続が強みで、タイからでも安定した通信品質を確保しやすいサービスです。
2年プランは月額$3.49(約510円)で、Basicプランでも同時接続10台に対応しています。24時間対応のライブチャットサポートがあり、接続トラブル時にもすぐに相談できます。
タイのように通信環境が不安定になりがちな地域では、接続品質を最優先に考えたい方に適しています。
MillenVPNは日本企業が運営するVPNサービスです。アプリ・サポート・公式サイトがすべて日本語に対応しているため、英語に不安がある方でも迷わず操作できます。
2年プランは月額396円で、世界140か所以上に2,000台以上のサーバーを設置しています。同時接続台数も無制限に対応しており、日本のサーバーが充実しているためタイから日本の動画配信サービスにアクセスする用途に向いています。
日本の法律に基づいた運営が行われている点も、海外サービスに抵抗がある方にとっては信頼できるポイントです。30日間の返金保証も用意されています。
VPNの種類や仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

VPNがどのような場面で役立つのかを、利用者のタイプ別に整理します。自分の渡航目的に照らし合わせて、VPNの必要性を判断してみてください。
短期旅行でタイを訪れる場合、ホテルやカフェ、空港のフリーWiFiを利用する機会が多くなります。観光スポットの検索や地図アプリの利用、SNSへの投稿など、インターネットへのアクセスは旅行中に欠かせません。
フリーWiFiに接続する際にVPNをオンにしておけば、データが保護されるため個人情報の漏えいリスクを大幅に軽減できます。特にホテルの予約サイトや航空券の購入など、クレジットカード情報を入力する場面では必須の対策といえます。
また、旅行中に日本のニュースや天気予報をチェックしたい場面でも、VPNがあれば日本向けのサービスにスムーズにアクセスできます。
なお、タイ旅行中の通信手段としては、利用者No.1の海外eSIMアプリ「トリファ(trifa)」を活用する方法もあります。eSIMで安定したモバイルデータ通信を確保しつつ、必要に応じてVPNを併用するのがおすすめです。
タイに駐在している方や長期滞在中の方にとって、VPNは日常的に必要なツールです。業務でやり取りするメールや社内システムへのアクセスでは、通信の暗号化によるセキュリティ確保が求められます。
また、日本の銀行のオンラインバンキングや証券口座へのアクセスが、海外IPアドレスからだとブロックされるケースがあります。VPNで日本のサーバーに接続すれば、こうしたサービスにもアクセスしやすくなります。
休日に日本のテレビ番組をTVerやABEMAで楽しみたいときにも、VPNは欠かせません。長期滞在であればあるほど、日本のコンテンツにアクセスしたい場面は増えるでしょう。
バンコクやチェンマイには多くのコワーキングスペースがあり、デジタルノマドにとって快適な作業環境が整っています。しかし、共有のWiFiネットワークを利用する場合、セキュリティ面のリスクは無視できません。
クライアントの機密情報を扱う業務や、オンライン会議での通信内容を保護するために、VPNの利用は必須といえます。特にフリーランスの方は、情報漏えいが信用の失墜に直結するため、常時VPNを接続しておくことをおすすめします。
複数のデバイスで同時に作業する場合は、同時接続台数が多いサービスや無制限のサービスを選ぶと便利です。
台湾でのVPN利用シーンについてはこちらの記事も参考になります。

VPNの設定は初心者でも数分で完了します。ここでは、一般的なVPNアプリを使った設定手順を解説します。渡航前に日本で設定を済ませておくのがおすすめです。
VPNサービスの登録とアプリのインストールは、日本にいるうちに済ませておくことを強くおすすめします。タイに到着してから登録しようとすると、通信環境の問題やウェブサイトへのアクセス制限により、スムーズに進まない可能性があります。
まず、利用するVPNサービスの公式サイトでアカウントを作成し、料金プランを選択します。次に、スマートフォンやパソコンに専用アプリをダウンロードしてインストールします。最後に、アプリにログインして接続テストを行い、正常に動作するか確認しておきましょう。
多くのサービスが30日間の返金保証を用意しているため、短期旅行であれば実質無料で利用できるケースもあります。
スマートフォンでVPNに接続する手順は、iPhoneでもAndroidでもほぼ同じです。アプリを起動したら、接続先のサーバーを選択して「接続」ボタンをタップするだけです。
日本のコンテンツにアクセスしたい場合は、接続先として「日本」のサーバーを選択します。タイ国内のサービスを利用しつつセキュリティを確保したい場合は、「タイ」のサーバーを選ぶか、自動選択機能で最速のサーバーに接続するとよいでしょう。
接続が完了すると、画面上部のステータスバーにVPNアイコンが表示されます。このアイコンが表示されている間は、通信が暗号化された状態です。利用が終わったらアプリからVPNを切断してください。
iPhoneでのVPN設定方法を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
タイでVPNに接続できない場合、いくつかの原因が考えられます。まずはアプリを最新バージョンに更新し、接続先のサーバーを変更してみてください。特定のサーバーが混雑している場合、別のサーバーに切り替えることで解決するケースが多いです。
それでも接続できない場合は、VPNプロトコルの変更を試してみましょう。WireGuardやOpenVPNなど、複数のプロトコルに対応しているサービスであれば、設定画面から切り替えが可能です。
タイの一部のネットワーク環境では、特定のVPNプロトコルがブロックされることがあります。その際は、難読化(Obfuscation)機能を備えたサーバーを選択すると、接続が安定する場合があります。各サービスのカスタマーサポートに問い合わせるのも有効な手段です。

タイでVPNを利用すること自体は合法ですが、いくつかの注意点を把握しておく必要があります。安全にVPNを活用するために、法的な側面と実用面のポイントを確認しましょう。
2026年3月現在、タイでのVPN利用は合法です。中国やロシアのようにVPNの使用が法律で規制されている国とは異なり、タイではVPNサービスへの接続そのものが罰せられることはありません。
ただし、VPNを使って違法行為を行うことは当然ながら処罰の対象となります。タイではコンピュータ犯罪法に基づき、不敬罪に該当するコンテンツの閲覧や共有、オンラインギャンブルなどが厳しく取り締まられています。VPNで通信を暗号化していても、違法行為が免責されるわけではありません。
また、動画配信サービスの地域制限をVPNで回避することは、各サービスの利用規約に抵触する可能性があります。法的な罰則はないものの、アカウントが停止されるリスクがある点は認識しておきましょう。
無料のVPNサービスは一見魅力的に映りますが、タイでの利用にはリスクが伴います。無料VPNの多くは、ユーザーの通信データを収集して広告主に販売することで収益を得ています。セキュリティを高める目的でVPNを使っているにもかかわらず、かえってプライバシーが侵害される本末転倒な状況になりかねません。
通信速度が極端に遅い、サーバーの選択肢が少ない、データ容量に制限があるといった制約もあります。タイから日本の動画配信サービスを視聴する場合、無料VPNでは快適なストリーミングが難しいでしょう。
安全性と使い勝手を考慮すると、有料VPNサービスの利用を強くおすすめします。前述の通り、Surfsharkであれば月額約290円から利用できるため、無料VPNのリスクを負う必要性は低いといえます。
VPNを利用すると、通信がVPNサーバーを経由するため、接続速度がやや低下するのが一般的です。特にタイから物理的に離れた日本のサーバーに接続する場合、遅延が大きくなる傾向があります。
通信速度の低下を最小限に抑えるには、タイに近い地域のサーバーを選ぶか、WireGuardなどの高速プロトコルを使用することが効果的です。また、混雑していないサーバーを選ぶことも速度改善につながります。
日本のコンテンツにアクセスする必要がないときは、VPNをオフにするか、タイのサーバーに接続することで速度低下を避けられます。状況に応じてVPNの接続・切断を切り替える使い方が実用的です。
タイ旅行の費用について詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

タイで快適かつ安全にインターネットを利用するには、VPNに加えて安定したモバイルデータ通信の確保も重要です。フリーWiFiだけに頼るのではなく、自分専用の通信回線を持っておくことで、セキュリティと利便性の両方を高められます。
VPNは通信の暗号化やアクセス制限の回避に役立ちますが、そもそもインターネットに接続できなければ機能しません。タイでは観光地や移動中にWiFiが使えない場所も多いため、モバイルデータ通信の手段を別途確保しておくことが大切です。
eSIMを使えば、SIMカードの差し替えなしにタイ到着後すぐにモバイルデータ通信を開始できます。物理SIMの購入や設定の手間がなく、空港に着いた瞬間からインターネットに接続できるのは大きなメリットです。
eSIMによるモバイル回線をベースに、セキュリティ強化や地域制限の回避が必要なタイミングでVPNを重ねる、という組み合わせが理想的です。
タイでのインターネット利用には、政府による規制やフリーWiFiのセキュリティリスクなど、日本では意識しないポイントがいくつもあります。VPNを活用すれば、通信の安全性を確保しながら日本の動画配信サービスも楽しめます。
VPNサービスの登録とアプリのインストールは、渡航前に日本で済ませておくのがベストです。合わせてeSIMも準備しておけば、タイに到着した瞬間から安定した通信環境を手に入れられます。
トリファ(trifa)なら、アプリから簡単にタイ向けのeSIMプランを購入でき、面倒な設定も不要です。VPNと合わせて準備して、タイ旅行を安心して楽しみましょう。

ライター
トリファ編集部(海外旅行の準備・現地情報担当)
海外旅行におけるベストシーズン、持ち物、現地で気をつけることなど、海外旅行の準備と現地情報を初心者にもわかりやすくまとめています。内容は必要に応じてトリファの現地スタッフへのヒアリングを行い、現地の状況も踏まえて整理しています。あわせて季節・制度・営業時間など変わりやすい情報は、公的機関や交通機関・施設の一次情報を確認し、変更があれば記事へ反映します(記事内に最終更新日を明記)。